光忠がただ、苦労性なだけの話
とりあえず、審神者がぶっ飛んでる系?よくわからん。天然系?か?
元ブラック本丸設定。
1話目→三日月×審神者
2話目→鶴丸×大倶梨伽羅
ちなみに、つるくりが腐向け。
ちょこっと、燭へしあり。
三日月×審神者
すぱんっ、と審神者の手が三日月の頬を打った。
唖然とした三日月。周りに居た者を、こんのすけが抑える。
だが、この審神者。三日月並みにマイペースだ。
「痛いか?」
「・・・貴様、何っグッ」
「痛いか?」
三日月が、聞かれた事に対して以外の言葉を話そうとすれば、再び審神者の平手が三日月の顔に飛んだ。
「痛いか?」
「・・・」
ついぞ、何も答えようとしなくなった三日月。審神者は、それでも彼をまっすぐに見つめている。
「私は、痛いかと聞いているんだが」
「・・・」
「痛いか、痛くないか、なぜ素直に答えられない?」
審神者の言葉に、三日月の瞳が揺れる。
「なぜ、無用に我慢を重ねる?痛みに、耐性があるか?お前たちが刀剣男子、付喪神だからか?だから、どうした。それが、何の関係がある?少しでも痛いなら痛いと言えばいい。苦しいなら、苦しいと、辛いなら辛いと言えばいい。言ってどうなる、とお前たちは思うかもしれないが、少なくとも私は原因を取り除くお前たちの手助けをしようと努力するだろう。私がお前たちの主なのだから。声が無ければ何もできん。お前たちが何を思い、考え、行動するのか、私には何一つ伝わらない。声を上げろ、意思を伝えろ。お前たち、何のために感情があり、その口があり、私たち人と交わせる言葉があると思っている。伝えるためだ。別に饒舌に話せと言っているわけではない。お前たちの考えを、思いを声に出して聞かせろ、とただそれだけ言っている。だからもう一度問う」
痛いか?
その言葉に、三日月の瞳から、一筋涙がこぼれた。
「い、・・・・」
「なんだ、聞こえない」
「痛いに、決まっているであろう」
そう言って、三日月は審神者に抱き着くと、審神者は後ろに倒れこんだ。
三日月はそのまま、静かに泣き出す。そんな三日月の頭を、ゆっくりとまるで子供をあやす母親のように撫でてやる審神者。その姿を見て、周りの刀剣男子たちは、ホッと息をついて力を抜いた。
しばらくして・・・。
「・・・こんのすけ、困った」
「どうなさいました、主殿」
「こいつ、寝たぞ」
は?と、こんのすけと三条が代表してのぞき込んでみれば、目元は泣きはらして赤いものの、とても安らかな顔をして眠り込んでいる三日月の顔があった。
「私にはまだ、仕事が残っているのだが・・・」
午前中に、畑の仕事を終えた審神者は午後から、この本丸の掃除をしようとして、三日月とやりあったのだ。
だから、やろうと思っていた仕事は終わっていない。
「なれば、私たちが代わりにやりましょう」
「そうですね。みかづきも、そのままのほうが、いいよね、いわとおし」
「そうだな。久しぶりに、三日月の寝ている姿を見たからな」
そう言って、何をすればいい?と問いかけて来る彼らに、仕方ない、と息を吐いて、審神者は彼らに掃除を頼んだ。
騒がしく、でも楽しそうな彼らの声を聴き、三日月の暖かさに、瞼が落ちてきた審神者はそのまま、三日月を抱き込んで寝てしまった。
次の日、パチッと目を開けてみれば、目の前には少し赤みの残る美形な顔。
三日月の顔があって驚いたけど、すぐに昨日の事を思い出して、変に入った力を抜いた。
誰かが布団に運んでくれたらしい。ありがたいことだ。
三日月はがっちりと服を握っていて起きれなかったので、揺り起こす。
「三日月、起きろ。」
「・・・ん、んー・・・ある、じ?」
「おはよう、三日月。起きたか?なら、放してくれ」
手を引っ張ると、あぁ、おはよう。と言って三日月は服を握っていた手を放した。
それを見て、布団から出ると、三日月も起き上がる。
「まだ、寝ていていいぞ?」
「いや、起きよう。」
にっこりと、笑って言う彼にそうか。と返す。
昨日はそのまま寝てしまったこともあり、朝風呂に入ろうと、部屋に戻って着替えを持つ。
その間も、何故か三日月はニコニコしたまま、審神者のあとを追って部屋に入り、座って審神者の支度が出来るまで待っていた。
審神者の部屋に用でもあるのか、と放って置いた審神者だが、風呂までついてきた三日月に首をかしげる。
「お前、どこまで付いてくるつもりだ?」
「ん?主は風呂に入るのか。俺も、昨日は入ってなかったなぁ。では、入ろう」
そう言って、服を脱ぎだした三日月に、審神者はため息をついてから、仕方ないか、と一緒になって服を脱ぎだす。あまり、頓着しないのがこの審神者のいいところでもあり、抜け居ているところだ。
髪留めを付けたまま、風呂に向かう三日月に待ったをかけ、その髪留めをはずし、一緒に中に入った。
風呂は、いつも誰かに付き添われていたという三日月に、しょうがないと息を吐いた審神者は、風呂椅子に座らせると、髪を洗い始めた。
「うむ、主にしてもらうのもなかなかに、気持ちが良いものだな」
「自分でできるようになってくれ」
そうして、洗い流すとつやつやとした黒髪。そうだ、水も滴るいい男って言う奴だろう。
はぁ、とそれを見てため息を吐くと、背中を流し、手ぬぐいを三日月に渡す。
「前はさすがに自分で洗ってくれ。」
と、審神者は自分の髪や体を洗いだした。
「・・・主は、やはり女子なのだな」
「やはり?」
「その口調、姿からして男だと思っている者も多いだろう」
「・・・そう、なのか?」
少なからず、ショックを受けたような審神者。
「一人称は、私、なのだが」
「男でも、私と言う者は沢山いるだろう。石切丸も、一人称は私だ」
あぁ、そうだった、と審神者は頭を抱えたが、なるようになる、と切り替えた。
二人で、湯につかり、外の景色を眺める。
すると、桃の花びらが一枚だけ落ちて来る。
「ようやく、桃の花も咲くようになったか」
「そうだなぁ」
そう言って、二人温まると、湯船を出た。
背中合わせに着替え、審神者がさらしを巻き終わり、道衣を羽織ると三日月に呼ばれて振り向く。
「・・・三日月、お前自分の着物もまともに着れないのか?」
と、ため息を吐きながらぐちゃぐちゃになったそれを脱がし着せていく。
「よきかな、よきかな」
「よくねーよ・・・?」
と、三日月の着物を着せた。
とりあえず、三日月だけでも何とかしてしまおうと、備え付けの何故かある洗面台の前に座らせると、髪留めを持たせたまま、とりあえずドライヤーを吹きかける。三日月に、胸を押し付けているのも気にせずに。
乾いて、よし、というところでパンっ、と音を立てて風呂場の戸が開いた。
「三日月さんか主い・・・て、ぇえええええええ!!!!????」
「うるさいぞ、燭台切。何かあったのか?」
「いや、君たちがいないってか、前、前!!!」
まえ?と首をかしげて、燭台切が指を指す自分の体を見た。
別に、変なものはないが?と思う。
そう思っていると、不意に三日月に着物を合わせ、紐を絞められた。
「主、他の者には目の毒だ。さぁ、着替えられよ」
「・・・?そう、なのか?」
そう言って、まぁ、とりあえずと言った風に主は着替え始める。そんなマイペースともいえる、抜けている二人に、燭台切はあーもう!!と頭を掻いた。
「というか、何で三日月さん主と一緒にお風呂入ってるの!?」
「んぅ?」
「何で主は拒まないの!」
男と女でしょ!!と燭台切が叫ぶが、審神者も首を傾げた。
「刀剣男子と言えど神だから、性別など関係ないかと思ったんだが」
「大いにあるよ!!もう、終わったなら行くよ三日月さん!!」
全く!と言って、燭台切は三日月を引っ張っていった。
パンっ、と乱暴に閉められた扉を見て、一体何だったんだ?と審神者はため息を吐いた。
END
パタパタと本丸を走り回って遊ぶ短刀たち。その足音が、ある場所でピタッと止まった。
そして、くるっと踵を返してそろそろと帰っていく。
そんな様子を不思議に思い、けれど鶴丸に次の出陣の予定を伝えなければいけなくて、探してその場所までたどり着いた。
「あっ、主、そっちは・・・っ!」
何故か後ろから、今日の近侍の燭台切に引き留められそうになったが、気にせずに曲がった。
ら、黒い物体が通路をふさいでいた。
何故か、後ろでこれはね、と必死で誤魔化そうとしている燭台切。その様子を、少し首をかしげて見やり、そして、黒い物体の奥にいた鶴丸を目に留めた。
「よう、主。用事か?」
「あぁ、鶴丸。明日、白河へ短刀を率いて資材を集めに行ってくれ。そんなに時間をかけなくていい。敵が出たら即座に戻って構わない」
「了解」
何故か、後ろで脱力している燭台切。
そして、足元の黒い物体。
「・・・所で、この黒い物体は何だ?」
「今更?ねぇ、今更なの!?一番初めに気が付いてよ、ねぇ!」
「うるさい、光忠。」
鶴丸の膝から、少しだけ首をずらして、燭台切を睨みつける大倶梨伽羅。
燭台切は、ため息を吐いて、鶴丸は笑っていた。
「大倶梨伽羅か。寝るのは良いが、風邪ひくなよ」
「突っ込みどころはそこ?主はバカなの天然なの?」
「・・・お前もよく、行き倒れた長谷部にやっているだろう?」
見られてたのか、と燭台切は顔を少しだけ赤く染めた。
長谷部はよく、張り切りすぎるのかよく分からないが行き倒れている。
それを見つけるのは、大抵燭台切だ。
「ここでは、普通なのだと思っていたが・・・違うのか?」
「こいつは驚いた!主は、まさしく天然者だな!」
「養殖はされていないが・・・?」
小首をかしげれば、そういう意味じゃない、と突っ込まれた。
鶴丸は盛大に笑いたいだろう体を、最小限にとどめていた。見れば大倶梨伽羅の手が腰に回ってしがみついているようにも見える。
それを、嫌がっていないどころか、鶴丸は大倶梨伽羅が寝やすいようにと体制をあまり崩してはいない。
が、そろそろ昼飯の時間だと言う事を思い出した。
「さて、そろそろ起きろよ。もうすぐ昼だ」
鶴丸が、分かっているさ、と笑うそれを見て燭台切を連れてその場を引き返した。
「燭台切、あいつら来ると思うか?」
「残念ながら、僕には昼にくりちゃんは起きそうもないと思ったけど」
そうか、と笑って歩き出した。
かと思えば、キラッと主の瞳が輝く。
「所で、燭台切」
「なに、主」
「あれは、踏みつぶしても良いよな?」
ニッコリと笑う主の目線の先には、のんびりとお茶をする、三日月の姿が。
今日は確か、三日月は馬番だったはずだ。なぜ、あんなところでお茶なんかすすってんだ。
「・・・ご自由に」
音もたてずに近づくと、後ろからその頭に足を上げた。
天下五剣にそんな事出来るのは、彼女しかいない。と思われる。
END
おまけ
「坊、今回の主は面白いな」
鶴丸のその言葉に、大倶梨伽羅の頭はわずかに動いた。
それを、鶴丸は肯定の証と受け取る。
「この体勢を見ても、動じないどころか普通だと受け入れている。普通なら、驚きそうなものだがな。」
「・・・バカなだけだろ」
「主は、バカではないさ。ただ、少し・・・いやだいぶ天然なだけで」
前の主は、二人のこの距離を嫌がり、無理やりにでも引きはがそうとした。
それが元で、大倶梨伽羅は月に1、2度鶴丸を離さなくなる。
大倶梨伽羅の側からは、色々な者がいなくなった。だからこそ、一人で馴れ合いを嫌うが、鶴丸だけは執着した。大倶梨伽羅にとって、燭台切は兄弟のようなものだが、鶴丸は自分を包んでくれるただ一人だから。
居なくなってしまって、とてつもないショックを受けた。
そのトラウマを悪化させ、離さないようにと、握りしめて動かない。
それを、鶴丸は拒否しないし、受け入れる。この不器用な、愛情がいとおしく感じてしまうから。
「でも・・・、そんな主に感謝しないといけないな」
大倶梨伽羅は、そんな鶴丸の言葉に小さく、でもはっきりと、是と答えた。
「とりあえず、もうすぐ昼みたいなんだが・・・」
「・・・」
大倶梨伽羅は、黙り込んだ末に、その頭が重くなる。
すうすうと規則正しい寝息を立て始めたそんな様子を見て、こりゃ、くいっぱぐれだな、と鶴丸は笑ってその頭を撫でた。
おわり。
好き勝手書いて、満足です。
男だと思われている女審神者が書きたかったので、あえて性別は乗せませんでした。どっちでも、審神者の性別は女だと分かるように書いてあります。
そんな審神者、いないと思うけど。
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