爪痕=・・・
概要→桐嶋さんの体に爪痕を見つけた新人さんとの御話。
※オリキャラ?ご容赦ください※
「きっ、桐嶋編集長!」
「ん?」
後ろから、うちの新人に声をかけられた。
顔が赤いのは、気のせいじゃないよなぁ?
何かしたっけ?
「何、どうした?」
「えっと、その……ちょっとこっち来てください!」
「えっ?ちょっと、おい?」
いきなりの事に、俺はなすがまま手を引かれて、使用してない小会議室へと連れ込まれる。
この新人とは、まだ2*3週しか一緒に仕事してはいないけれど、たぶん告白ではないだろうと言うことだけは伺えた。何しろ、計画性が無さすぎる。
まぁ告白だとしても、俺には横澤がいるわけだし断るけどな。
「背中に爪痕あるんでジャケット着て隠してください!」
「はぁ?」
キッと、意思を決めた彼は、叫ぶように言った。
俺は、思わず呆けた後、クスッと笑い出した。
まぁ流石に、会社で家のような笑いは出せないけど。
「初だねー?」
「わっ、悪かったですね!痛くないんですか?」
「全然。今朝、ちょっとピリッとしたぐらいかな?まぁ、痛みも愛されてると思えたら、愛しいだろ?」
と言って、俺は傷を撫でるように肩に手を持って行く。
ピリッとまた痛みがあるけれど、それすらも愛しくて、自然に顔が綻ぶ。
すると、新人の顔が辛そうに歪む。
えぇっと、これは、あー、もしかするのか?
「っ、その人の事大切なんですね、編集長。付き合ってるんですか?」
「ん?あぁ、もちろん。付き合ってるし大切だよ。可愛くて、純情で…愛しい」
俺が、そう言うと益々傷付いたような顔になる新人。
今まで、男にも女にもモテてきて、自分がそういう対象なんだって解ってはいたけど、最近は無かったことに少し感覚が鈍ってるのかもしれない。
「それだけなら、俺は行くよ?」
これは、早く離れた方がいいかもしれない、と俺は、忠告ありがとうとだけ言って背を向けた。
「まっ、待ってください!!」
それを引き留めたのは、やっぱり彼で、手首を握られ、振り向かざるを得なくなってしまった。
「なに?まだ、何かあるの?」
ため息を吐きたかったけど、人間関係を出来ることなら悪くしたくないし、ため息を吐かず、面倒くさいと思いながら、出来るだけ優しく問いかけた。
「あの、俺っ、望み無いって解ってますけど、編集長のこと―」
「はい、ストップ」
「―えっ?」
彼は、ポカンっと俺を見上げている。
その顔は、可笑しかったが、今は笑えない。
「嫉妬深いんだわ、アイツ。だから、告白を聞くつもりもないし、況してや別れるつもりもない」
だから、と俺を掴んでいる手を剥がしながら言う。
愛想笑いすら浮かべられない。甘く対応して、まだ思われるのも面倒だ。
第一、横澤の不機嫌な顔は、自分がさせるのは良いが、人にさせるとなれば話は別だ。
アイツは、俺のだから。
「君の気持ちに答えられないし、答えるつもりもない」
「ッッ!!…そう、ですか…すみま、せん、失礼、します」
彼は、涙を堪えるように何処かへ行ってしまった。
俺は、少しだけ後悔しながら、会議室を出る。
あぁ、横澤に会いたいなぁ……
END
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