特殊桐横で洋風パロ3(完)
side桐嶋
――――嘘つき
そう、象った言葉は、声はなかったものの俺の心を酷く突き刺した。
「……はぁ」
「ため息なんてついて、どうしたんですか陛下」
「あっ、あぁ…、何でもない」
「?それなら良いですけど、早く書類片づけてくださいね」
解ってるよ、と返して響は次々と書類を渡してくるから、それを処理していく。
「そういえば、頼んでいたドレス、来週辺りには届きそうですよ」
「本当か?」
「えぇ、先ほど職人から連絡があったそうです」
にっこりと告げる響。俺は、飛び上がりそうなほど喜ぶ。
ついに、それが出来上がったんだと思うと嬉しくて。
「隆史に、いつ着てもらうか…」
「出来上がったら、まず試着していただかないと困ります」
「あぁ、そうだっけ?」
嬉しさのあまり、そういうことがすっぽりと抜けてしまっていたようだ。
「それから、サファイアからまた手紙が届いていますよ」
「またか?何度寄越せば気が済むんだ?」
「あちらは、まだ疑ってるみたいですよ。皇妃様が書いた手紙も信用されてないみたいですし」
こちらに隆史が来たとき、サファイアから何度か手紙があったと言ったら、自ら書くと言って書いて送った手紙だろう。
それを信用していないとは…。
少し、サファイアに憤りを感じながらその手紙を受け取る。
その中身は、少し前回までのものと違っていた。
「響、面倒なことになった」
「は?」
訝しんだ響は、手を止めて俺に近づく。
「高野と律がこっちに来るらしい」
その響に手紙を手渡す。と、響はその内容を呼んで眉を寄せた。
「…新王子様とその后ですか。何を考えてるんでしょうか?」
「高野は、隆史の幼馴染だ。それで、心配なんだろう」
「そうですか…」
「挨拶って名目だからな。今回は」
新王子ならびに、その妃の挨拶となれば国の外交的にも断るわけにはいかない。
「国を動かすのも楽じゃ無いな―」
「楽だったら、誰だって国主ですよ」
「それもそうか」
妙に納得して俺はその日の仕事に再び目を通し始めた。
サファイアの訪問の事は、響に任せることにしよう。
それから数日がたったある日。
俺は、少しそわそわしながらその日を過ごしていた。
隆史のドレスが完成するからだ。
最近では、少し髪が伸びて本人はうっとおしそうにしてるけど、可愛い。
元から可愛いけど、余計な。ひよも、隆史の髪が伸びるのを楽しみにしてるみたいだ。
おそろいの髪型にするんだっていつだか言ってた。
まぁ、可愛いだろうな。
娘と嫁が仲が良い事は、俺にとっても良い事だから。
「おい、まさかこれを俺に着ろって言ってんじゃねぇだろーな?」
ドレスを目の前にした隆史が頬をヒクヒクと引きつらせた。
隆史は、何か吹っ切れたのか、以前と変わらない態度に戻ったけど、どこかそれに安心する。
「お前のために作らせたんだ、当たり前だろう?」
何を当然のことを言ってるんだと隆史を見ると、顔を真っ赤にさせて俺を睨みつけてくる目を目が合った。その瞬間、はっとしたように隆史は顔をそらしてしまったが・・・。
「なぁーに可愛い顔してんだよ?」
「可愛いって言うな!俺のどこがっ」
「全部可愛い」
隆史の言葉を遮り、その手を引き寄せると、その唇を奪う。
何度しても、馴れないのか初々しい可愛い反応をしてくるから、余計にハマる。
「そうやって睨みつけてくる目も、顔も、しぐさも、恥じらってるところも、性格も全部可愛い」
そう、言うと隆史は俺の胸に顔を押し付けて「もー喋んな」と、呟いた。
けれど、その耳は真っ赤で俺はくすくすと笑ってしまう。
「で?可愛いお前は着てくれるの、コレ」
「……しかたねーから、着てやるよ」
おかしくても笑うなよ!?と、赤くなってこっちを睨みながら言うけど、それは俺にしたらただの上目づかいにしか見えない。それを解ってないところがまた、可愛い。
隆史は、侍女に連れられてそのドレスと一緒に奥の部屋へ引っ込む。
それを、少し嬉しく思いつつ眺めていると、響に話しかけられる。
「陛下、サファイアの客人がいらっしゃいましたよ」
「…あれ?今日だっけ?」
隆史のドレスのことだけ考えていた結果、そう言えば来客するはずだった新王子と妃の存在をすっかり忘れていた。
「どうすっかな…、まぁ、会いに行くしか無いけどなぁ…」
ガシガシと頭をかいて、立ち上がった俺は謁見の間へと向かう。
あぁ、これからが良いところだったのに…と、残念に思いながら。
側に居た侍女に伝言を頼むことを忘れない。
「やぁ、いらっしゃい」
「お久しぶりですね、桐嶋さん」
睨むように俺を見てくる高野。何しに来たのか、丸わかりの態度だな。
その姿勢の青さに俺はクツクツと笑ってしまう。
「で?単刀直入に聞こうか、何しに来た?」
「っ!直球ですね」
「君たち相手に腹の探り合いしたところでつまらないからね」
普通は、言葉を濁して相手の腹の中を探るのが、外交と言うものだろうけど、この二人は外交に来たわけではない。表向きはそうだとしても、あからさまな態度に出してこっちを嫌悪していては何もかもが見えてしまう。
「…では、こちらも直球に言います。隆史を返してください」
「何故?」
何故?そう言った途端に、二人の顔がこわばる。
俺の顔も真顔で、少し相手を睨んでる。
「隆史は、望んでここに来たし、望んでここに居る。君たちが、何を言おうがそれは変わらない。それとも、隆史の意志を無視してでも連れて帰るか?」
にっこり笑ってみせると、律は少し後ずさるようなそぶりを見せる。
「…それでも、連れて帰ります」
高野のゆらが無い意志をその目に見た気がした。
けれど、こちらも譲るわけにはいかない。
なんてったって、計画を練ってようやく連れて来たんだから。
「あいつは、あの国の王となるべき人間です。当たり前でしょう」
「そうか?王になるには申し分ないとは思うけど…一人の人間として、そこに立ち続けられるほど強くねェよ」
「隆史が、弱いとでも?」
「いいや?弱くはねぇな。けど、強くもない。普通に傷ついたり、喜んだり求めたり…お前たちは、そう言った面のあいつを知らないだろう?」
「………」
あの国で見て来た限り、そんな風に感じられた。
この国に来てからの反応を見て、与えられることに慣れてない様子から、その認識を強めた。
「この間、買ってやった物も、贈った花も、どうやってあいつが喜んだのか、お前らに想像が出来るのか?」
隆史に、この間買ったのはロッキングチェアーと言う揺り椅子だ。
良く本を読む隆史にとって、それはとても居心地のいい場所になったらしい。
時折、部屋を訪ねるとひよを膝に座らせて絵本を読んでやってたりもしていた。
10歳の少女向けだから、少し大人びてる本だったけどな。
あとは、好きそうな本を数冊選んだり、少し街に出る用事があれば、待ちで売られてる珍しい花を買って渡したり……。
どれも、素直じゃないけど喜んでくれた。真っ赤になって、俯いたり顔を背けたりしてたけど。
あぁ、流石にロッキングチェアーを買った時は驚き半分で、苦情も聞いたけど…嫌そうじゃ無かったから良いんだよ。
「そんな、些細な幸せの時間をお前らが、あいつから奪うのか?」
「…ですがっ」
律が反論しようとした瞬間、バンっと音を立てて謁見の間の扉が開く。
「桐嶋さん!?政宗達が来てるって…」
「隆史?」
「えっ?にいさま?」
俺の言葉で、入って来た人物が解ったのか、律はぽかんと隆史を見つめている。
ここ、数日で変化した隆史に解らなかったんだろう。しかし、その恰好が問題だと思うが…。まぁ、俺は一向に構わないが、隆史がどうするかだな。
あぁ、きっと侍女は止めたんだろうな。後ろで、真っ青に成りながらあたふたしてるのが見える。
「お前っ、その恰好」
「あぁ?」
余計なことを、と思いながら隆史を見てるとその顔はだんだん赤くなっていき、くるっと踵を返すともうダッシュで逃げだした。
俺は、その後を笑いながら追う。ここで追わなきゃ、男じゃないだろう?
「隆史!!」
逃げる隆史は、後宮の方へ向かって走っていく。
高野達も一歩遅れて追いかけてくるから好都合だ。
後宮の入り口を通り抜けると、高野達が彼女らに止められる。
後宮ってのは、例外を除いて男子禁制。
俺以外の男が、此処に立ち入ることはできない。
むしろ、客が此処まで入れる事は無い。
「隆史?」
「どうすんだよ、見られた!」
ようやく捕まえて、腕の中に居る隆史は真っ赤で、俺を睨みながら文句を言ってくる。
というか、それって俺の責任なのか?
「ん?ごめんな。でも、綺麗だよ。良く似合ってる」
「うっ…」
本当に、可愛い反応を返してくれる。俺に反論できなくてか、言葉に詰まる隆史。
その、伏し目がちな顔も俺の好みだ。
「ほら、馴れないヒールで走って疲れたろ?お茶にしよう?」
体を離して、手を差し伸べれば、その手を控えめに取る手。
その控えめに触れられている場所から伝わる体温が心地よかった。
「政宗達は?」
「あぁ、響が…この国の優秀な側近が何とかしてくれるさ」
そんな雑談をしながら、俺は隆史と手を取り合い、一息付けるための場所へと向かうために足を進めた。
side横澤
政宗たちに見られたなら、仕方が無い、と意を決して俺は桐嶋さんの部屋の扉を叩いた。
きっと、戻れば今の俺の状況が国に伝えられるだろう。なら、国はもっと俺を連れ戻そうとするかもしれない。
なら、自分から帰るしかないじゃないか。
「桐嶋さん・・・」
そう、呼びかけると、普段は見せないような眉を潜めたような顔で、俺を見る桐嶋さん。
「どうした、隆史?」
「・・・っ」
本当なら、言いたくは無い。けれど、これ以上は桐嶋さんの迷惑になるだけだろう。
ならば、帰った方が桐嶋さんの、この国のためだ。そう思った。
「俺は、帰る。サファイア・・・、俺の国に」
「なっ・・・!?」
桐嶋さんは、そういった途端にガタッと椅子から立ち上がって驚く。
けれど、これはもう決めたことだ。
「お前、何を言ってるのか解かってるのか?」
「あぁ」
「この国が、嫌になったのか?」
「違う、そうじゃない」
「なら、何で・・・」
俺の考えていることがわからない、と桐嶋さんの顔にはありありと書いてあった。
「桐嶋さんは俺が・・・、王子でも、次王位継承者でもない、ただの、横澤隆史でも、いいか?」
「当たり前だろう!」
お前が、何者であるかなんて関係ない!
その、澱みない返事を聞いて、安心した。
「・・・、俺はまたココに戻ってくる。約束する。今度は、アンタと日和のためだけのただの“隆史”として」
だから、待っていてくれ。
そう言って、俺は頭を深く下げた。
その姿に、何を思ったのか、桐嶋さんは気が抜けたように椅子に座り込んで机の上で頭を抱えていた。
「あー、クソッ・・・、・・・だ」
えっ、と良く聞こえなかった言葉を聞き返す。
その内に、再び立ち上がった桐嶋さんに、この体は捕らえられてしまう。
「ひと月だ、それ以上は待てない。待たせるようなら攻め込んでやる」
その言葉に、何故だか解からないが笑いが出た。
「ふっ、ははっ、何だよそれ。子供みたいだな」
悪いか、とすねたような声に、悪くない、と返す。
「・・・今夜、お前の部屋に行く。覚悟しておけ」
その言葉に、心臓がドクッと跳ねた。
あぁ、解かった、と何とか返せたものの、顔の赤みまでは暫く消せそうにない。
「日和、話を聞いてくれ」
お願いだから、と言っても天の岩戸な日和の部屋は開きそうにない。
どこから聞いたのか、また悟ったのか、俺が帰ることを知ってか、日和はその日から部屋から出てこなくなってしまった。
「お願いだから、ココを開けてくれ」
しかし、中から“いや!!!!”と、言う日和にしては珍しい悲鳴じみた、責めるような声が聞こえてくる。
その、悲痛さに心が痛む。
「だって、お兄ちゃんはココに居てくれるって言った!!」
それは、何気ない日のこと。日和が、突然隆史に問いかけたこと。
“お兄ちゃんは、ずっとココに居てくれる?”と、言う日和に、どうしたんだ、と一応声を掛けたが、いいからと押し切られ、俺は結局“ひよがのぞむなら”そう答えた。
それが、今になってあだとなるとは思わなかった。
思えば、日和はこの時を、ずっと危惧していたのかもしれない。
「確かに、俺は一度国に帰る。でもちゃんと、ひよと桐嶋さんのところに帰ってくる。約束だ」
そう言うと、少しだけ開いた扉。
その隙間から小さな日和の手が伸ばされる。
「指きり、しよう?」
顔は見せてくれないが、手だけ小指を立てた状態で差し出され、それに自分の指を絡めた。
有名なあの約束を歌って、指をきった。
その手は、引っ込んで扉も閉まってしまったが、扉越しに言われた言葉に、笑ってしまった。
『あんまり遅いと、迎えに行っちゃうから!』
期限を指定されない分、どれだけが遅いのか早いのか解からなかったが、とりあえず日和はやはり、桐嶋さんの娘なんだと実感した。
次の日、ラフな格好をして、政宗と律を向かえ、そのまま二人と共にジャプンを後にした。
日和は、最後まで結局出てきてはくれなかったが、また会いに来る。だから、大丈夫だと自分に言い聞かせた。
正式な、順路を辿れば半日でジャプンの王都から、サファイアの国へ入ることが出来る。
更に、数刻してサファイアの王都へとつき、王宮で俺と政宗たちが乗った車は止まった。
「殿下、国王様がお呼びです」
出て直ぐに、執事長に父が呼んでいることを伝えられた。
解かった、と返しそのまま向かう。丁度良いと思った。俺も、父には話しがある。
「隆史、今まで自分が何をしていたのか解かっているのか?」
厳格な国王である父は、そう言って俺を見る。
「あぁ、解かっているさ。だから、今日帰ってきた」
「ならば、暫くは外に出ず、宮内でお前のするべき事を」
「それについて、親父に話すために帰ってきた」
睨みつけてくる父をジッと睨み返して言う。
「俺は、王位継承権を放棄して、この国を出て行く」
その言葉に、父は執務の椅子から立ち上がり怒鳴った。
「何を考えている!?」
「俺は、この国に元々必要なかったんだよ」
「何を言っているのか解かっているのか!?」
「解かっているから、出て行くと言ってる」
思ったよりも、冷静な声に自分でも驚く。
「親父達は、俺が疎ましかったはずだ。こんな、不完全に生まれてきた俺が。だから、俺を“王子”として閉じ込めようとしたんだろう?そんな俺が、桐嶋さんと会ったのはあんた達にとって誤算だったか?」
「何を言う、隆史」
「けど、俺が居なくなれば王位継承権は律じゃなく、叔父の元へと行く。男尊女卑な王族制度だもんな。律の、王位継承権は限りなく低い。それを危惧して、俺を早く取り戻したかったんだろう?」
「・・・もういい、やめろ」
「だけど、残念だったな。俺はあんた達の人形になってやるつもりは無い」
それだけ言うと、父の執務室を出た。
ふぅ、と息を吐くと俯いたまま言う。
「政宗、お前も利用させて貰うぞ」
「・・・勝手にしろ」
そう言うと、政宗は去っていく。
それで良かった。
「あー、早くしねぇとなぁ」
一ヵ月後、何にも変わってなかったら、桐嶋さんってかジャプンが戦争しかけてくるんだった。
それなりに、母国として愛着はある。ジャプンも好きだ。
戦争になることは避けたい。
俺は、出来うる限り早めに行動することにした。
いや、しなければならない。
簡単にはい、やめます。で、王位継承権を放棄できたら苦労は無い。
しかし、放棄した後が問題だ。叔父に王位継承権が移ってしまえば、律の立場や政宗の立場がなくなってしまう。
いや、それだけではない。そうなれば、元エメラルドの民も黙っては居まい。
はぁ、とため息をついて数ヶ月ぶりの自室へと戻る。
ベッドに腰をかけて、天井を見上げてため息を吐く。
そういえば、あの日地味だといわれたこの部屋で、初めて桐嶋さんに触れたのだと、ふと思い出した。
「・・・絶対、帰るから」
待っていろ、と心の中で呟いた。
side桐嶋
隆史がこの国を去ってから、3週間が経とうとしていた。
「陛下、サファイアから手紙が来ております」
「・・・サファイアから?」
そうして響が手渡してきた一通の手紙。裏を返すと、目を見開いて慌てて封を切った。
内容を読むと、こうしちゃ居られない!と急いで日和の元へと向かう。
「ひよ!隆史から手紙が来たぞ!」
「えっ?本当!?」
手紙の封印の紋は、サファイア国の王太子のみが使える文様だったからだ。
「お兄ちゃん、何て?」
「来週、帰ってこれるようになったから迎えに来いってさ」
“王位継承権を放棄出来る目途がたった。俺が欲しかったら、来週末迎えに来いよ”
と言った内容がざっくり言えば書かれていた。
もちろん、形式上かたっ苦しい言葉では書かれていたが。
「本当?パパ、それ本当ね?」
「あぁ、本当だ!さぁ、隆史を迎えに行く準備をしなくちゃな!」
うん!と笑う日和を、俺は抱き上げた。
あぁ、響にスケジュールあけてもらわなくては。
そう、頭の中で考えながら、今は日和と一緒に喜んだ。
それから、数日。響に死ぬほど忙しいスケジュールを組まれ、ようやく日和と二人でサファイアに向けて出発できた。
サファイアについて、手紙に書いてあった場所に招待状を持って行くと、一ヶ月会えなかった、隆史が、今そこに居た。
「隆史!/お兄ちゃん!」
と、重なった日和と俺の声は隆史に真っ直ぐ届いた。
立ち止まって振り向いた隆史を、俺と日和で抱きしめた。
「帰ろう、俺達の家に」
「お兄ちゃん、帰ろう?」
少し、驚いたような顔の隆史は、ややあって、あぁ、と僅かに笑ったんだ。
・・・・・
「あの後、サファイアに帰ってきてからがひと波乱だったなぁ」
「あぁ、お前の妊娠が発覚したり、か・・・?」
今、二人は隆史の部屋から庭を眺めている。
あの後、身篭っていた隆史は、子供を産んだ。
両性と言うことで、普通の女性からするとかなり危なかったが、なんとか一命をとりとめた。
だが、前のように元気にとは行かず、ベッドの上での生活を今でも余儀なくされている。
「なぁ、隆史」
「何だよ」
「お前、幸せか?」
「何言ってんだ、アンタ」
呆れたような声がしたと思ったら、庭に向いていた首を、隆史の方へと向けられる。
「今ここにいる俺が、アンタに不幸に見えてんのか?」
「・・・幸せ、だな」
「あぁ、アンタとひよと、あの子と・・・、ここに居れて俺は幸せだよ」
そう言って笑う隆史が、酷く眩しかった・・・。
End
シリアス?まさか、シリアルです。
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