鶴の宝


閲覧後の苦情は受け付けません。


舞台暁の独眼竜の、ネタバレありです。
舞台のあのシーンの後を腐的に妄想してしまって、駄目ですね、つるくり脳はっ!!
ブラック鶴丸、本当にありがとうございますですよ。
妄想が、はびこります。伊達組大好き!!

そもそも、三日月→鶴丸←大倶利伽羅、なお話を書きたかったの。どうにもこうにも、三日月→つるくり。にしかならないっ!!でも、三日月入れて三人でっていうのもありかなとは思ってる。
基本的に、鶴と伽羅が居ればそれでいいんだけど、三日月が入ってもいいなっ、と。
勿論、全面的に伽羅ちゃんが受けだけど。

鶴丸の腕の中で、鶴丸の胸元を枕にしている大倶利伽羅にとても萌を感じます。






いくら、三条と五条の刀といえど、身の内に持つ神気はもう別物になってしまっている。近いけれども、遠い存在に。
鶴丸が重症を負った。俺のせいだ、と大倶利伽羅は思った。
本丸まで、鶴丸が折れないようにと三日月は口移しで神気を渡している。が、大倶利伽羅の目には、鶴丸の身の内で反発が起こっているように見えた。
チッと舌打ちをしたあと、大倶利伽羅は三日月を押しのけると、鶴丸の神気を整えるために口づけをする。
自らの神気を注ぎつつ、鶴丸の神気と三日月の神気が溶け合うようにと繋いでいく。
伊達の刀で、二百年も一緒に居た大倶利伽羅のほうが鶴丸と神気は近い。その分溶けやすい。その大倶利伽羅の神気に三日月の神気を紐付けしてやるだけで良かった。
紐付けが終わると、鶴丸に神気を渡しすぎたのか、ガクン、と大倶利伽羅は座り込んでしまった。それを、三日月は目を細めて見やる。鶴丸に関しては、とりあえず本丸までは持ちそうに回復はしている。早く手入れをしてやらねば。

「子龍が無理をする……」
「うるさい。どこで折れるかは俺が決める……先にいけ」

はぁ、はぁ、と息を辛そうに吐いている大倶利伽羅。
三日月の目には、大倶利伽羅の神気が気薄に見えてしまっている。実際、大倶利伽羅はもう、殆ど神気は残っていなかった。それでいいのだと、大倶利伽羅は思っている。
そもそも、黒甲冑に鶴丸が飲み込まれたことも、鶴丸が今この状態なのも、元を正せば大倶利伽羅の責任だと思っているからだ。
三日月はそんな大倶利伽羅の心情を知ってか知らずか、歌仙と光忠に鶴丸を預け、先に行くように支持を出すと、大倶利伽羅の元へと膝を付いた。

「大倶利伽羅」
「なんだっんっ!」

大倶利伽羅の顎を持ち上げた三日月は、目を細めて笑うとそのまま口をつけた。
ゆっくりと己の神気を大倶利伽羅に送り込んでいく三日月。
大倶利伽羅は初めの内は驚いて抵抗していたものの、送り込まれてくる神気が余りにも飢えた体を満たすから、夢中になってそれを貪った。

「ん……っ、んっ、ぁっ……」
「うい事をする、これでは鶴に怒られてしまうなぁ」

唇が離れても、すがるように見やる大倶利伽羅。そんな大倶利伽羅を三日月は、クスクスと笑い見る。
意識がハッキリとしてきた大倶利伽羅は自分のしていることを自覚して、顔を真っ赤に染めた。無意識に、三日月へとすがりついていたらしい。中腰の三日月の首元へ伸びる自分の腕。クスクス笑いながら、己を引っ張って立たされて、何も言えなくなってしまう。

「さて、皆を追いかけるとしよう」
「…………あぁ」

三日月にすがりついていた手を離し、距離をとった大倶利伽羅は三日月の言葉に頷きを返した。
うつむき、三日月から視線を外しながら。

本丸へ戻り、鶴丸の手入れが終わると、大倶利伽羅は側に居てもいいのかと迷いながら、片膝を抱えた状態で部屋の隅に身を預けていた。ちなみに、鶴丸と大倶利伽羅は同じ刀種というわけではないが、同じ伊達の刀として同じ部屋を割り当てられていた。
御物としての仲間が居ないわけではないが、それでも伊達の頃の仲間というのは鶴丸にとっても大切なものだった。一所に留まっていることのなかった鶴丸が、二百年もの間、伊達家には居たのだから。ボンヤリしている記憶の中で唯一ハッキリと思い出せる場所だ。落ち着きが違う。
そんな自室で鶴丸は、グロッキーな状態で目を覚ました。

「……あ゛ぁ゛ー、気持ち悪い……悪酔い、している気分だ……こいつは、驚きだな……」
「……そんな事に驚きを見出すな」

鶴丸の側によって、目を覚ましていることを確認する。目覚めてよかった、と思いつつホッと息を吐いた大倶利伽羅。
鶴丸は、大倶利伽羅を見て苦笑した。後に、苦笑いだ。

「あぁ……審神者の神気と君の神気に……こいつは三日月か。通りで……ちゃんぽんでもしている気分だぜ」
「……吐きそう、なのか?」
「いや?ただ、君からも三日月の神気がすることには、吐き気と言うよりも、憤りを感じざるを得ないがな」

ビクッ、と鶴丸の怒っているような瞳に、体を跳ねさせる大倶利伽羅。鶴丸が怒っているところを初めて見る大倶利伽羅は、どうしていいのかも分からなくて、唇を噛んだ。
鶴丸は、手を伸ばして大倶利伽羅の目元へと触れた。
大倶利伽羅はそれを受け入れ、目を閉じる。ひんやりとした手が、夏のこの時期には心地よくも感じてしまう。

「君に怒っているわけじゃない。自分が、少し不甲斐ないだけさ。そんな顔をするな」
「つる……」
「おぉ、俺はここに居るぞ」

ぬくもりを分けるように、鶴丸は大倶利伽羅を抱きしめ布団の中へと引きずり込む。
そうして、ぽんっ、ぽんっ、と背を叩いて子供をあやすように語る。

「泣きそうな顔をしている……それに顔色も悪い……寝てないのだろう?心配をかけたな」
「……つる」
「あぁ……君の、鶴丸国永だ」
「……ごめっ、なさ……っ」
「おやおや、俺の子龍へと戻ってしまったかな?」

口調が幼くなってしまって、泣き出した大倶利伽羅を見てからかうように鶴丸が言う。
そんな鶴丸に、ただごめんなさいを繰り返す大倶利伽羅。
同じ、子龍、と言われても三日月と鶴丸では大倶利伽羅の中で発する感情は天と地ほどの開きがあった。
俺の子龍。鶴丸と過ごしていた間、大倶利伽羅を伽羅坊、と呼ぶよりも多かった。それ故に、馴染みある呼ばれ方なのだ。その頃はまだ、大倶利伽羅もまだ精神が幼く、生まれたてに近い状態だったから。鶴丸に、守られていた。

泣き疲れて眠ってしまった大倶利伽羅を、自分の褥へと寝かせると、鶴丸は寝間着から着替えて内番衣装で部屋を出た。本体を持ったまま。
本丸をうろつき、声をかけられながら、目的の刀を探す。
そうして、縁側で茶を飲んでいるそいつを見かけて、にっこりと笑う。

「鶴や、目が覚めたか」
「おかげさまでな?……ありがとう、と礼を言いたいところだが」

鶴丸の刀が、三日月へと鞘のまま向けられる。
鶴丸の瞳には怒りが浮かんでいた。

「少し、やりすぎだろう?」
「……はて、何のことかな?」
「伽羅坊を助けてくれたことには礼を言う。が、俺が目覚めるまでに消えないまでの神気を与える必要がどこにあった?」
「子龍が、望んだものでな」
「三日月、俺の子龍に手を出したらどうなるか……分かってるだろうな?」

鶴丸の、宝。それが、龍の宝珠なんてものではなく、龍そのものだと知っているのはどれだけ居るのだろう?
三日月はそのうちの一人だ。
はっはっはっ、と笑っているが、鶴丸の怒りを買うことをわかっていて、少しだけいたずら心が芽生えたのも事実。
一睨みしてから、三日月から刀を離すと、そのまま踵を返していく鶴丸。
行く先など、聞かなくても分かる。

「二度目は、ない」
「では、鶴や。お前も、気をつけるといい。今回の責はお前にもあるのだから」
「わかっている。二度もこんなヘマはしない。上手くやるさ」

他の刀剣が近くに居るときは、二人共とても仲が良さそうに見えるが、二人だけになると、相手を知りすぎているのか、似たもの同士なのか、同族嫌悪とでも言うべきか、こうも殺伐としている。
鶴丸が三日月を驚かせたいのは事実だが、大倶利伽羅まで巻き込むつもりはなかったのだ。
上手くやる、そう宣言したとおり、鶴丸は上手く大倶利伽羅を守るのだろう。

鶴の宝を、愛子を。

「つる……」
「おお、悪かった。少し、用事を足してきた」

部屋に戻り、少し前に起きただろう上半身を起こしている大倶利伽羅と目が合う。
鶴丸は、優しく大倶利伽羅に微笑んで、その体を抱きしめながら再び床へと戻る。
体温の低い鶴丸にとって、大倶利伽羅は暖かく、心地のいい存在だった。
まぁ、そうでなくとも、鶴丸は大倶利伽羅を邪魔な存在だとは一切思わないだろうが。

「俺はまだ少し眠たいんだ。付き合ってくれ、坊」
「……離すつもりはないのだろう?」

仕方がないな、と言いつつ自分の居座りのいい場所をもうすでに探し始めている大倶利伽羅に、鶴丸は気づかれないようクスクスと笑う。
大倶利伽羅が、結局鶴丸の胸元へと収まったことで、それもバレてしまうのだが。
まぁ、自分の体に大倶利伽羅が抱きついてくるのも悪くない、と鶴丸が思うところで。
二人の記憶は、仲良く溶けていった。
鶴丸の腕は、大事そうに大倶利伽羅を抱えたまま。

鶴の宝に手を出してはいけないよ?突かれ喰われてしまうから。

END




どうして、伽羅ちゃん庇ったの?

「三日月に驚きを……も有ったが、例え政宗公の黒甲冑とは言え、俺のモノ(伽羅)に触れて入るだなんて……許せるはずもないだろう?」

……左様で。

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