ブラック本丸とリーダーズ


キャラ崩壊もお手の物。閲覧後の苦情は一切聞きません。
閲覧前も聞きません。とりあえず、私が楽しければそれでいいのです。
好きなモノ×好きなモノ=おいしい、でしょう?



三日月宗近→睦びの主、雪待ちの主
短刀、太郎太刀→黒の主、白の主
光忠、髭切→黒くん、白くん
鶴丸、御手杵→黒、白
大将組→黒大将、白大将
一期一振→黒殿、白殿
大倶利伽羅、骨喰→黒いの、白いの
和泉守→黒さん、白さん



少し、支部に上げた時のままなので、その内修正します。








突然の事、誘拐のように政府に拉致られ、グラビ、プロセラのメンバーは五か所のブラック本丸の後を継ぐことに成った。
反対した所で政府の決定は覆ることは無い。
はぁ、と誰かがため息を吐いたところで、彼らは組み分けられる。

始と隼、春と海、新と夜、葵と陽、そして年少組だ。

年少組については、四人で一人前の審神者クラスらしい。






隼「……僕と始が同じ本丸にって、何か作為的なものを感じるよ」
始「同感だな」

苦笑する隼に苦笑いする始。
政府が用意した移動装置に乗り、始と隼は未来へと飛んだ。

どんよりとして、生ごみのような異臭を放つ建物。
隼と始にあらかじめ説明された話でも、、渡されていた端末で確認しても、どうやらここが本丸と言うものらしい。
本来の姿かたちからは、かけ離れてしまっているけれど。

始「コレが、本丸?付喪神が住む社?あり得ないな」
隼「僕もそう思うよ。けど、中から人の気配はするね」

そう言って、隼は本丸の外れかけた大門をギィ……っ、と開いた。
中は荒れ果て、枯れた草や坊主になった木々が閑散としていた。
始と顔を見合わせ、慎重に進んでいく。
本丸の中心地に向かい、そこで祝詞を唱えれば、少なくともこの本丸の状態は元の形に戻ると聞いた。
こんのすけと言うサポートの式もいるみたいだが、中に入ってきた始と隼を感知できていないのか現れる様子もない。
端末で一応、今どのあたりにいて中心地がどこか、と言う事もわかる。
護身用に持たされた木刀は二人とも利き手に持っていたり脇に挟んでいたり。
端末を操作している隼は、いつ何が起きてもいい様に縁側沿いを、始は障子側を歩いていた。

始「隼ッ!」

ある部屋の前を通りがかった時の事、人の動く気配に、始は隼を庇いながら木刀を構えた。
本調子ではないのか、始の受け止め方が上手かったのか、障子を切り裂き、始たちに襲い掛かってきた刀は始によって受け止められた。

始「誰、だ?」
?「はっ、はっ、はっ、受け取らめらるとは思わなんだ、人の子よ」

始をもう少し大人にしたような声だった。
隼は、彼を見て頭の中のデータベースと合致させる。
あの時見せられた資料よりも大分やつれて、そして瞳にはあの輝きがない。
やれやれ、と隼はニッコリ笑った。

隼「君は、三日月宗近だよね?僕らは」
三「新しく来た審神者であろう?」
隼「ご名答。じゃあ、その刀をすぐに降ろして、手入れ部屋へと向かってくれるかい?」
三「俺が、傷ついていると?」
隼「違うの?」

にっこりと笑ったまま、目を逸らさずこてっ、と首を傾げた隼。
暫く睨みあっていたが、はははっ、と三日月は笑って刀を引いた。

三「面白い審神者が来たようだ」
隼「それは誉め言葉として受け取っておくよ」
始「隼、それより」
隼「あぁ、そうだったね始」

鞘に刀を納めた三日月に端末を見せる隼。
ほう、と三日月はうなづいた。

隼「僕らはここに向かいたいんだ」
三「ならば、俺が案内しよう」
始「おい、隼。大丈夫なのか?」
隼「問題ないよ。三日月宗近は、大丈夫」

全く、どこからそんな自信がくるんだ、と始はため息を吐きつつ、それでも三日月から警戒を解いた。
おや?と三日月の目が細められる。

三「白い審神者の言う事を信じても大丈夫なのか、黒い審神者よ」
始「白……隼の事か。まぁ、コイツなら大丈夫だ。人を見る目は確かだろ」

普通に隼も始もお互いを名前で呼び合っているが、その名を教えていない三日月には聞こえないみたいだ。
白い審神者が隼、黒い審神者が始だろう。

三「信頼しておるのだな」
始「長く一緒にいるからな」

はぁ、とため息を吐きつつ始たちは三日月に連れられて本丸の中心地へと向かう。
心なしか、隼のテンションが高い気がする。
三日月が居るからか、他の刀剣たちが出てくる様子はない。
いる気配は感じても、襲い掛かってくるようなことは無かった。

本丸の中心地にたどり着くと、三日月は何とも言えないような顔でその部屋を見ていた。
その部屋に何かあるのか、と聞くまでもない。
前任者の部屋が本丸の中心だと言うだけの話だ。この本丸で起こった出来事を、始も隼も政府から説明されている。
始たちが赴任する本丸五か所すべて、前任の所業を説明されてはいたが、この本丸が一番ひどいありさまだった。
気に入らない刀剣を折るのはもちろん、疲労困憊でも出撃や遠征は当たり前、そして何よりお気に入りには夜伽までさせていた。
その前任の審神者は、喉を切り裂かれ、複数の刀に刺された状態で見つかった。
それほどまでに、恨みを買い、そして死んでいったのだ。
中心地のこの部屋で。
この部屋は特に死臭がひどい。血の匂いではない、何とも言えない死臭だ。
始はは言った瞬間に眉を顰め、隼は表情を無くした。

それでも足を踏み入れ、二人が部屋の中心へと立ち向かい合う。
パンッ、と揃って柏手を打ち鳴らす。
すると、二人を中心として空気が変わっていく。


始隼『天清浄 地清浄 内外清浄 六根清浄と 祓給う
天清浄とは 天の七曜九曜 二十八宿を清め
地清浄とは 地の神三十六神を 清め
内外清浄とは 家内三寳大荒神を 清め
六根清浄とは 其身其體の穢れを
祓給 清め給ふ事の由を
八百万の神等 諸共に
小男鹿の 八の御耳を 振立て聞し食と申す』


二人が一言発していく度に、本丸の空気は清浄化され、黒く淀んでいた本丸もきれいになっていく。
ほう、と部屋の外から二人の様子を見ていた三日月は頷きを一つ。
ブワッと、光に包まれたかと思えば、本丸は真新しい姿で生まれ変わっていた。
パンッパンッ、と柏手を打ち、礼をして終わりを告げた二人に、三日月は拍手を送った。

三「見事な天地一切清浄祓、だな。本丸が生まれ変わったようだ」
隼「まぁ、僕も始も睦月と霜月だからね」
三「ほう……東の睦月と西の霜月であったか」
隼「付喪神にも僕らの家は有名みたいだねぇ、始」
始「そうみたいだな。それよりも、三日月宗近」

ふと、始の瞳が三日月を捉える。
何だ?と三日月も始をまっすぐに見た。

始「来たばかりで使いに使って悪いとは思うが、俺たちに反抗的な刀は居るか?」
三「この本丸に、お前たちを受け入れようとしていた刀などいる筈も無かろう?俺も含めて、な?」
始「そうか……じゃあ、お前たちで話し合って決めてくれ。人数は五人前後、一時間後にあの離れにある道場で待っている」
三「何をするつもりか、聞いても良いか?」
始「手入れだ」
三「は?」
始「手入れをしたいと言っても聞きそうに無いからな、素直に受けられるようにしてやろうと思ってな」
三「……して、その方法とは?」
始「道場でする事と言ったら一つだろう?全員、手入れ部屋送りにしてやる」

にやり、と笑った始に、一瞬驚いてから三日月は裾で口元を隠しながらくすりと笑う。

三「随分、腕に自信があるみたいだな、黒い審神者よ。だがしかし、この本丸の刀剣男子たちも中々に強いぞ」
始「知っている。が、負けるつもりはない」
隼「僕の負担が増えるからなるべくなら怪我してほしくないなぁ、なんてね」

隼がちゃかしながら首をすくめると、始はため息を吐いて三日月は気がそがれたように笑った。

三「ならば、一時間後に向かわせてもらおう」
始「頼んだ。三日月宗近」

三日月は始の言葉を聞きながら、行ってしまった。
ふぅ、と息を吐いた始に対し、隼は、きらきらとした目をすると耐えきれない、と言うように叫ぶ。

隼「資料を受け取った時からどことなく始に似てるなって思ってたけど、声までそっくりだなんてこれは運命かな!?運命だよねっ!あぁ、どうしようっ!!始と一緒に暮らせるだけでも夢の陽なのに、始とそれから声も似てる、始の刀剣男子化したような三日月宗近もいるなんてっ!!僕の心臓、もつかな?そもそもこれは、ファンとして他のみんなの抜け駆けにはならないだろうか?でもでも、僕の心のアルバムに収めるくらいならっ」
始「しゅーん、落ち着け」
隼「いたたたたっ、あぁ、痛いよ始ぇええっ、ご褒美ですっ」

暴走しだした隼の頭にアイアンクローをかます始。
隼はそれすらも、はぁはぁ、と受け止めていた。

隼「それより始。この部屋、どうしようか?」
始「……祭壇でも飾っておくか?」

前任の審神者の部屋だが、自分たちでは使いたくない。けれど、他の刀剣男子たちにも回しづらい。
ならば、如何するべきか。迷った末に、あっ、と隼が手を叩いた。

隼「ココ、僕の始コレクションの部屋にしても良いかな?」
始「却下だ。どうしてそうなった」
隼「僕の始コレクションって、この本丸見てたら、部屋に入りそうにないし、厳選したのだけ部屋に置いて、その他の始コレクションを置いておきたいなぁって。そうしたら、皆に始の事を知ってもらえるし、この部屋の印象もだんだんと良くなっていくんじゃないかなぁって!」
始「じゃあ、お前のグッズも半分は置け。そうすれば、お前の事も知ってもらえるだろ」
隼「えぇー?僕のは良いよ。始のグッズ「しゅーん?」……はーい、分かったよ。じゃあ、僕と始のグッズを置くことにしよう」

少し不服そうな隼との話を終え、始と隼はそのまま道場へと向かった。



道場へ向かう途中、隼は端末を開いてみる。先ほどの祝詞によって変わった所は無いか確認だ。

隼「あれ?」

端末を起動すると、そこには’システムを更新しています’の文字。
暫くして、’アップデート完了しました’と言う文字が浮かび、見たかったこの本丸の全体図が出てくる。
ん?と隼は首をかしげる。

始「ん?どうした?」
隼「本丸、広くなってるかなぁ?って」

始が端末を覗き込むと、始も目を見開く。

始「本当だな……前の審神者よりも俺たちの方が霊力が優っていたのか」
隼「二人で一人前だとか政府の人は言っていたけどね」

呆れた顔で二人で端末を覗き、はぁ、と何度目かになるか分からないため息を吐いた。
とりあえず、約束が先だと二人で道場へ向かう。
三日月に集められたのか、向かう最中、刀剣男子に合う事は無く、そのまま道場へはすんなり着いてしまった。
道場へ入る前に一度礼をして入り、始は腰を下ろすとふぅ、と息を吐き精神を統一させるために目を閉じる。
隼はと言えば、壁際に立ちそんな始の姿をじっと見つめていた。愛しそうに。その瞳に、一切の不安はない。

一時間の少し前に、三日月は道場へとやって来た。

三「おや?遅くなってすまなかった」
始「いや、予定よりも早いくらいだ」

そうだったか?と三日月は笑いながら中に入って来た。
後ろから、ぞろぞろと刀剣男子達が入ってくる。
その殆どが傷を負い、包帯を巻きっぱなしでいる。

三「とりあえず、皆の紹介はいるかな?」
隼「いや、大丈夫。みんなの顔、ちゃんと分かってるよ」
始「山姥切国広と和泉守兼定、骨喰藤四郎、薬研藤四郎、太郎太刀、鶴丸国永と燭台切光忠、髭切か。予想以上に多かったな」

うっすら、嬉しそうに始は笑う。
隼もこんなに初日に刀剣男子の姿を観れるとは思ってもおらず、にっこりと微笑んだ。

始「それで、どうする?一対一で戦うか、それとも纏めてかかってくるか」
三「はっはっはっ、黒い審神者よ。お主、この人数を一遍に相手するつもりか?」
鶴「おいおい、そりゃ何でも無謀ってやつだろ」
始「何を言っている。お前達こそ舐めたことを言うな。そんな傷だらけの姿で俺に勝てると本気で思っているのか?」
和「ふざけたこと抜かしてんじゃねーよ!」
隼「はいストップ」

刀剣男子を煽る始に、頃合いを見て隼はパンパンっと手を叩いた。
視線が隼に集まり、始はふぅ、と息を吐いた。

隼「ルールを確認しておくけど、まず君たちにはこの本丸の代表として始と戦って貰います。負ければ、皆んな手入れ部屋へと入ってもらうよ。勝てば、僕たちは素直にこの本丸から去る。模擬戦は木刀ですること」
薬「はっ、真剣が怖いのか?」
始「勘違いするなよ。ここでお前達を折ったところで俺たちには何の特にもならないどころか、むしろ面倒な事になるから木刀で試合をするというだけだ」
山「……真剣を、木刀で叩き折るというのか?」
始「まぁ、その通り、だな」
燭「信じられないな……」
隼「はいはい、続けるよー。それで、勝った負けたの審判は僕と……そうだなぁ、三日月宗近、君にしてもらおうかな?」
三「あい分かった。引き受けよう」

三日月に連れた来られた彼らは驚きの声を上げるが、三日月はいつも通りの食えぬ笑顔だ。
すると、髭切がゆったりと歩きながら隼へと近づいてくる。

髭「ちょっといいかな?僕の話も一応聞いてくれると嬉しいんだけど」
隼「なぁに?」
髭「僕は、この模擬戦には不参加だよ。この模擬戦に参加するのはあそこの七人。僕はただ、この戦いの勝敗を見に来ただけだから」

髭切は隼のそばに来て、とんっ、と壁に背を預けた。
腕を組んでいつも通りののほほんとしたような顔をしている。
隼は一度、じっと髭切を見たが、次の瞬間にはまた彼らに向かって話し始めた。

隼「勝敗の有無に関しては、僕と三日月宗近で見るけれど特にルールがあるわけじゃないから、戦闘不能になる、もしくは負けを認めるか、が負けとしよう」
和「へぇ?じゃあ、文句ねぇよなっ!」

和泉守は、にやりと笑うと壁にかかっていた木刀を持ち、始に襲いかかる。
始は、らしくなく舌打ちをすると、和泉守の太刀筋をかわし、そのまま足を引っ掛けて転ばせる。そのまま、体を踏みつけ頭に木刀の切っ先を向ければ、誰かが息を飲むのが分かった。
隼は相変わらずニコニコと笑っている。心配などかけらもしていない。
和泉守は、始の下から動こうともがいているが、一向に動けてはいない。

始「降参するか?」
和「誰がっ、くそっ!」
三「はっはっはっ、これでは和泉守の負けだな」
和「おい、じいさんっ!?」
隼「相手に何もできないんじゃ、負けと一緒だねぇ。という事で、手入れ部屋へ行ってらっしゃい」
和「は?えっ?ちょっとま」

パチン、と隼が指を鳴らすと和泉守の体は消えた。
その瞬間、隼へと殺気が集まる。

三「白い審神者よ、お主、和泉守に何をした?返答次第では、その首が胴から離れると思えよ」
隼「おや、怖いなぁ。僕はただ、彼を手入れ部屋へ送っただけなのに」
始「……隼は魔法が使えるんだ。あまり深く考えるな」

始の言葉を聞き、半信半疑なのか三日月は髭切へと目配せをして、髭切はやれやれと首をすくめ道場から出て行った。手入れ部屋へと向かったのだろう。

隼「皆んなで疑うなんて酷いなぁ」
始「初めてお前の力を知ったやつが疑わないわけないだろう」
隼「僕は別に普通なのにね?」

(((どこがだ)))

心の中で、始と刀剣男子達の心が初めて一つになった瞬間である。





開始の合図は無く、次々と木刀を手にした彼らは、連携を取りつつ始へと襲い掛かる。
刀剣たちの動きを見て、動いている始は劣勢に思えるかもしれない。けれど、隼には始がそうなるように誘い込んでいるようにも見えた。
そして、それが当たっている事を隼は次の瞬間、知った。
始は、周りを六人に囲まれて、焦るどころかにやり、と笑った。
そして、抜刀のように構えると彼らが動き出した瞬間を狙って薙ぎ払った。
ダンッ、と隼のすぐ側にも山姥切が飛ばされ背を打った。

薬「くっ、はははっ、はははははっ」
骨「……や、げん?」
薬「いや、コイツは敵わねぇや、はははっ、今回の大将は強いなぁ」

大太刀並みだ、と薬研はしりもちをついたまま、笑い転げている。
まぁ、大太刀の太郎太刀でさえ吹き飛ばしてしまえるなんて、そりゃ規格外もいい所だろう。

鶴「確かにな……あー、やめだやめだっ、負けだよ、手入れでも何でも受けてやろーじゃねぇの」
燭「ちょっと鶴さん!」
太「私でも、敵いませんか……黒い審神者は……」

諦めたように笑う太郎太刀に、鶴丸さえも笑っている。
審神者である始に負けたことが、とても嬉しそうに。まぁ、元が刀であるがゆえに、戦闘狂の血が騒ぐのかもしれないけど。

始「……揃も揃って、人を化け物みたいに言うな」

はぁ、とため息を吐く始に、鶴丸と薬研の笑い声が響く。
三日月も心なしか笑っているようで、目を細めながら口元を隠している。
髭切がその間に戻ってきて、和泉守の無事を伝えていた。ちゃんと手入れ部屋へ入っていたと言う。

山「……まだ、終わってないっ」
三「山姥切っ!」

ゼーハーと息を切らせながら、木刀を支えにして立ち上がろうとする山姥切に、三日月が慌てたように叫ぶ。
立ち上がろうとして転びそうになった体を、隼が支え、助ける。

隼「僕は無理しない方が良いと思うなぁ」
山「うるさい……」
隼「君はこの本丸の初期刀で、責任、感じてるのかもしれないけど……悪いのは前の審神者であって、君じゃないんだから少しは気を抜いてみたらどうだい?」
山「アンタに何が分かる!?目の前で兄弟もが折られ、俺は使えない初期刀だと言われっ!!兄弟も、他の仲間も守る事すらできない、こんな俺の何が分かる!!」
隼「分かるわけないでしょ?僕は君じゃないんだから。」
始「おい、隼」
隼「大体、僕らは君たちの資料を見せられてここに来ただけ。それも、アイドルだった僕たちを政府の人間が攫ってね?まぁ、アイドルって言ってもここから約二百年くらい前の話なんだけど……ねぇ?その時の僕らの気持ちが君に分かるかい?」
山「なに……」
隼「分からないだろう?それと同じさ。君たちの辛さも悲しみも痛みも、僕にはまったくわからない」
始「しゅーん……全く」
隼「いたいいたいいたいいたい、始痛いっ!!一日に二度も触られるのは嬉しいけど痛いっ!!」

全く、と言いつつ隼の頭をアイアンクローする始。
隼は痛いと言いつつ、若干嬉しそうだ。

始「とりあえず、皆手入れ部屋へ送ってやれ」
隼「はーい、分かったよ」

若干不服そうな顔をした隼は、それでも和泉守の時と同じようにパチンッと指を鳴らして彼らを手入れ部屋へ送ってしまう。

始「……あいつらの手入れの間に出来ることをするぞ」
隼「ふふふっ、始は働き者だねぇ」

ほら行くぞ、と始に言われ、隼も並んで歩きだす。
三日月すら一緒に手入れ部屋へ送ってしまったから、二人とそして、髭切しかいない。

髭「よければ僕が本丸の案内をしようか?」
始「……頼みたい、が、大丈夫なのか?」
髭「大丈夫さ、名前を覚えるのは苦手でも、ちゃんと本丸の中ぐらいは案内できるよ」
始「そうか……」

始は、隼と髭切を交互に見ると少しため息を吐いた。
何処か、似ていると思ってしまう。声ではなく、性格が、かもしれない。
隼に似ている刀は先ほどの鶴丸国永もそうだが、性格そして外見を総合すると髭切の方が似ている。
まぁ、声だけで言えば和泉守が一番似ているが。

皆の手入れが終わり、始と隼は大部屋にこの本丸の全員を呼ぶように髭切へと言った。
髭切は分かったよ、と大部屋を出て行く。
暫くすると、ぞろぞろと集まりだした。
三日月が一番近くに座り、先ほど手合わせをした面々が順に座っていく。
ただし、鶴丸と光忠の間には大倶利伽羅が不機嫌そうに座っていたが。
まだ、手合わせしていない面々は始と隼に対して警戒心をあらわにしている。
その最たる刀は一期一振だろう。薬研以外の短刀たちを抱きしめて一番遠くへと座っている。
その短刀たちも、怪我をしており、薬研が一番マシな状態だったのだと知る。

始「集まってもらって済まない。俺とコイツがこの本丸の新しい審神者だ。呼び方は好きに読んでもらって構わない」
隼「基本的に手入れをしたり、内番を決めたりするのは僕の役目。刀装が必要な時も僕に言ってね」
始「俺は出陣メンバーを決めたり、新しい刀を呼び出したりする。あと、家事だな」
燭「家事ってことは、料理とかも出来ちゃうの?」
隼「そうだよっ!始の料理は絶品だよ!]

始と、あの道場にいた刀たちから、隼に残念そうな、呆れた顔が投げかけられた。

始「隼、ちょっと黙っててくれ」
隼「はーい」
三「雪待の主は、睦びの主の事が好きなのだな」
燭「ちょっと、三日月さん?」
隼「そうだよっ、分かっちゃうのかな?」
始「三日月宗近、隼にその話題を振るな。一時間どころでは済まなくなる」
三「そうか、では気を付けよう」

ほけほけと笑う三日月。
声も姿もちょっと始に似てるなぁ、と隼は思っているため、眼福眼福ととてもうれしそうだ。
周りは、三日月が始と隼の事を主と呼んだことに驚いているらしい。

始「ふぅ……俺たちは、成り行きでここの審神者になったが、やるからには何事にも妥協するつもりはない」

真剣な始の眼差しに、大広間はピリッとした空気に包まれる。

始「俺に不満のあるやつは、言ってこい。いつでも相手になる」
隼「深く考えなくてもいいよ。始も最初の挨拶だからって肩に力が入りすぎかなぁ。確かに、僕らは過去から来て時間も有限にあるわけじゃない。けど、今すぐにどうにかなるってものでもない。だから、ゆっくりやっていこうよ」
始「隼……まぁ、ほどほどにな」

何か言いたげな顔をした始だが、隼の方を見て少し考えると、困ったように笑いながらそう言った。
そうして、最初の総会は幕を閉じた。
ちなみに言えば、始は黒の主や黒、黒くん、なんて呼ばれており、隼はその逆で白の主や白、白くん、なんて呼ばれるようになった。





























一「あの二人の審神者、信用なるものか」

張り詰めて、そして憎々し気に呟く一期一振。
それを、短刀たちは側で聞いていた。
一期一振、粟田口短刀組の兄で有り、保護者だ。
前の主は、一期一振の容姿を大層気に入っていたが、そもそも短刀たちにはあまり興味が無かった。
レア刀や、期間限定で魂現を許されている刀については、前の審神者も折る事はしなかった。
薬研、そして今剣が折られなかったのは奇跡に近い。
少しでも、元の審神者の気に障る事をすると、すぐに一期の兄弟はおられてしまった。八つ当たりでさえ、折られることも多かった。
一期一振は、優しかった元の審神者の面も知っている。だからこそ、信用できないのだ。
人はすぐに移ろうから。

隼「そうだよねぇ。信用できないよねぇ」
一「!?」
不後「うわぁああああっ!!!」

一期一振はその声に、驚いて隣を見た。不動と後藤は、隼の姿に一期以上に驚いて声を荒上げた。
それほど近くに、隼は座っていたのだ。驚きすぎて、言葉も出ない程。

一「あなっあなたはっ」
隼「改めまして、この本丸の審神者一人だよ。よろしくね。僕は、始と紅茶が大好きなんだ」
後「聞いてねぇよっ!!」

マイペースな隼に、たまらず後藤が突っ込みを入れる。
クスクスとそんな後藤を隼は笑っていた。

隼「えぇー?ちゃんとした挨拶は必要だと思うなぁ、僕は。ちなみに、僕が大好きなのはもう一人の審神者の事だよ!LOVE始ラブ!だからねっ!」
後「だから聞いてねぇって!!ちょっと黙れよ!!」

だんっ、と地団太を踏む後藤に隼は益々クスクスと笑った。
ハッとして一期が後藤を抱きしめて隼から引きはがす。

一「何をしに、ここへ?」
隼「うーん、さっきの始の話聞いてたかい?僕は、手入れ担当の審神者なんだよねぇ」
一「手入れなど必要ありません。私どもに触らないでいただきたい」
隼「と、言うと思ってねぇ。どうしようかって相談に来たんだけど」

どうしようねぇ?と変わらず、笑顔で首を傾げる。
その隼に、一期は何というか……得体のしれないものを感じた。

隼「君たちは、手入れを受けたくないんでしょう?僕も、先人切って働きたくは無いんだよねぇ。むしろ、働きたくないんだ」
不「アンタ、それでも審神者かぁ?」
隼「これでも審神者らしいよ。ただ、動くことの全般は始にお任せしてるんだ」
博「黒の審神者が不憫たい」

博多の言葉に、ふふふっ、と隼は笑うだけだ。
始ラブ、な隼でもやっぱり一緒に仕事が出来ても働きたくはないらしい。

隼「でも、君たちは怪我をしている。それを放って置くことも、僕にはできない」

だから困ったね、と隼は本当に困ったような顔をして首を傾げた。
その姿に、一期も、短刀たちも困惑してしまう。そんな時、骨喰と薬研がそこへ近づいて来た。

骨「いち兄、この審神者たちは大丈夫だ。俺たちを折ったり、傷つけたりはしない」
薬「そうだぜ、いち兄。まぁ、何でかって言うのは自分で確認してくれや。俺たちには、何となく……直観みたいなもんでわかっちまった」
一「骨喰、薬研……」
薬「白大将、あの時みたいに全員問答無用で手入れしてくれねぇかな?」
骨「これ以上、グダグダと言った所で変わりはしないだろう」

俺からもたのむ、と骨喰が頭を下げたところで、りょーかい、と隼は笑った。
パチンッ、と指を鳴らす隼。骨喰はそれに頷いて、もう一度頭を下げた。

後「へ?いやっお」
不「なにが」
今「えぇ!?」
博「皆、どこ」
一「これは一体」

皆、驚きながらシュッと消えて行った。行先は決まっている。手入れ部屋だ。
隼は、それを見送ってからはぁ、と困ったようにため息を吐いた。

薬「どうした、白大将?」
隼「うーん、僕はあんまり働きたくないんだけどなぁ」

けど沢山働いてしまった、と言う隼に、薬研が呆れた顔を返したのは言うまでもない。

〔newpage〕
一期一振たちの手入れが終わって少し経った頃。

今「……やまんばぎりさん?」

今剣は、前の主の部屋の前で行ったり来たりを繰り返している山姥切を見かけた。」
考えているようにうろうろとしている山姥切の後ろから、今剣は近づいて行く。

今「なにをしているんですかっ?」
山「うわあぁああっ、いっ、今剣か……」

びくぅ、と体を跳ねさせた山姥切は、障子の前でしゃがみこみ、今剣と目を合せた。

今「それで、なにをしているんですか?」
山「いや、まぁ、その……」
隼「うんうん、僕に用事かな?」
山「ひっ、あっわぁあああああっ!!!」

障子を開けて、山姥切と今剣に目線を合せて、隼もしゃがみこんで、膝に肘をついて両手で頬を包みながらにこにことしていた。
山姥切は驚いて尻もちをつき、今剣は、しろのあるじさま、と目を輝かせた。

今「しろのあるじさま、こんなところにいたんですねっ」
隼「そうだよー。今、僕は大切な仕事をしていたんだ」
今「おしごと、ですか?」
隼「うん、今朝届いたばかりの始グッズをね、飾っていたんだよ」

そう言って、隼は障子を開き今剣と山姥切に見せた。
まず目に飛び込んできたのは、LLサイズのツキウサ。もちろん、一月と十一月だ。
紫の割合が多い様に見えるが、きちんと灰色も配置されている。

今「しろのあるじさま、これは?」
隼「僕らはね、約二百年前なんだけど、アイドルって言う仕事をしていてね。その時に発売していたグッズなんだよ」

これが始の、と言って紫の手のひらサイズのツキウサを今剣へと持たせる。

今「あいどる、ですか?」
隼「そう、ファンって言う……うーん、お客さんの前で歌ったり踊ったり、時にはドラマなんかにも出演したりしてね」
今「どらま?」
隼「劇って言った方が分かりやすいかな?」
今「おぉお、そうなのですね」

キラキラとした表情で今剣は掌の中にある一月のツキウサを見つめた。

今「しろのあるじさま、みんなにこのことをおはなししてきても、いいですか?」
隼「もちろん」

わぁい、と言って今剣は一月のツキウサを持ったまま、駆け出して行った。
あっ、と気が付いた時には今剣は見えなくなってしまっていた。

隼「僕の、始コレクション……それで、山姥切は僕に何か用かい?」

しょんぼりとうなだれてから、気持ちを切り替えて隼は山姥切に問う。
山姥切はハッとして、尻もちの状態から正座をし直して、隼と向き合った。

山「てっ、手合わせの時の暴言を詫びる」

すまなかった、とごんっと音が鳴る程、強く床に打ち付けながら土下座をした山姥切。
隼は、それを見て一瞬の沈黙の後、あははははっ、と笑った。

山「……主?」
隼「僕は別に気にしていないよ。それよりも、僕の方こそごめんね。あの時は、来たばっかりで八つ当たりしちゃった」

ごめんね、といいながらふふふっ、とさも楽しそうに隼は笑っていた。
あっ、と隼はグッズ部屋と化した部屋の中へと入っていき、一つ取り出して戻ってくる。

隼「じゃあ、仲直りの印。僕のツキウサをあげる」
山「ありがとう……?」

なのか?と思いつつ、掌に乗せられた灰色のウサギを見やる。

山「アンタのウサギは、白いのかと思っていた」
隼「事務所……うーん、所属している仕事先でね、白田っていう小さなウサギのお姫様が居てね。白は彼女の色なんだ。だから、僕は白に似た灰色」

なるほど、ともう一度山姥切は手の中のツキウサに目を落とした。
ツキウサに、隼の霊力を感じるようで、大切にされていると勘違いしそうになる。
ぎゅっと握りしめて、もう一度ちゃんと山姥切はありがとう、と言った。
それ以降、このリーダーズの本丸の山姥切の衣装のどこかには必ずこの十一月のツキウサが居るようになったとさ。

〔newpage〕

大「……はぁ」
隼「お疲れ様だね」
大「……いつから居た?」
隼「君がここに座ってすぐだね」
大「……ほぼ、同時か」

はぁ、と再び大倶利伽羅はため息を吐いた。
そして、立ち上がり隼を睨む。

大「慣れあうつもりはない。俺に話しかけるな、近づくな」
隼「うーん、無理かな?」

にっこりと笑う隼は、どこまでも大倶利伽羅にとって不思議な存在だ。
あっ、と隼は立ち上がって大倶利伽羅の手を引く。

隼「伽羅君、こっち」
大「おいっ!?」

何かを察知した隼は、すたたたた、とそのまま走り出した。
大倶利伽羅は手を引かれ、不格好になりながらも隼に付いて行く。
いや、付いて行きたくて付いて行くわけではない。手が、握られているのだ。何気に握力が有るのか、逃げられない。
中庭に差し掛かったところで、隼が通っても平気だった場所に穴が開く。

大「うぁっ!?」
隼「えっ?」

大倶利伽羅がバランスを崩し、隼もろとも穴の中へと落下していく。
隼はその最中、大倶利伽羅と位置を器用に交換して大倶利伽羅を受け止めながら背中を打ち付けた。

隼「……っっ、はぁ、ビックリしたね。大丈夫?けがは?」
大「……あぁ、大丈夫だ。それよりもアンタ」
隼「僕の事なら、気にしなくても大丈夫さ。それよりも、ここからどうやって出ようか?」

通常よりも二倍近く深い落とし穴。誰が掘ったか、なんて明白である。
はぁ、とため息を吐いた二人に、隼を呼ぶ声が聞こえてくる。

始「しゅーん、伽羅ー?」
燭「白くーん、伽羅ちゃーんどこだーい?」

隼「あっ、始たちが僕らを探してるみたいだねっ、っっ、はぁっ、はっじめーっ!!」
大「おい、あんたっ!」
隼「大丈夫大丈夫。それよりも、始たちに見つけてもらわなきゃ。出れなくなっちゃう」

チッと舌打ちをすると、大倶利伽羅は竜の咆哮の如く大きな声でここだっ!!と叫んだ。
すると足音が近づいてきて、上から二つの影が落ちて来る。

始「隼っ!!大丈夫か?」
燭「伽羅ちゃんも!」
大「俺は大丈夫だ。それより、はしごか何かないか?ここからさっさと出たい」

ちょっとまってろ、と始は踵を返していく。大倶利伽羅の言う通り、はしごを取りに行ったのだろう。

燭「伽羅ちゃん、白さんは大丈夫なの?」

さっきから返事がない、と言う光忠に、大倶利伽羅は急いで自分の下を確認する。
大丈夫大丈夫、と先ほどより少し小さめの声で隼は言った。
狭い穴の中で身動きが取れないために、上から避けてやる事も出来ず、チッと大倶利伽羅は舌打ちした。

大「何であんたが下になったんだ。俺なら、怪我をしても手入れをされればすぐに治る」
隼「だって、手入れをしたところで痛いモノは痛いでしょ?それに、手入れをするのは僕だよ?面倒じゃない」
大「……アンタなそれが本音か。それで自分が傷ついてもいいって言うのか?何のための刀剣男子だ」
隼「何のためって、歴史修正主義者と戦うために力を貸してくれてるのが刀剣男子でしょ?本丸で怪我を負うためじゃないよ」

にっこりと笑う隼に大倶利伽羅は何も言えなくなってしまう。太鼓鐘を迎えるために、折られずにここに残されていたことを大倶利伽羅は理解している。
光忠や鶴丸のように夜伽に呼ばれる回数だってそんなになかった。いつ折られても、構わなかったが、あの主に折られるのだけは嫌で逆らわないように目立たないように生活をしていた。
折られず、傷ついても手入れされていたのは太鼓鐘を迎えるため。それ以外に何の価値もないのだと、思っていた。
そんな大倶利伽羅に隼は、さも当たり前のように言う。その言葉が、声が、隼の心が大倶利伽羅に突き刺さる。
大倶利伽羅は、言いようもない苛立ちに盛大に舌打ちをして、顔を逸らした。
ふふふっ、と苦しそうなのにどこか楽し気な隼の笑い声が響く。
その笑い声は見守っていた燭台切にも届いていたらしい。隼の声に、ホッと息を吐いていた。
始が持ってきた梯子に、大倶利伽羅は捕まるとそのまま隼を担ぎ上げる。

隼「っ、わぁっ、ありがとう」
大「無理にしゃべるな」

大倶利伽羅は隼を俵抱きにしながら器用に梯子を上り、穴を出る。
そのまま、隼を始に引き渡した。

始「すまないな、伽羅。ありがとう」
大「……俺の下敷きになったんだ。手当てしてやってくれ」
始「そうか……しゅーん?」
隼「あはははっ、だって、非常事態だったんだよ、始」

はぁ、とため息を吐いた始は隼を姫抱っこで抱えると本丸の中へと入っていく。

燭「伽羅ちゃんも大丈夫?」
大「あぁ……アイツはどこだ?」
燭「伽羅ちゃん……今日は確か、馬当番だったはず」

そうか、と大倶利伽羅はそのまま厩の方へ歩き出す。

燭「伽羅、ちゃん?」
大「あの爺、いっぺん殴り倒す」
燭「……ほどほどにね」

お爺ちゃんなんだから、とほほを掻いた光忠。
厩へ向かう大倶利伽羅はまるで逆鱗に触れられた龍と同じだったそうだ。

暫くの後、厩から鶴丸の叫び声が聞こえたのは……空耳ではないだろう。

始「無茶をするな、隼」
隼「ごめんね、始」
薬「大将たち、イチャイチャするのは良いんだけどな。俺が居なくなってからにしてくれや」

いたたまれないぜ、と苦笑いした薬研。隼の怪我の様子を見て、薬を塗り、包帯を巻いていたところだ。

隼「あはは、ごめんね?」
薬「俺っちからもお願いするぜ。白の大将。あんまり、無理はしてくれるなよ。人の体は脆いんだから」
始「薬研の言うとおりだな。そもそも、お前が仕事をさぼったりしなければ……」
隼「うん、ごめんね……」
『うわぁああああっ悪かった伽羅坊ぅうううううううっ!!!!』
隼「あっ」
薬「この声は……」
始「伽羅が制裁を下した、か……」
薬「珍しいな。そこまで怒ってたのか、伽羅の旦那は」
隼「そうだねぇ」

そこで始と薬研は顔を見合わせて隼の包帯姿を見る。

始「……なるほど、な」
薬「伽羅の旦那の逆鱗ってやつだな」

自業自得だ、と始と薬研はうなずき合い、隼だけはニコニコしながら彼らをクエスチョンマークを浮かべそうな位どうしたんだろう?と言う顔で見ていた。























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〔newpage〕
次の日、本丸の探索をしていた始は、一つの蔵に気がつく。
鍵はかかっていなさそうで、そのまま中へと入れた。

始「……受領箱、か?」

そう言う場所がある事は、政府から聞いていた。
政府からの物資もここで受け取ることができる。
基本的にそう言うものは一定量以内だと、そのまま保管庫へと移されるが。
その中で、始は妙なものを見つける。
がたっ、がたっ、と動く丸い……まるで特上の刀装のようなもの。
その丸い玉には、お札が貼ってあり、それに触れた途端、燃え上がった。

始「……、何だ、これ、はっ」

ぱあっ、と輝いたそれ。
ぼんっ、と言う音とともに煙に包まれ、その煙が晴れると出てきたのは……。

始「こんのすけ、か?」
こん本「如何にもっ!私めの封印を解いてくださり、ありがとうございます審神者様」

ちょこんっ、と始の足元に座るこんのすけ。黄色い体に、本丸と書かれた札がかかっている。

始「俺が審神者だとわかるのか」
こん本「はい。私はこの本丸の管理をアシストするこんのすけにございますれば。審神者様がお二人いることも存じております」
始「そうか……その封印はもしかしなくても、前の審神者か」
こん本「はい。前任者様は、私めの忠言を聞かず、煩いと閉じ込められてしまいました。私めが閉じ込められたせいで、他のこんのすけ達も皆、ただの紙へと戻ったことでしょう」
始「他のこんのすけ?」
こん本「私はこの本丸のアシスト、つまりこんのすけ達の総取締役でもあります。私の他には、第四部隊までに一匹ずつ、その隊をアシストするこんのすけと、後は鍛刀や手入れをお手伝いできるこんのすけがおります総勢、六匹のこんのすけがいます」

なるほど、と始は頷いた。

始「そのこんのすけ達はどうすれば呼び戻せる?」
こん本「手伝い札をお持ちでしょうか?」
始「俺たちの部屋に行けばあるな」
こん本「では、参りましょう」

テクテク、と歩き出すこんのすけ。その歩みをみて、始はその体を後ろから抱き上げる。

こん本「さっ、審神者様!?」
始「……こうして行った方が早いだろう」
こん本「ですがっ!」
始「大人しくしていろ」

はい、と項垂れたこんのすけの頭を、始は撫でる。
こんのすけの毛並みはふわふわで触り心地がいい。
それを堪能しながら、部屋へと向かった。

隼「おや?こんのすけを見つけたの、始」
始「あぁ」

部屋に戻ると、ちょうど出てくる隼とすれ違う。

隼「ふふふっ、嬉しそうな顔しているよ。良かったね、始」
こん本「あのっ!!審神者様がた!!私めは、サポート式神であり愛玩動物じゃないのですよ!!」

隼もふわふわとしたこんのすけの毛並みを堪能して、にっこりと微笑み、こんのすけを抱きしめる始の腕にも力が入った。
耐えきれない、と言うように暴れ出すが、あははっ、と笑う隼と気にしていないような始にぐったりと項垂れてしまった。
隼はこれから用事があるみたいで、じゃあね、と言って行ってしまった。
そのまま、始達は部屋に入る。
名残惜しそうに、始はこんのすけを離し、こんのすけははぁ、とため息を吐いた。

始「それで、手伝い札に何をすればいい?」
こん本「手伝い札に、こんのすけと書いて五枚用意してください」
始「わかった」

そう言って、すぐに手伝い札を五枚用意する。

こん本「では……」

こーんっと鳴いたこんのすけ。その声に反応して、ぼんっ、と手伝い札から煙が上がる。
もくもくとしたそれが晴れてくると、そこには五匹のすこし色違いのこんのすけ達が。
首元には一から四までのナンバーを持つものと、お手伝い、と書いてある札を掛けているものがいる。

始「なるほど、わかりやすいな」
こん本「はい。我らこんのすけが、審神者様をお助けいたします」
こん「「「「「こんっ」」」」」
始「あぁ、よろしく頼む」

こうして、こんのすけが増え、始も大変喜んだ……らしい?


〔newpage〕

隊長→鶴丸国永
隊員→大倶利伽羅
→燭台切光忠
→三日月宗近
→太郎太刀
→薬研藤四郎


鶴「戦術的に、意味無い編成だな?」
始「戦術を考えて組んだ訳じゃない」
大「どうでもいいがな」

はぁ、と編成を聞かされた大倶利伽羅はため息を吐き出した。
馴れ合わない事を常日頃から言っている大倶利伽羅だ。まぁ、
隊編成については諦めている。が、
しかし伊達で同じ時を過ごした二振りが一緒にいることにため息を
吐いたらしかった。
まぁ、わからなくもない。

始「嫌なら強くなれ、大倶利伽羅」
大「……はぁ」

始が、大倶利伽羅の肩をポンっと叩く。
さて、と始は自分で道場から持ってきた木刀を構え、頷く。
ラフな格好に、木刀と少しアンバランスな格好だが……。

隼「かっこいいよ、はっじめー!!」

と隼は変わらずパシャパシャと自分のスマフォで始の姿を撮り貯め
ている。その姿に、始はため息を吐くだけだ。
酷くならない限りは、諦めたと言うか……。

始「隼、留守は頼んだぞ」
隼「任せて、始」
始「……一期一振、頼んだ」
一「任されました」
隼「えぇー?酷いなぁ。僕だって、ちゃんと始の居ない間、
この本丸を守ることぐらいできるよ?」
始「その事については心配してない。その他について 心配している」

サボり魔なのは、始もよく知るところだ。

燭「ってちょっと待って、黒くんも一緒に行くつもりかい?」
始「?そのつもりだが、なにか問題が?」
太「普通、審神者と言うのは、この本丸で待機しているものなのですが」
こん1「そうですよ、審神者様!審神者様自身が出撃なさるなど」
隼「気にしない、気にしない。ケ・セラ・セラ、さっ!」
こん1「白様は少し気にしてくださいませっ!!」
始「どうでも良いが、速く行ってさっさと帰ってくるぞ 」

はぁ、とため息を吐いた始は、大門のすぐ脇にある機械を操作して、今回向かう時代に合わせる。

鶴「おいおいおい、そいつは隊長の……いや、なんでもない(
驚きが過多になってきて無いか?突っ込みが追い付かない)。
まぁ、戦闘については俺たちに任せてくれよ黒。それこそ大船に乗ったつもりでな」
始「……お前が言うと、泥舟に聞こえてくるのは何故なんだろうな?」
鶴「酷いな、黒は」
三「では、雪待ちの主、行ってくる」
鶴「じいさん、少しは俺の事も気にしてくれ」
隼「行ってらっしゃい。なるべくなら、
怪我しないで帰ってきてね?」
鶴「白まで俺を無視する、だと?驚きだぜ」
薬「大将の仕事が増えるからか?」
鶴「薬研まで……」

薬研の言葉に、今素直に返答したら始にアンクロされることは解りきっているからか隼は、ふふふっ、と笑うだけに止められた。鶴丸が密かに項垂れているが、それを気に留めているものはいない。
動き出した機械によって、始達の姿は薄くボヤけ、
光の粒子となり飛んでいった。

隼「皆、無事に帰ってきてね?」
一「白殿……」

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

始「ここが、太鼓鐘貞宗がいる……とされているフィールドか」
燭「ふぃ?まぁ、うんそうだね。貞ちゃん、速く探しに行こう!」
始「そう言えば、同じ伊達の刀として仲が良いのか」
燭「僕と伽羅ちゃんと鶴さんが同じ伊達の刀でね。うん……仲はいいよ」
鶴「光坊、その間は何だ?何かあるみたいじゃないか」
大「仲良くはないな」
始「……伊達の刀も、色々あるのか」

政府が用意したと言う、太鼓鐘の捜索場所は、検非違使の対策場所とも言えた。
そのため、ある程度のレベルをもつこの刀達を始は連れてきたのだ。
因みに、始達の本丸の中で一番レベルが高いのは、山姥切国広だ。初期刀だけあって、レベルはカンストしている。

始「……何か来るぞ」

慎重に進んでいた始が、足を止め鶴丸に言う。
鶴丸も、その言葉でハッとして辺りを見回した。

鶴「布陣は……横隊陣。鶴翼陣で展開しろ」

キラッといつもの軽いなりが潜まり、真面目な顔をして鶴丸が言う。
始は、深く頷き隊の後ろへと下がる。
皆の刀装が展開し、敵を迎え撃った。
始は、隊の後ろで腕を組ながら、その様子を見守る。
自分を守るために力を振るうが、それ以外は刀剣男子達に任せるつもりでここに来ていた。
今日、一緒に出陣してきたのは、刀剣男子達の戦う様を直接見るためでもある。それを、
知っているのは同じ審神者である隼だけだが。

戦闘が終わり、始の下に戻ってくる彼ら。
殆ど怪我は無かったが、運悪く薬研が槍兵と当たったのか、
中傷を負っていた。
全体を見て、ひとつ考える。

三「して、どうする?睦びの主。先へ進むか?」
鶴「おい、じいさん。それは隊長である俺に聞かないか?」
三「はっはっはっ、すまんな。ここでは、隊長殿よりも審神者殿に聞いた方が良いと思ってな」
鶴「三日月この野郎」

して、と三日月がちらりと始を見る。
一つ頷き、皆を見る。

始「お前たちはどうしたい?」
薬「は?」
始「お前たちは進みたいか、それとも本丸に帰りたいか」
鶴「そういう事か。俺は薬研も中傷だし一旦本丸に戻った方が良いと思ってる」
三「そうだな。それが良いと思う」
大「……俺は進むぞ」
燭「伽羅ちゃん?」
太「私は、何方でも良いと思ってます」

薬研の傷は中傷、ならば一度くらいなら進めると分かっているのだろう。
このまま帰って、隼に手入れされるなら重傷になっても同じこと、と思っているのかもしれない。

薬「そうさな……少しくらいなら大丈夫だぜ?」
燭「……うーん、僕もどっちでも良いけど、薬研くんが大丈夫って言うなら一度だけ進めば良いんじゃ無いかな?」
始「そうか……薬研藤四郎、本当に大丈夫なのか?」
薬「たいした傷じゃ無い。心配すんな。大将」
三「そうか、では進むか」
鶴「だから勝手に決めんなよ、爺さん」
三「はっはっはっ」

とりあえず、一度だけ進むことに決めて場所を移動する。
政府が検非違使対策として用意しただけあって、そこかしこから視線を感じる。
出てくる様子がないのは、始たちを伺っているからか。

鶴「来るぞっ!」

ぴくっ、と動いた鶴丸は、茂みの中を見据えて叫ぶ。
その瞬間、隊員は全員抜刀した。
大まかな流れは先程と変わらない。が、短刀ということで狙われやすいのか、再び薬研の前には敵の槍の姿が。

始「ちっ、薬研っ!!」

先程の戦闘で傷を負った薬研の動きが鈍いのは察していた始。
薬研が動けなくなったところでもう一度薬研に攻撃しようとしている敵と薬研の間に入り、始は敵の攻撃を受け流す。

薬「たい、しょう……」
始「大丈夫だっ!!」

力を入れて敵の攻撃を跳ね返し、薬研の体を抱えて鶴丸達の方へと向かう。
向かっている途中で、誰かとすれ違う。

鶴「大倶利伽羅っ!!」
大「はぁっ!!」

焦ったように鶴丸が大倶利伽羅の名を呼ぶ。愛称ではなく、名前そのものを呼ぶのは珍しい。それ程焦っているのか。
が、大倶利伽羅はそのまま敵へと突っ込んでいく。
槍の攻撃を受けて、多少傷つくが、大倶利伽羅はそのまま敵を切った。
その様子に、鶴丸と燭台切はホッと息を吐いた。

大「終わった、か」
鶴「終わったには終わったが……一人で敵に突っ込んでいくバカが居るかっ!!心配するじゃないか!!」
大「いつも驚きがどうのって言ってるあんたには、ちょうど良いだろ」
燭「良いわけないでしょ。僕だって心配したんだからね」
大「勝手に言ってろ」

刀を鞘に戻し、大倶利伽羅ははぁ、とため息を吐いた。

始「……帰るぞ。こんのすけ」
こん1「了解しました。では皆様、私の側から離れないでくださいね」

それに各々が返事を返し、始達の第一部隊は、こーん、と言うこんのすけの声に合わせて、飛んだ。

隼「おかえり」
始「あぁ。薬研と大倶利伽羅の手入れを頼む」
大「は?俺は別に」
始「良いから、手入れ、受けておけ」

始はそう言って大倶利伽羅の頭を撫でる。
解せぬ、と言う顔をして居るが、嫌ではなさそう。
ふふふっ、と笑いながら隼は始から薬研を受け取る。

薬「すまないな、白大将」
隼「ケ・セラ・セラ、さ。大丈夫。伽羅くんも一緒においで」
大「伽羅くん……」

何故か、その呼称に驚き、そして項垂れた大倶利伽羅。
大人しく、隼の後に続く。
伽羅ちゃんや伽羅坊、などと伊達組に呼ばれるために、その呼び名になってしまったのかもsれない。

始「……大倶利伽羅は、もっと協調性を覚えるべきだな」

隼達が手入れ部屋の方へ消え、ポツリ、と始は呟いた。

鶴「……まぁ、あの子にもあぁなった理由くらいはあるのさ。気長に、付き合ってやってくれ」
始「保護者か」
燭「ある意味、僕らは伽羅ちゃんの保護者で合ってるよ」

ある意味、ね。と燭台切はすこし困ったように笑った。

始「……まぁ、今回の出陣で色々と分かったしな。大倶利伽羅についても、どうにかなるだろ」

始はそう頷き、そのまま自分の部屋へと歩みを進めた。

〔newpage〕

始「……さて」

寝起きが悪い始が起きてきたところで、彼は台所へと向かった。
(寝起きの悪い審神者達、についてはキャプションをどうぞ。その次の日ぐらいの話)

燭「おはよう、黒くん。今日は早いね」
始「おはよう、燭台切光忠。薬研藤四郎が起こしてくれたからな」
燭「……なんか、ごめんね?」

始は首を横に振ると、そのまま冷蔵庫の中を見る。
燭台切の手の中にあるカゴには、少ないが朝採れただろう新鮮な野菜があった。

始「……オムライスとサラダ、あとはスープにしよう」
燭「オムライス?」
始「説明するより、作って見せた方が早いだろう」

そう言って、始は人数分の食材を取り出してまずはチキンライスを作る。
鶏肉を一口大に切って、火を通し、バターライスの中に混ぜる。
そうして、塩胡椒で味を整えた。
デミグラスソースを燭台切に指示しながら作ってもらい、始は卵と牛乳を取り出して混ぜ合わせる。本当は、生クリームの方がいいが、無いものは仕方がない。
火加減を調整しながら、くるっくるっと丸めて、それを皿に盛りつけたご飯の上へと載せる。
上から切り込みを入れれば、とろ*っと開くそれ。
その周りに、燭台切りの作ったデミグラスソースをかける。

燭「これが、オムライス。美味しそうだね」
始「あぁ……あとは、この卵を作るだけだな」
燭「うん、じゃあ僕はスープとサラダを作ることにするよ」

そうして、朝食が出来上がっていく。
この日の朝食は、とても好評だった。特に隼は始の作った料理にすぐに気がつき、ぱぁっ、と顔を輝かせていた。わかりやすい。
が、始もまんざらでも無いようで、すこし照れた顔をしながら早く食えよ、と隼に言った。
朝食が終わると、始は片付けまできっちりとしてその後、各内番場所へと顔をだした。
先ずは、洗濯場。
たらいに洗濯板で洗っている様子を見て、考える。

御「んぁ?黒か、どうしたんだ?」
始「いや……手伝うか?」
髭「大丈夫だよ。手は足りてるから」
始「そうか……」

この本丸に電気が通っていないわけでは無い。だから、洗濯機を買おうと決めた。
川で洗濯、は風情があるのかもしれないが、冬になれば辛いだろう。
うん、と頷いて頭の中のメモに書き込んだ。これについては、内番の担当の隼と話し合わなければならない。
二人の様子をある程度見守って、始は洗濯場を後にする。
次に畑。
今日の担当は、三日月と和泉守だ。

三「うむ、畑とは難しいな?」
和「……爺さん、さっきからちっとも進んでねぇ」
三「まぁ、焦らずともよいでは無いか」
和「焦ってねぇよ!さっきから、休みすぎだって言ってんだ!」
三「ふむ、そうか」
和「良いから、働いてくれよ」

はぁ、と項垂れている和泉守に、近く始。

始「畑の様子はどうだ?」
和「黒さんか。如何にもこうにも、荒れ放題だったからな。まだ、量を取るには足りないな」
始「そうか。まぁ、気長に頑張るしか無いなこればっかりは」
三「そうさなぁ」
始「三日月宗近、お前は休みすぎだ」
三「はっはっはっ、爺いの体を労ってくれよ、睦びの主殿」
始「……」
三「うん?その手は……痛いぞ、睦びの」
始「働け」
三「あなや……」

和泉守の苦労が伺えて、はぁ、とため息を吐く始。どうして隼はこの組み合わせにしたのだろう?三日月宗近、この本丸で一番、ゆったりと言うか、まぁ、有り体に言って仕舞えば、サボりやすい刀だ。
ゆっくり頼む、と言って畑を後にする。
機械を入れるにしろ、なんにしろ、先ずは荒れ放題の畑の表面上だけでもどうにかしなければならないだろう。
隼に後で提言しておこう。面倒見のいい刀……同じ三条派として今剣と組ませてもいいかもしれない。取り合えず、三日月宗近の扱いについてだな。こればっかりは、どうにも髭切の方が働き者だ。……そう言えば、働きたく無い、と言っている刀も居るみたいだな。うちの本丸には居ないが。
始は、次に厩に向かった。

不「馬小屋で寝てしまえぇ」
博「寝るんじゃなかっ!!まだ終わっとらんのに!!」
不「えぇー?博多やっといてくれよぉ*」
博「早く起きるばい!!」

短刀二人が、馬当番だった。
大体は終わったみたいだが、この調子でいくと不動が酒を飲み寝てしまいそうだ。

始(あいつが飲んで居るのは甘酒のはずなんだが)

酔って居る不動を叩き起こす博多。
それを側から見て、始は苦笑いする。

始「博多藤四郎、不動行光、仕事は終わりそうか?」
博「黒の主!そら、もちろん、商人の意地にかけても終わらせるばい」
始「そうか、頑張れ……何か、不動行光以外で困ったことはないか?」
不「どーせ俺はダメ刀ですよーだ」
始「ダメ刀と言われるかどうかはお前次第だろ。ちゃんと働け」
博「……うん、これと言って特に困ったことは見つからんとよ」
始「そうか。なら良かった。もうすぐ昼だ。切りのいい所で切り上げて、昼食にしよう」

それに各々返事を返す博多と不動。
始はそれににこっと笑いながら頷き、本丸へと戻って行った。
後日、本丸に洗濯機が届いたのは言うまでもない。













始と隼が本丸に着いた次の日の朝。

燭「うーん?」
鶴「おや?どうしたんだ、光坊」
燭「あっ、鶴さん。おはよう」

実はね、と燭台切は鶴丸に話す。

燭「主人たちが朝食の時間になっても起きてこないんだ」
鶴「へぇ?そいつは驚きだな。寝起きはいい方だと思っていたが……」
燭「そうなんだよねぇ。このままじゃ、ご飯も冷めちゃうし……呼びに行ってみようかなって」
鶴「そういう事なら、俺も行こう。あの二人に驚きの朝を提供してやろう」

鶴さんっ!という焦ったような燭台切の声を背後に意気揚々と歩き出した鶴丸。

一「おや?どこへ行かれるのですかな?」
鶴「おお、一期一振か!いやなに、朝寝坊をしている審神者たちに驚きを提供しようと思ってな」
一「朝寝坊、ですか?」
燭「そうなんだよ。一向に起きてくる気配がなくてね、今鶴さんと起こしに行こうかって行ってる途中だったんだ」
一「そう、ですか……想像つきませんな?」

一期の言葉に、でしょう?と燭台切がいう。

一「……私も着いて行ってよろしいですか?」
燭「僕は別に構わないけど……」

何処か嫌な予感でもしたのか、一期一振が言う。燭台切は、本当にいくの?と少し怪訝そうな、そして不安そうな目で一期を見た。

鶴「まぁ、いいじゃないか!大勢で行った方が驚きが増すだろう?」

そうと決まれば、と鶴丸はまたもや意気揚々と歩き出し、それを燭台切と一期が追いかける。

不「あんたら、どこ行くんだ?」
鶴「おお、不動行光か!ちょうどいい、お前も一緒に来い」
不「はぁ?えっ、おい、ちょっと!」

鶴丸は説明もせずに出会った刀全てを引きずり、始と隼の部屋に着く。
そんな様子の鶴丸に、はぁ、と一期がため息を漏らす。
途中で、山姥切、大倶利伽羅、御手杵、後藤藤四郎、薬研藤四郎も巻き込んでいた。
因みに、三日月と髭切は縁側でお茶をしていたため、燭台切と一期に全力で止められた。

鶴「そんじゃ、行くぜっ!朝だぜ審神者た……はぁ!?」
一「……後藤、薬研、それから不動も。私と一緒に参りましょう。見てはいけません」

ニッコリと笑う一期一振に有無も言わさず連れていかれた短刀たち。
審神者たちの部屋を開くと、始に抱きしめられた隼の姿が。
まぁ、百歩譲ってそれだけならいい。が、隼は寝間着を着用しておらず、上半身丸見えに上暑かったのか、布団から生足まで飛び出している。所々に見えるキスマークも相まってその姿がなんとも言えず、エロい。

鶴「……世の中にはこんな驚きも有るんだな」

自分たちが前の審神者の性的対象になっていたせいで忘れていたらしい。
ハッとして鶴丸は大倶利伽羅の腕を掴んで部屋から遠ざかる。

鶴「教育上、宜しく無いからなっ!」
大「俺はガキじゃ無いんだが」
燭「うーん、でも僕たちと比べたら……ねぇ?」
大「比較対象がおかしいことに気がつけ」
鶴「まぁ、ジジイの我儘に付き合ってくれよ、伽羅坊」
大「クゾジジイどもめ」
燭「えっ?ちょっと待って。僕はおじいちゃんじゃなくてお兄さんがいいなぁ」

なんて言いながら、大倶利伽羅を引きずり、首謀者の二人は部屋を後にした。

山「……この状況、一体どうすればいいんだ?」
御「俺に言われてもな……俺は刺すことしか出来ないから」
山「……はぁ」

ため息を吐くと同時に、薬研が二人の後ろからちょっとごめんよ、と顔を出した。

薬「ほら、大将たち朝だぜ?」

起きろ、と布団を剥ぐ薬研。
薬研の元の主、織田信長の生きた時代には男色も普通に有ったらしく、薬研もあまり気にしては居ない。それどころか、いつだって側にいたからもう見慣れてさえ居る。
それに、怪我を治すのに人体さえ勉強して居る薬研にとって、始と隼の体など取るに足らない問題なのだった。
素直に起きるかは別として……。

薬「いい加減、起きてくれよな?」

薬研が何をして起こしたかは、ここに居る三振りしか知らない。

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