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【間幕】

入学説明会も大方終わり、学校の中を見学させてもらっていると、中庭の木陰にあの時の彼の姿が洋介の目に留まる。
洋介は一緒に来ていた友達に少しだけ抜けることを告げると後ろから近づいて、上からヌッと顔を出した。

「ちぃっす。葦名さん、でしたっけ?」
「・・・お前、誰だ?」
「初めましてー、幸助の弟の音無洋介でーす」

ぽかん、とした顔のあと、葦名は突然笑い出した。

「こ、幸助の弟って、それで?卑怯だろ」

幸助とのあまりの似て無さに、クスクスと葦名から笑いが漏れる。

「えー、正真正銘血の繋がった弟なんですけどー」
「緩いな、お前」
「それ程でもー?」
「褒めてねぇから」
「あぁ、そうだ。はいこれ、兄さんから」

と葦名の言葉を華麗にスルーしながら手渡す小さなメモ帳の一ページ。
何だこれ?と、開いてみれば、《傷は大丈夫ですか?》と丁寧な字で書かれていた。

「あいつ、まだ心配してくれてんだ?」
「そりゃあ、人間不信な兄さんが自分で家に連れて来たくらいだからね」

ま、拾い物だし?と言えば、ふっと笑う葦名。

「拾ったら最後まで面倒見ろってか?」
「まぁ、それに近いんじゃない?じゃあね。あぁ、そうだ兄さんずっと待ってるみたいだから、早いところ家に来てよね」
「あぁ、それな。まだ先になりそうなんだよなぁ」
「何で?」
「今、この学校面倒なことになっててな。まぁ・・・、片付いたら必ず行くから待ってろって伝えておけよ、弟君」
「よーすけですけどー?まぁ、伝えておいてあげよう、俺優しいから」
「・・・いい性格してるな、弟君。ついでに、何か書ける物かせ」
「お兄さんほどじゃないと思いますよー?はいこれでいいですかー?」

と、手に持っていたボールペンを手渡す。
葦名は、それを受け取ると、文字の書いてある部分を避けて、幸助からの手紙を破る。
破った部分んに、0から始まる11ケタの番号と、メールアドレスを書いた。
それを、ボールペンを返すついでに、葦名は洋介の手に押し付けた。

「んじゃ、よろしく。洋介?だっけ?」
「あんたって、自由人っぽいよねー。りょーかい」
「あぁ、いつでもいいって伝えといてくれ」

はいよー、と歩きながら洋介は返事を返した。
その姿に、葦名は笑いながら立ち上がって反対方向へ歩き出す。

「あー、雄大!!こんな所にいたのか!!」

探したんだぞ、と大きな声がしてきて眉をひそめた。が、つかまりたくもなくて、洋介はさっさとその場を立ち去った。


【間幕おわり】


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