いかないで


死ネタ擬き。




「高野さんっ!!」


他愛ない話をして、いつものように帰っていたハズだった。

そんな、いつもの日常の中で突如響いた律の必死な声と、自らの体に起こった衝撃。


気が付いたときには突き飛ばされていて、真っ赤な飛沫が俺の目の前を舞った……。


「あっ、あぁ…?律?なぁ、律?律、おい、律!りつーーーっ!!」


慌てて、停まった車の先から律の体を抱き起こす。

意識の無い体は、だらんとしている。

血の流れてる頭や体は、真っ赤に染まっていて、抱き締めている自分の体さえも赤かった……。


「なぁ、嘘だろ?律、目ぇ開けろよ?なぁ!」


交差点の真ん中で、俺はただ自らも真っ赤に染まりながら、律を呼び続ける。


「せっかく、せっかくもう一度会えたんだ……お願いだから、逝くな、逝かないでくれ、律、りつっ……」


何をしてもピクリ、とも動かない体を見て涙が溢れる。

何で、何でこんなことになった?

どうして、いつも離れていっちまうんだよ、律……。

側にいてくれ、お願いだから。

お前がいなきゃ、俺は息の仕方も、生き方も忘れちまいそうだ……、だから、逝くな、逝くな、律。



涙を流していた俺には、遠くの方で鳴り響くパトカーの音も救急車の音も聞こえはしなかった。



END



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