二十一話
そんな会話を傍らに添え、熱々のお野菜を口に含む。タマネギの甘味をしっかりと味わっていると、横からひょいひょいと、何やら私のお皿に盛られていくので隣を見れば、チーノが自身の皿からお肉を私の皿に移していて、何してんのと聞くとチーノは顔をあげ、むすっとした表情で言う。
「だって先輩、さっきから野菜ばっか食べてるじゃないすか! 先輩が野菜好きなのは知ってるけど、肉も食べんな倒れてまうで! だから、はい!」
「ちょ、そんないらないって」
「あ、俺からもどぞ」
「ショッピくんまで……!」
確かにさっきから野菜ばっかりお代わりしている。お肉は最初トントン先輩に盛られたきり食べてなかったけれど、まさか気づかれるとは思わなかった。恐るべし、後輩チーノ……!
─それから各々バーベキューを楽しんで、後からやってきた兄さん先生からの差し入れであるアイスを堪能し一息ついたところで。
鬱さんが持ってきた折り畳み式のイスをお借りし腰かけながら、川遊びをしている面々の様子をぼーっと眺めていると、ふと思いついた。
自身の持ってきた大きな鞄。その中からあれそれと引っ張り出し膝上に広げる。
大きめのスケッチブックだ。外部なのでキャンバスを持ってくるわけにはいかなかったけれど、スケッチブックくらいならと鉛筆たちと共に持ってきたものである。
スケッチブックの白紙のページをめくって、ペンケースから鉛筆を取り出し、前を向く。
ズボンの裾を膝辺りまで捲って、水を蹴り上げているシャオロンさんやゾムさん。その水がかかったことに怒りながらも仕返しをしているコネシマさんやロボロさん。
水鉄砲を持参し鬱さんの眼鏡に水をかけるチーノやショッピくんに眼鏡と顔がびしょびしょで眉を下げる鬱さん。
川べりで石の積み上げ競争なんかをするオスマンさんやひとらん先輩。石をどれだけ遠くまで弾け飛ばせるか競い合うグル先輩、トントン先輩、エミさん。
「……キラキラしてる」
その様子をぼんやり見つめながら、手を必死に動かした。即席のスケッチブックしかないのが悔やまれるが、今はこの景色をどうにかこの空間の中に描き納めなければならない。
必死に、必死に。目をあちこちに向けて、白黒の濃淡だけで描き上げたそれを掲げた。
ああ、輝くもの。まさに、これだ。
ようやく、胸の内で何かがストンと落ちた。そうしてそれをぎゅうと抱きしめ、閉じて立ち上がる。
もう、迷わない。
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