「うーん」
「どうかしたのか、大将」
「ああ、厚。突然だけど貴方のお兄ちゃんって知ってる?」
「…どの兄貴だ?」
そっか、粟田口の刀って他の党派より沢山あるんだった。すっかり忘れてた。
「一期一振さまって刀」
「いち兄か!!」
「知ってたのね」
「当たり前だろ!それよりいち兄がどうかしたのか?」
「粟田口の中で唯一の太刀って聞いて、お兄ちゃんなのかなって思ってね」
「なるほど」
「それで、もしお兄ちゃんなら降ろせたりするかなって」
「お、おう?」
私は審神者の実験体で、ある部屋には政府が力が宿っていると判断した多くの刀が納められている。ただ、政府の目も正しい訳じゃないのでそこに納められている全ての刀に付喪神が宿っている訳ではない。
だから付喪神を降ろす力のある私が一振りづつ、付喪神が宿っているか。また、その神が戦ってくれるかというのを確認することになっている。
と説明すると、厚はとっても驚いていた。
この前政府に渡された資料には、私が神を降ろせた刀などを力の弱い審神者でも扱える程度にコントロールさせた状態の力が書かれていた。
「まあ厚が一期一振さまのこと知ってるなら降りてきてくれるかもしれない。他にも戦ってくれそうな兄弟はいたりする?」
「…大将。こんなこと聞いたらいけないかもしれないけど、そんなに大将は刀が沢山欲しいのか?俺たちだけじゃダメなのか?」
「厚…」
泣きそうな厚に悪いことをしてしまったような、説明してなかったことを悔やむような気持ちになった。
「…あのね、私達は沢山の敵と戦わなくちゃいけない。それで沢山の私みたいな審神者も刀も必要なの」
「おう」
「でもね、みんながみんな強い力を持ってる訳じゃないから」
「…弱い力でも具現化させられる刀が必要ってことか?」
「そう。あとは、厚たちが戦ってきた時代の戦とは比べ物にならないくらい敵が多いらしいの。だから沢山戦わなくちゃいけない。そしたら少ない刀だとみんなの休める時間も少なくなって、沢山の負担がかかる。厚も1人で畑仕事しなきゃいけなくなったら休めなくて辛いでしょ?」
「確かに、交代制だったりするから大変だけど夜は寝れるし飯もゆっくり食ってたって急かされたりしないな」
「でしょ?」
「でも俺らが今戦ってるのも、倒したのも、ほんの一部でしかないから……ごめん大将、俺、てっきり今ここにいる奴らが弱かったり大将の好みじゃないのかなって思っちまって、それで…」
「いいんだよ、厚。誰にだって勘違いも思い違いもあるよ」
「……たいしょ、にも…?」
涙目の厚に私は答える。
「もちろん。最近のことだと、教えてもらうまでお米搗いたらおはぎになって、最後は餅になると思ってたんだよ」
「ぶっ、そんなこと思ってたのか」
「だって両方ともお米使うじゃん、種類違うけどさ」
「確かにな」
その後、昼過ぎにまだ具現化出来ていなかった粟田口の皆を具現化したのは言うまでもない。
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