どこかドラマのような
その日は、政宗と飲むことになっていた。友人と飲みに行く、そんな事を桐嶋さんに伝える必要はないと思ったし、恋心、桐嶋さんに言わせると依存らしいけど、それを忘れる必要はないって言われたから、別に良いと思ったんだ。
それが、こんな気持ちになるなら言っておけばよかったと、思っても後の祭りだ…。
「まって、待ってよ、桐嶋さん!!」
政宗と飲んで、ほろ酔い程度で店を出た途端、編集の部下たちを連れた桐嶋さんとはち合わせしてしまった。何も悪いことなどしていないはずなのに、何となく居づらいのは何でだ?そう、思いながら桐嶋さんに声をかけようとした途端、
「悪い、用事思い出したわ。また今度、誘ってくれ」
「えぇー?そりゃないっスよ、編集長ー!!」
「悪いって、でも俺一人抜けたぐらいじゃ、大して変わらないよな」
「うぅー、じゃあ今度は絶対、一緒に飲みましょう!約束っスよ?」
「解ってるって、悪いな。じゃ、また月曜日だな」
と、私に会ってから何かを考えていた風だった桐嶋さんは、一人の部下の頭を撫でて踵を返してしまった。
「えっ?桐嶋さん?」
「おい、横澤?おい!」
その行動に、少なからずズキッと胸が痛む。無意識の内に足が勝手に動き出して、政宗に別れを言うことも、後ろで呼ぶ声も頭から吹っ飛んで、俺は真っすぐ桐嶋さんを追いかけていた。
「桐嶋さん!!」
「待って!!止まってよ!!桐嶋さん!!」
「行くな!!止まれ、止まれよ!桐嶋さん!!」
焦っているせいで、人の波に乗れず、普通に歩いているだろう桐嶋さんとの距離を中々詰めることが出来ない。
でも、縮まらない距離よりも何よりも、桐嶋さんの名前をずっと何度も呼んでるのに止まってくれず、振り向いてももらえないこのもどかしさが苦しかった。
「何でだよ…きりしまさんッ!!」
やっと追い付いて、桐嶋さんの腕を握るものの桐嶋さんは振り向かない。
返事も無い。怒っているのかも、知れない。けれど、それでも顔が見れないのはいやだった。すごく、すごく苦しかった。何よりも、何でかなんてわからないけど、とても怖かった…。
自然に顔は俯き、
「横、澤…」
ボソッ、と聞こえるか聞こえないかぐらいの声。その声に、俺は呼ばれ顔を上げた。
そんな俺の目に飛び込んできたのは、困惑しているような桐嶋さんの顔。
「何で…何で私を置いて行ったんだよ!!」
「横澤、どうして…」
「どうしてって何だよ!?私には、桐嶋さんしか…っ!!」
ボロボロと見っともなく溢れてくる涙。止めようと思っても、止まらなくて、腕を掴んでいない方の手でごしごしと目をこする。しかし、その手は直ぐに止められて、頬には寒さで冷えた手の感覚。
「泣くな、横澤…」
「桐嶋さん…」
そのまま、唇を桐嶋さんに奪われる、けれど、こんな往来でされても、無視されるよりは、よっぽどましで、私は吠えれなかった。
「俺だって、混乱してたんだ…それに、高野と居る時に俺に会うと、気まずいだろう?だから…」
「かっこつけてんじゃねーよっ!!」
俺は桐嶋さんの言葉をぶった切り、そのまま睨みつける。
「わたっ、私の前で、かっこなんて付けてんじゃ、ねーよ!」
「…悪い。そうだよな、言ってくれたもんなお前。俺に、恰好悪くたって俺が俺が好きだってな…、ごめん」
そうして、迷い事が吹っ飛んだかのように笑った桐嶋さんに再び重ねられた唇。俺は、それを追いかけるように、今度は自分から深く貪った。
End
おぅふ、グッダグダwwこの後、追い掛けてきた高野さんに見つかって、気まずくなれば良いww
- 91 -
[*前] | [次#]
ページ:
戻る
main