愛される運命


オーストラリアから日本に帰ってくるとき、凛はとある血液検査を受けた。
この世界の住人であれば、誰だって知っている検査。
第二の性別を調べる検査だった。
その性別検査で、凛はオメガ牡と言う告知を受けて、その告知を握り締めたまま飛行機へと乗り込んだ。
アルファだと、信じて疑わなかった自分が、まさかオメガだとは思っていなかった凛。
それを、家族に見せるかどうか、迷うところだった。
自分がオメガであることで、母さんを心配させたくない、と言う一心だった。
が、鮫柄に編入するときに、オメガ性であることはばれてしまう。
ならば、自分の手で、と凛は母と妹に通知書を見せた。
母さんは泣き崩れたが、コレばっかりはどうしようもないことだと諦めた。
江は凄く複雑そうな顔をしていた。(何考えてるのかわからなかった)
そして、凛は数ヵ月後、遙と再会した。
色々、ごたごたしたことも過ぎ、遙たちと仲間に戻れた凛は、遙の家に集まっていた。
凛は遙の隣に陣取ると、たわいない話をしながら笑った。
その中で、真琴と遙の第二性別を聞いて、凛の顔が少しこわばった。

「ハルも真琴も、アルファ、なのか」
「あぁ、凛。お前は・・・」

そう尋ねられ、凛の喉はからからと渇いていく。
ようやく搾り出せた声は、かすれていたが、オメガではなくベータだったと、それだけ告げた。
真琴はへぇ?意外、と言ったが、遙はどうも納得して無い様子だった。
そんなことより、と渚が得意の口調で話を変えてきたので助かった。が、隣にいるのに遙にジッと見つめられているのは代わらず、居心地が悪い。

「それじゃあ、ハル。凛も、またね」

そう言って、真琴たちは帰っていく。
凛も帰ろうと靴をはこうとしたら、遙にそれを止められて茶の間へと逆戻りした。
そのまま、向かい合わせに座り、何も言わない遙。
それに焦れたのは凛で、何なんだよと、声を上げた。

「何か用があったんじゃないのか?」
「別に。ただ、お前が俺に言うことがあるだろう、凛」

そう言われて、凛は首を傾げる。
遙に言うこととは何だろうか?自分は何かを忘れただろうか?と。
そう、考えているうちに遙は凛の隣に来て、凛を押し倒した。

「は、ハル?」
「凛、こんな匂いさせて、ベータ、だと?」

すんっ、と首筋の匂いを嗅がれて、凛は焦る。
匂い?と首を傾げる凛に遙は容赦ない。

「凛、お前は俺のだ」
「おい、どうしたんだよハル」

何を、といいかけ、大きく口を開いた遙のしようとしている事に全力で待ったをかけた。

「や、めろ!!何してるのか解かってんのか!?」
「凛がベータなら、関係ないだろ」

凛の腕を押さえつけ、再び項に歯を立てようとしたとき、凛は叫んだ。
俺は、オメガだから止めてくれ、と。
がたがたと震えだした凛に、やりすぎたか、と思いつつ、遙は凛の腕を解放した。

「何で・・・」

こんなことしたんだよ、と泣き出した凛が遙に尋ねる。
遙は、泣くな、と凛の涙を掬った。

「凛が、俺に嘘吐くなんて許せない」
「何でだよ、ハルには関係ないだろ」

そう言った凛の言葉に、カッとなった遙は凛に口付けてその言葉を吐き出す場所を塞いだ。
散々に口腔を弄って離された唇。凛は、何で?と遙を呆然と見上げた。

「関係ない、何て二度と言わせない。関係なら、今作ってやる」
「やめ・・・っ、ハル!!」

悲痛な凛の叫びが、七瀬邸に広がった。



こんな、遙凛が欲しい。
最後は幸せに、甘甘に、凛ちゃんはキッとハルに振り回される運命にある。

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