澤黒女体化で小話を2



「すんません、今着きました」
「よお、黒尾。遅かったな」

この日、女子バレと男子バレの部活の親睦会も兼ねて、カラオケに行く事になった。まぁ、先輩方が企画したのだが。
しかし、黒尾は用事があった為遅れて参加。
あらかじめ聞いていた部屋番を受け付けに伝えると、スムーズに部屋へ通してくれた。

「・・・結構出来あがってますね」

入り口付近に居た、幹事らしき先輩に言うと、苦笑いしか帰ってこなかった。
室内はうたっている人、酔いつぶれた先輩、とグダグダだ。
座れる場所、と見回すが手荷物も結構色々散らばっている。
これでは、座るどころの話ではない。

「あー、今座る場所作るよ」

そう言って、わたわたしだす先輩を尻目に、室内の澤村を見つけ、いいですよ、と言う。
澤村の前まで邪魔にならない程度に移動すると、黒尾はにっこりと笑った。

「澤村ぁ、俺、嫉妬しちゃうよ?」

席順が、どうやって決められたかは知らない。しかし、知らない初対面の女が澤村の隣を陣取っていた事に、黒尾は人知れず腹を立てた。

「それは、俺にか?それとも彼女に?」

にやり、と澤村は喰えない笑みを浮かべる。
その笑みに、ドキッとしてしまったのは内緒だ。

「えー、どっちもって言ったらどうすんの?」

その回答を、澤村がする前に、隣の女が割り込んでくる。

「澤村君、黒尾さんと付き合ってるの?ってか、澤村君に嫉妬するってどういう意味?」

純粋な問いに、澤村と黒尾は顔を合わせて笑った。

「そっか、君知らないんだ」

その言葉に、彼女は首をかしげる。頭の上には?マークがたくさん浮かんでいそうだ。

「俺、黒尾鉄朗って言います」

よろしく、と彼女に手を差し出した。

「コイツ、羽化してるから。もともと、男」

その時、事情を知らなかったメンバーも多数いるのだろう。
カラオケの室内だと言うのに、シンっ・・・、と静まった。気がした。
それから、一呼吸おいて、えぇええええ?だの、うっそぉおおおお?だの色々な反応が返ってきて澤村と黒尾は再び笑ってしまう。

「俺、男だったから女の子好きでさ、今の澤村がうらやましい。けど、澤村に近づく女って嫌なんだよねー。俺以外が近づくともやもやする」

だって、澤村俺のだから。

それを事前に澤村に伝えてある黒尾。
だからこそ、澤村は黒尾に“俺か彼女か”と聞いたのだ。

「と言う事で澤村。俺の椅子になって」
「意味が解らない」

突然の話の切り替えに、澤村は真顔になって黒尾に返す。
黒尾はそんな澤村の意志など関係なしに、澤村の足の間へと体をすべり込ませて座る。

「よし」
「なにが、よし、なの」
「まぁまぁ」

はぁ、とため息を吐く澤村と対象に、黒尾はぶひゃひゃ、と笑った。

「あっ、先輩。俺、ジンジャーエールで」

と、言いながら澤村のウーロン茶に手を伸ばしている黒尾。
しかし、澤村にそれを気にした様子は無い。

「えっと、怒らないの澤村君」

普通、この傍若無人ぶりは怒るだろう。
しかし、澤村から返ってきた答えは意外なもので。

「普段からこんな感じだから」

猫みたいだろ?

にしし、と笑う澤村に、猫ですから、と笑う黒尾。
このマイペースどもが、と思わなくもない。
いつの間にか、元の騒々しさを取り戻していた空間に黒尾はなじむ。
元からそこに居たかのようにすんなりと。

―――あっ、澤村今日泊めてね

そんな爆弾発言が出るまで、あと・・・。

END

ちなみに、付き合って無い。
澤村(の隣)は俺の物。って言う黒尾君です。
そして、その意味を解っているのはきっとこの空間で澤村しかいない。


- 136 -


[*前] | [次#]
ページ:

戻る
main