五話


「おっと、少し驚かせるつもりがすまんな。何はともあれ、ようこそ社会部へ! 後ろの二人は君の友人か? なら一緒に入ってくれ! 如何せん外は暑すぎるしな!」


私たちはそんな彼に背を押されながらその部屋へと一歩足を踏み入れた。

穏やかな風がどこかからやってきて、それが暑さで火照った体を撫ででいった。


何という涼しさだ。ここは天国かもしれない。

いやいや、と首を振った。それどころじゃない。今は社会部の話である。
私は顔を上げて辺りを見回した。私たちを招き入れた彼を筆頭に、数名の生徒。最初の彼を入れて数えると……六人。社会部なんて聞いたことなかったけれど、結構人気の文化部なのだろうか。私ったら美術部以外入るつもりがなかったからと言って流石に知らなさすぎるだろうと思っているも、そこでおや?と不思議に思う。

そう言えば、新聞部のチーノすら社会部という部にピンと来ていなかったけれど……


「さぁ、とにかく君たち、座ってくれ。手狭だな……お前らちょっとそこどけ!」

「何!? 女子部員来るん!? なぁなぁ名前は!?」

「こらシャオロン! 初対面の子に馴れ馴れしいぞ! あ、すんません、気にせんとって!」


社会部の部室内にいた明るい茶髪の男子生徒が私にニコニコ笑いかけてくるのに対して、黒髪を七三に分けている真面目そうな先輩がそれを割って入るように止めた。

その様子に私は何とも言えずただ促されるまま木製の椅子に腰掛ける。そんな私の後ろにボディガードのようにショッピくんとチーノが立って、私の正面には私を誘った張本人が座る。

まるで面接みたいな様子に何だか少し緊張しながら先輩の言葉を待っていると、彼はよいしょと足を組んで私たちをそれぞれ見回してから口を開く。


「えっと、そもそも言ってなかったし聞いてなかったな。私はグルッペンだ。この社会部の部長をしている。それで、君たちの名前は?」

「えっと、2年の明石紗絵です」

「1年ショッピっす」

「同じく1年のチーノですぅ」

「紗絵にショッピにチーノ。ふむ、よろしく頼むよ」


その端正な顔を少しだけ歪めてくしゃりと笑うグルッペン先輩の様子に肩の力が少しだけ抜けた。
そしてそんな先輩に倣ってか、私に席を譲ってくれた男子生徒がウキウキと言った様子で手を上げ言う。
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