至って真面目なんですぅ!!


「はいはーい、どちらさん?」

「やっほー、来ちゃった」

「・・・お帰りくださーい」


パタン、と鉄朗は玄関の扉を閉めた。










澤村邸に烏野の皆を招いて、リビングに通る。

おじゃましまーす、と入って来た面々に、鉄朗はいらっしゃーい、と笑う。実に、胡散臭い。

その笑顔に、入って来た影山は大地に言う。


「主将、騙されてないですよね?」


その言葉を聞いて、大地と鉄朗は顔を見合わせた後、声をあげて笑った。

それに、意味がわからなくて、影山は首をかしげるばかり。何で笑われてるんすか?と。


「いいねぇ、君。本人前にして堂々と」


笑って、抱えていた大皿を落とさないようにリビングのテーブルに置いた鉄朗は言う。


「だけど、一つ誤解。付き合っても無かったのにプロポーズされたの、俺だから」


ぶひゃひゃ、と笑う鉄朗にそう言えばそうだったな、と思う。

その衝撃の事実に、大地の心配をしたり、熱を測ろうとする面々に呆れた顔になる大地。


「あのね、俺は別に病気でもなければ気がくるっても無いからな。俺が、鉄にプロポーズして何か悪い?」

「悪いとか、そんな問題じゃなくて!」


あーもう、と頭を抱えるスガを、おろおろとしながら見守る東峰。


「まぁまぁ、話の続きは飲んでからでいいんじゃない?」


と、話題の張本人である鉄朗に言われ、スガはテーブルの一角に座った。

大地と鉄朗も、それに合わせて空いたスペースに二人で座る。

座ると同時に、扉が閉まっている事を確認して、大地は抱っこしていた雛実を離した。


「まー、とりあえず。始めまして、澤村鉄朗です」


今後ともよろしく、と言う鉄朗の挨拶から始まった。

出だしで衝撃的な事の連続だったためか、飲みだしてからはリラックスしたようなムードが漂っていた。

そんなムードに当てられてか、雛実はぐずることなく、気がつけば鉄朗の膝の上で寝てしまっていた。


つい皆、それなりに酔って来て居るからか、ポロっと聞けなかったような事まで聞いてしまう。


「俺さぁ、大地は旭が好きなんだって思ってたよ」


その、スガの言葉に旭は眼を点にして、大地に至っては何言ってるの?といった顔で、彼を見た。

鉄朗だけが、空気を読まず、えっ、そうなの?と大地を覗き込んだ。その顔は、大地からみれば少し不安そうで、近いその顔の額にキスした。


「ちょ、大地!お前、人前で!」

「あっ、悪い。つい、な」

「つい、じゃねぇー!」


ふしゃーっ!と、猫が威嚇してくるような雰囲気で、ポカポカと大地を殴る。そんな鉄朗が、猫みたいで可愛くて仕方がない。悪かった、悪かった、となだめつつ、大地は言う。


「俺が旭を好きになるなんて、地球が百万回一日で回ったとしてもあり得ない」


えっ?そんなに!?と驚くメンバーに、大地は意味が解らない、と首をかしげる。


「大体、何で俺がそんなへなちょこを好きかもって思ったんだ?」

「だって、大地よく旭の事気にかけてたし・・・」

「そりゃ、コイツがへなちょこで苛めに合いやすい、誤解されやすい奴だったからだろ。大体、それを言うならスガだって同じでしょうが」

「それに、・・・」


と、出るわ出るわ大地が東峰を好きだった疑惑。それに、いちいち反論していく大地。

けれど、その答えには淀みが無く、嘘じゃない事は明白だった。


「大体ね、どうして旭なわけ?清水の方が、美人で恋をするならそっちでしょうに」

「・・・大地、清水って誰?」

「あぁ、高校のバレー部のマネだった子だ」


えぇっと、とテレビの側に飾ってあった、烏野の集合写真を取ると、この子、と指をさす。


「へぇ・・・、大地はこういう子が好みなの?俺、もっと頑張った方がいい?」

「は?いや、好みだとは言って無いっしょ。ほら、見比べてみろ。これが旭だ。この旭と清水を見比べても解る通り、歴然と清水の方が美人でしょうが。なのに、旭に惚れてたって誤解されてたのが不服だったってだけで好みとは言って無いよ」


そこまで言うと、はい、この質問はここで終わり!と大地はパンっ、と柏手を叩いて閉める。

他に質問ある奴は?と、言うと、日向がはい!と勢いよく手を挙げたが、その瞬間にピンポーンと来客を告げるチャイムが鳴った。


「っと、俺出てくるよ」


そう言って雛実を大地に預けると、鉄朗が席を立った。玄関に向かい、チェーンをしたまま扉を開けた。


「はいはーい、どちらさん?」

「やっほー、来ちゃった」


星を飛ばし、酒瓶を下げたままダブルピースしてうへぺろと笑うその姿を見て鉄朗は数秒、コンマゼロゼロ・・・秒は考えた。


「・・・お帰りくださーい」


パタン、と考えた末、やっぱり玄関の扉を閉めた。我が家の平和の為だと思う。


「ちょ、ちょっと何で閉めるのさ、てっちゃん!!俺だけじゃないんだから開けてよ!」


その、いつも一人で来る及川の言葉に鉄朗は耳を止めて、外の様子をのぞき穴からみた。すると、ドアをドンドンと叩いてくる及川とは別に、可愛い大学の後輩の姿も見える。

及川に振り回されたのか、少しぐったりしたように見える姿を見て、すぐにチェーンを外して抱きしめた。


「二口、どうした?茂庭と喧嘩でもしたのか?」

「ちょっと、てっちゃん!?俺と対応、違い過ぎない!?」


その言葉を華麗にスルーして、二口を中に入るように勧める。

その扉から、及川がぷりぷりと怒りながら入ってくるのはまたもスルーして。



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