side薬研





もう朝餉の時間なのに大将が起きてこない。
普段なら、誰よりも早く…って訳じゃないが朝餉の用意を手伝っていたり、外の葉っぱなんかを掃除していてそれなりに早起きなんだが……



「あ、薬研君。丁度いいところに」



「お?燭台切の旦那じゃねえか、俺に何か用か?」



「うん、もう朝餉の時間なのに主が起きてこないんだよね。ちょっと様子みてきてくれない?」



「…ああ、俺も大将が起きてこないから丁度心配だったんだ」



燭台切の旦那は、朝餉の用意がまだ終わっていなかったらしく、俺に礼を言うとすぐに台所へ走っていった。





*





「……いしょ……たーいーしょっ!!」



「……んん…」



聞き慣れた声で目を覚ました。



「大将、おはよう。もう朝だぜ」



「…や、げん……?」



目を擦りながら起きると、大層驚いた顔の薬研がいた。



「…たいしょ、その目……」



「………あっ」



薬研の目についての指摘で意識が覚醒した。



「もしかして病気か?」



「ううん、違うの……薬研は医療関係のことに長けてるよね?」



「?ああ、多分……」



「だったら……」



布団から這い出て、机の奥からファイルに入った資料を出した。



「…ちょっとこれ見てみて。それでわかると思う」



「……ああ」



薬研に資料を渡すと、少し硬い手つきで資料を読み出した。



「……色素が、ない?…あるびの……?これって不治の病かなにかか?」



「ある意味そうかもね。でも、ちょっと日光に弱いのと、目と髪の色が珍しいだけで他人に移ったりしないから安心して」



「…普段髪の毛と目が黒だったのはなんでだ?」



「髪の毛は、人工的に薬品で色を入れてるの。目は、コンタクトっていう目に直接入れる眼鏡みたいなやつで隠してたの」



「薬品って……体に負担かかるじゃねえか」



「…でも、これから審神者がどんどん増えて、接触しなきゃいけない時に私はいいけどみんなまで酷い事言われるから」



「大将……」



「それにこの本丸の子だって、みんながみんな受け入れてくれないかもしれない。だから、これは秘密にしてくれないかな?」



「わかったよ。ただし辛くなったらすぐに言ってくれよ、俺ならなんとかできるかもしれないからな」



「……ありがとう」



薬研はなんて男前なんだろう。現世にいたら絶対モテそう。あとこれからの増える審神者にも人気が出そうだ。



「…あと、もし大将がよければなんだが」



「うん」



「明日からも起こしに来てもいいか?……その、大将が心配だから…」



「……」



なんか、なんか…すごく申し訳ない。



「…すまん。嫌だよな」



「えっ、嫌じゃないよ。ただ、薬研の負担になりそうだし悪いなって思って」



「別に普段から早く起きてるし大将起こすって役が出来たら俺も寝坊防げるからな」



「そっか…じゃあ、お願いします」



「おう」





『あるじー!!やげーん!!早く来ないと朝ごはん終わっちゃうよー!!』





「あ」



「すっかり忘れてたな」



お互いに顔を見合わせて、笑ってしまった。




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