僕は、君を、愛している
どうにもこうにも遅い。
ツキノ帝国パロディです。とりあえず、いつもの
誤字脱字気にしません、閲覧前と閲覧後の苦情は聞き入れられません。
キャラ崩壊、してます。
書きたいところだけ、ドーン↓
十一月が始まりを告げたその時、『彼ら』は集団を成して第一部隊の守護する北へと進行してきた。
それが、始の罠だって誰が思っただろう?共和国の生き残りで、玄武の心獣と契約を交わしている、彼が裏切るなんて。
「……かーい、何辛気臭い顔しているの?」
「隼……お前は、知っていたのか?」
北の空を見つめ、憂いを帯びた顔をしていた隼。
その隣に、海が並ぶ。心配そうな顔をして。
隼は海の問いに、いつもの良くわからない笑顔を浮かべるだけで答える。
「さて……諸君、今までにない、大規模な作戦になる。気を抜かないように」
バサッと後ろを振り向き、整列していた第二部隊の面々を見渡しながら言う隼。
いつも通り、あまり作戦らしい作戦は言わない。それを言うのは海の役目だから。
作戦説明が終わると、各々の心獣たちと隊員は駆けて行く。
それを見て、ふぅ、と隼は息を吐いて再び空を見上げた。
「海、それと陽」
「なんだ、隼?」
「なんだよ、魔王様?」
「あとの事、よろしく頼むよ。僕は、行かなきゃならない」
よろしくね、と振り向いた瞬間、きらきらと輝く光の粒子となって隼は消え、アルビオンがブワリ、と駆けだした。
空を駆ける、白虎。隼はそこにいるのだろう。
「デバイスも使わずに、アイツ……」
「……今は出来る限りの事をするしかないだろうな」
隼の旅だった空を見つめ、陽は舌打ちをした。
十一月、隼の生まれ月にして、彼の力が最大値を迎える月。
大量の『彼ら』を呼んだのは、本当に始だったのだろうか?
その答えを知る者は、ここには誰もいない。
ガァオオオオオ!!!
咆哮が、上から降り、弱きものはその咆哮で戦闘不能にまで陥った。
そのまま、空から現れたアルビオンは周りの敵など意図にも返さず、玄武の上へと飛び乗った。少し玄武の方が大きいとはいえ、同じぐらいの大きさの空母級。
アルビオンがクロの上に乗ると、クロはバタバタと暴れ始める。
が、アルビオンはびくともしない。
「なん、だこれは……、アルビオンにこんな力は……」
グォオオン、と理性を無くしている本物の獣のようにアルビオンは吠え、隼の意識はどこにも見当たらない。
そもそも、隼がアルビオンのどこにもいない。
心獣はそれこそ、適合者の心を映した獣だ。適合者が居ないなど、あり得ない……。
もう一度、アルビオンが咆哮を放つと、辺りは雷で囲まれ、そこから蒼い炎に包まれた……。
『……め、は……め、……はじめ』
「しゅ、ん?」
『そう、僕だよ。第二部隊の白き魔王様。霜月隼だよ』
「ここは……」
『少し、特別な空間なんだ。そんなに長くは持たないけど』
困ったように隼は笑うが、始はその空間で手足すら動かせず、ぼんやりと空を見つめているだけだ。
隼はそんな始にゆったりと近づき、膝を折った。
「隼?」
『玄武が、邪心に侵略されそうになってたんだよね……ごめんね、気づいてあげられなくて』
そう言うと、隼は始のリングへと口づけを落とす。
濁ってきていたリングは、隼の口づけにより輝きを取り戻した。
それをみて、ニッコリと笑う隼。
『もう大丈夫。一人で、悩まなくたっていいんだ始。僕が、側に居る』
そう言って、隼はリングの填った指の隣の指に唇を落とす。
そこに、新たなリングが現れる。
「隼?」
『僕の事を、忘れてもいい』
「おい、隼!」
『どうか、忘れて』
「まて!おい!」
『でも、君にはいつだって味方がいることを忘れないで……愛してるよ、始』
「隼っ!!」
にっこりと笑って始を抱きしめた隼、その姿はだんだんと朧げに溶けて行き、隼を抱き留めようと動かない体を始は懸命に動かそうともがく。
が、隼が完全に消えた瞬間、光に飲まれ、始は目を覚ました。
当たりには何もない、野原。クレーターのようになった中心に始は寝ていた。空は晴れ切っている。
側には、小さく縮んだクロとアルビオンの姿。
己の指に填る、二つのリングを見て、あれが夢ではないのだと実感する。
が、アルビオンの姿は有るのに、隼の姿はどこを探しても見当たらない。
アルビオンに聞いてみても、何をいっている?と言う顔しかしない。
『彼ら』が去り、春たちが始の元へと集う。
集まってくるのは、第一部隊と第二部隊の面々。
駆けつけてきた中に、プロセラのメンバーもいた。
どうなっているのかと、彼らを見れば真実を知っているのは海と陽だけの様で、海は困った顔をし、陽はチッと舌打ちをして顔を逸らした。
「どういう、事だ?」
「あー……どうもこうも、始が企画してた『彼ら』を使った騒動を今に繰り上げたのはアイツだって言うことだ」
「なら、何故俺は死んでいない?隼はどうした?隼はどこにいる?アイツのアルビオンはここに居るのに、何で、アイツが」
「……隼は、リングバーストをした」
「リング、バーストだと」
「今は十一月。あいつの力が一番高まる時期。それに合わせて、繰り上げた今回の事件……全部、隼があんたのためにやった事っすよ、始さん!!」
泣きそうになりながら、陽は始の胸倉をつかんだ。
始はショックを受けたように、動かない。
「リングバーストを起こしたのは二回目。アンタも知ってるはずだ、隼は共和国を助けるために一度それを使ってる。その時はまだ、帰ってこれた。今回だって、臨界点じゃなかった。けど、あんたに力を渡したから、隼は帰ってこれなくなった!!」
「アルビオンは、何故、いる?」
海に、それ、と隼の残したリングを指される。
「それが、隼の思いの証だからだろ。始を愛してる、それを隼は公言して憚らなかった。愛してるから、救う。そこに、隼は矛盾も何も感じてはいなかった。俺たちを残していくことは不安だったみたいだが、俺たちとお前、どちらが大切か、と秤にかけるまでもなく明らかだっただけだ」
「隼の思いも、心も全部そこにある。だから、アルビオンはまだ存在している。ただ、それだけの話だろ」
その後、騒動については隼が引き起こしたものだとして、第一部隊には少しの処罰が下されたものの、実質はおとがめなし、と言う形になった。
第二部隊も、まぁ、こまごまとした処分は降ったものの、やはりこちらも隼の所為として片付いてしまい、第二部隊の隊長に海が就任すると言うことに成った。
アルビオンについては、そもそも適合者ではないのに始とリングは反発しあわないため、そのままと言うことに成った。
始は、時折西の空を見上げ思う。結果的に、自分ではなく隼が犠牲になった事。
後悔が、押し寄せる。
「……これで、良かったのか、隼」
『ふふ、迷っているのかい?黒の王様』
聞き覚えのある声が、始の耳に届く。
「っ、隼!?」
『なあに?どうしたの、始』
「お前、その姿は……」
隣に浮かぶ、白き影。
騒動の中心となった、霜月隼の姿だ。
手を伸ばしてみるが、その幻影を通り抜けてしまう。
隼はそれを悲しそうに笑った。
『悲しみに暮れることは無いよ、王様』
「王様言うな、不敬だぞ」
『イイじゃない、僕は君以外の誰にも見えないし僕の声は聞こえない』
「……幽霊、なのか?」
『そうだと言えばそうだし、違うと言えば違うかな?』
「どう違う?」
『僕は、思念体だから。僕の魔力と思いの合わさった形。そのリングを通してアルビオンから出てきている状態だからね。リングを持つ、始しか見えない』
「お前、まだアルビオンの中で」
『どうだろうね?……あぁ、ごめんね。もう時間みたいだ。始、僕の事は忘れてもいい。忘れたほうが良い。けどこれだけは覚えていて……僕は、君を愛している』
隼は優しく始に触れるとその頬へとキスをした。
始にはそれが見えただけで感覚など一切なかったのに。
それが、悔しくて、とても寂しかった。
「……春」
伝令で、春を指令室に呼び出す。
春は、難しい顔をした始の目の前で敬礼をした。
「どうしたの、始」
「……隼を、取り戻せるかもしれない」
「えっ?」
一月の寒空を見上げて、始は言った。
それが成ったのか、成らなかったのかは、始たちのみが知っている事。
END
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