二十二話
夏休み最終日。
朝一で階段を駆け上がり社会部の部室にあの日描いたスケッチブックを机の上に放り投げ、その後美術室へと猛ダッシュ。
預かっていた教室の鍵を使って扉を開け放ち、窓を開けるのも扇風機を動かすのも全部後回しに、キャンバスを立てパレットに赤、青、黄、緑……たくさんの色をありったけ。水入りバケツを傍に置き、絵筆を握る。
それを、何一つ躊躇いもなく白いキャンバスに叩き付けた。
筆がキャンバス上を踊るように、いろんな色が混ざり合うけれど決して汚くならない。むしろ、キラキラ輝いて見えるのだ。
これだ。
私の描きたかったもの。「輝くもの」。
"嬉しいことや楽しいことの経験"……思い出。
私にとってこの夏の思い出は、
何にも変えられない、宝石よりもキラキラ輝くものだった。
それを描くだけの技量はある。大丈夫。
迷わない。私はもうわかったんだ。
「──できたっ!」
目の前に広がるのは、この夏の思い出たちだった。
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