ウサミサを単体では書けなかったんで桐横と合わせてみた


「ウサギさん、俺今日編集長の所行って来るから」

今日、美咲は休日だったはずだ。ガチャガチャと言う食器のぶつかり合う音の中美咲は言い、ウサギさんは眉を寄せた。

「編集長?」
「伊集院先生との対談で会ったことあるだろ?じゃぷんの」
「あぁ、あの人か。何でお前があの人のところに」
「俺、一応丸川で漫画編集希望だし、それ言ったら色々と教えてくれるって言うから」

そう言って着々と出かける準備をしていく美咲。ウサギさんは少し考えた後スクッと立ち上がった。

「俺も行こう」
「はぁ!?」

この発言に、玄関へ向かう美咲の足は止まって、ウサギさんを向いた。

「何言ってんだよ!?ウサギさんがいきなり行ったら編集長も迷惑だろ!」
「ちょっと待ってろ」

と、準備しだすウサギさんに、美咲は話聞けよ!と言って頭を抱えた。
が、結局付いて来たウサギさんに美咲はため息を吐いて、桐嶋家のチャイムを押した。

「はーい」

低めの、編集長ではない声が中から舌。ドキッとして、ウサギさんを見る。が、ウサギさんは興味なさそうにしてる。
がちゃ、と玄関を開けて顔を出したのは、黒いシャツを着てスラックスを履いた男の人。

「お前が高橋か・・・、と宇佐見先生ですか。御久しぶりです」

ウサギさんに頭を下げたその人は、とりあえず中に入れと、美咲とウサギさんを促した。

「おい、高橋が来たぞ」

リビングから、あぁ、と言った返事が聞こえてくる。

「いらっしゃい、高橋君。と、宇佐見先生。お久しぶりです」

ニッコリと笑って出迎えてくれた編集長の桐嶋さん。
座って、と促されるまま、美咲とウサギさんはソファーに座った。
ソファーの前の机には、色々な資料が置いてあって、その中にはザ漢のラフ画みたいなものまで入っていた。
それに感動していると、美咲とウサギさんの前に麦茶が置かれた。

「とりあえず、俺の権限で持ち出せるものは持ってきたから」

さっそく、と編集の仕事について詳しく説明してくれる桐嶋さん。

「桐嶋さん、俺ちょっと買い物に行ってくる」
「えっ?」
「宇佐見先生が来たなら、材料が足りねぇ。ひよももう直ぐ帰ってくるんだろ。そんなに長い間外には出ねぇよ」

じゃ、と合鍵と財布を持って彼は行ってしまった。

「・・・横澤さんとは、いっしょに暮らしてるんですか?」
「いえ、ただ猫を預かっているので、その関係で泊まったりしているうちに、家事までこなしてくれるようになっただけです」

俺は、からっきしなんで、と笑う編集長。
何となく、編集長とウサギさんが腹の探りあいをしているようで恐い。

「さっ、それは置いておいて。編集の基本だったね」

と取り出された資料に目を向けた。
しばらくして、玄関が開く音がする。
小さくだが、女の子のような声と先ほどの横澤さんという人の声が聞こえた。

「お父さん、ただいま!」
「おかえり、ひよ。こちら、父さんの会社のバイトで高橋美咲君」

と、紹介されて御邪魔してます、と頭を下げた。

「で、こっちの大きい人が小説家の宇佐見秋彦大先生だ」

そう、茶化して言う編集長。いや、間違ってはいないんだけれども。
ウサギさんは、何でかその子を見て驚いた顔をしてから、いつもの営業スマイルと言う顔になった。

「宜しく、お嬢さん」

彼女は、にこっと笑うとぺこっと頭を下げた。

「桐嶋 日和です。いつも、お父さんと横澤のお兄ちゃんがお世話になってます」
「ひよ・・・」

と、横で苦笑している横澤さん。

「あぁ、挨拶がまだだったな。俺は営業の横澤だ。基本、漫画の営業を担当してる。まぁ、時たま小説関連のフェアとか握手会とかの助っ人としても借り出されるけどな」

あぁ、だからウサギさんとは知り合いだったのか、と美咲は納得した。
ウサギさんをみて、苦笑した横澤さんは日和ちゃんを手洗いなどに促してから、冷蔵庫に買って来た物を入れる。
中から別のものを取り出して、トントンっとリズムのいい音を響かせていく。
そんな中、桐嶋さんに説明して貰っていることは、とてもためになった。どうすれば、同じ場面でもより漫画を面白くさせられるか、そう言った事を分かりやすいラフ画とかを使って説明してくれて、本当に驚かされてばっかりだ。
ウサギさんはつまらなくないのかな?と思って、チラッと見れば使っていない資料を眺めたりしていて、案外楽しそうだった。

「おい、いい加減昼過ぎたから、一端切り上げて飯喰えよ」

キッチンテーブルに載った冷やしそうめん。薬味も色々用意されてておいしそうだった。

「これ、横澤さんが?」
「えぇ、どうぞ味の保障はしませんが」

と、ウサギさんに対してまるで、いや、絶対に営業スマイルで笑った横澤さん。

「横澤、謙遜するなよ。お前の作るものは何でも旨い」
「皆が皆、アンタみたいな味覚してねぇんだよ」
「でも、横澤のお兄ちゃんの料理はおいしいよ!」

日和ちゃんのその言葉に、ありがとう、と素直に横澤さんはお礼を言っていた。

「・・・横澤さん、俺のもう一つのペンネーム知ってますよね?」

一瞬、どきりとした様に体を跳ねさせた横澤さんは、ヒクヒクと口角を引きつらせながら笑う。

「何を、言いたいんですか宇佐見先生」
「あちらの方で、是非あなた方の御話を書かせて」
「絶対に嫌です!」

ウサギさんの言葉を遮るように、横澤さんは声を張り合えげた。

「しかし」
「・・・なら、せめて俺のダチの話を聞かせますので勘弁してください」

その姿に、ウサギさんはニッコリと笑った。
この顔、絶対何かよくないこと考えてるな。

と思ったけど、今回俺に関係なさそうだからいいか、とも思ってしまった。

End


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