日火


寿先生の、せっくすぴすとるずと言う漫画パロです。


n番煎じかなんて構いません、日火が見たかっただけなんです。

ただし、別人になってしまったけどね!(すみません





















初めて会ったとき、人が多すぎて混じりあった中に、微かに感じた匂い。



――sweet?



匂いのモトが多すぎて、それが、誰のモノかなんて解らなかった。

けれど、気を抜けば魂現が出そうになり、強面、と言われる顔に更に眉が寄ってしまったのは仕方がない。


二度目に顔を合わせたのは、初めての部活時。

周りの臭いに混じり、届く甘い、甘い、香り。

監督だと言う彼女からではなく、男子の先輩方の方から匂う。

その事にも、この甘い匂いの持ち主が仲良さそうに話しているんだと思うことにも、若干のイラつきを隠せず顔に出してしまう。

けれど、この日も結局、香りの持ち主をみつける事は出来なかった。


その人物の正体を知ったのは、数日経ったとある日のチーム対抗の模擬試合の時。

部活になると香るその甘さに慣れ、気にならなくなってきた時だった。

シュートをブロックしたさい、手がその体に触れた。たった、それだけ。


「えっ?」


たったそれだけの、一瞬の間だったのに、その甘い香りは火神を包み、火神は魂現を出しながら、惚けた様に座り込んでしまった。


「火神、大丈夫か!?」


惚けていたのも、束の間。

出てしまった魂現に顔色を真っ青にし、『見んなっ』と叫んで走る。


体育館から出て、人目のない場所まで来てようやく、詰めていた息を吐き出した。

火神の魂現は、複雑な接木雑種であり、一度魂現を見られた時、あちらの友達に気持ち悪がられた事もトラウマである。


「見られたよな、どーすんだよ・・・」


あー、くそと、誰にでもなく悪態をつく。ようやく、一種のトラウマのような物から解放されて、自由にバスケが出来ると思ったのに、自分の失態のせいでまた、居場所を無くすのか、と思うと、知らず知らずの内に涙が滲んできた。

そんな、落ち込んでいる火神は自分の前に影が出来たことに気が付かない。

それどころか、今は汚い話だが、涙と共に出てきた鼻水によって、鼻が利かなかった。

近付いてきて、漸く人の気配に気が付いた火神が涙をぬぐい顔を上げると、そこにはクラッチタイムに突入しているのではないか、と言うくらい笑顔でキレている日向の顔があった。


「火神、魂現見られたからって、いきなり部活サボり出すなんていい度胸だなぁ?」

「ぁ、う、ぁ・・・」


側に居ると自覚した途端に、甘い甘いそのフェロモンに引きずり込まれ、言葉を紡げなくなる。


「・・・おい、火神聞いてんのか?」


顔は、日向の方へ向いているのに、視点はブレテ、意識が宙へと浮く。

そんな、火神の様子を不振に思ってか、日向は更に火神へ近付き、心配するように火神に触れた。


「あっ・・・」


思わず触れた場所から走った感覚に、上擦ったような声が漏れ、体が熱くなり震える。


「本当に、どうした?具合悪いのか?」

「ちがっ、」


否定の言葉を紡ぐも、日向の顔からは心配の色が消えない。


「じゃあ、どうしたんだよ?」


俺には言えないことか?、そう言われ、ぐっと唇を噛む。

言えなくはない、けれどどう言葉にすればいいか解らない。

尚も、火神に普段からは想像できないほど優しく問いかける日向。

意を決したように火神の口から飛び出した言葉は、日向を唖然とさせるには、十分だった。



「俺を、あんたの雌にしてくれ」

「・・・ハァ?」



あれから、ややあって一週間。

表面上は、何事もなく過ごしている。

しかし、火神の日向に対する距離感は異様だった。

昼休みの昼食を、一緒に、隣でとるのは勿論。

部活の時はまるで接触を避けるようにプレイするくせに、部活が終わればひょこひょこと、日向の後ろをついて歩く。時には腕やシャツの裾を握ってることもある。

そんな火神を気にするでもなく、寧ろ時々振り返っては頭を撫でてやる日向。

そんな二人を、猿人は無視し、斑類である仲間たちは何があったのかと、推測を立てたり、探りを入れてみたりしていた。

しかし、火神は勿論、日向も火神の為と頑として口を割らなかった。

しかし、人間、近しい他人の側では口が緩むものである。


「ひゅーが、俺の子を産んで?」

「ざけんな、ブォケ!ぶっ殺すぞ」


フェンス越しにグラウンドを眺めていた日向の肩を後ろから組んできた木吉の顔面めがけて拳を振りかざす。

それを寸前で避けた木吉は、尚も笑っている。


「やっぱり、ダメか〜」

「やっぱりって何だよ、バカか!」


実は入学当初から木吉に言い寄られている日向だが、木吉の本命は別にいることを知っているため、絶対嫌だと言っている。

と言うより、日向は根っからの雄であり、冗談でも抱かれる気も、誰かの子を産むつもりもなかった。


「火神と最近、近いだろ?だから、イケると思ったんだがなぁ」

「シネ」

「だって、前結婚するなら猿人の女が良いって言ってただろ?」


あー、確かにな。そう、頷いた日向。

けど、と続ける。


「火神は別。なんつーか、ほっとけねぇだろ?」


その言葉に木吉は苦笑いする。


「日向が、そこまで言うなら誘って見るか」

「木吉、火神に何かしてみろ、お前の握り潰してやる」

「怖いなぁ」


当然だろ、と言うようにふんっ、と鼻を鳴らす。

それと同時にリコが、今にも泣きそうな顔の火神を連れて屋上へ入ってきた。


「か、がみ?」


えっ、ちょっ、どうした?と、慌てる日向に、リコがため息を吐きながら答える。


「火神くん、今泣きそうになって階段から駆け降りてきたのよ。アンタたち、何かしたんじゃないでしょうね?」


にっこりと凄みを効かせたリコの顔に、日向はブンブンと首を横に振った。

誰にもわからない火神の状態に、お手上げ状態で仕方がないから当事者に聞くに至る。


「火神、どうした?」

「・・・すんま、せっ・・・っ、」


好きになってすんません、

キャプテンは、猿人と結婚したいんだろ?

俺なんかに好かれて迷惑だよな、です。


そう、しゃくりをあげながら告げる火神を、半笑いで抱き止めた。


「さっきの会話聞いてたのかよ、バカだな・・・俺もお前も」


ひっく、としゃくりをあげながらも、日向の顔を見つめる火神。


「あー、そりゃお前に出会う前はそう思ってたよ。けど、今じゃお前以外に考えられねーよ」


だから、心配すんな。その言葉に、安堵した火神は良かった、と魂現を垂れ流しにしながら泣き崩れた。












厭きた。


簡単に設定↓


火神

→接木雑種、その魂現は猫又を元に、蛇の目、蛟、犬神人、そして、最大の特徴は背中に生えた天狗の翼。滅茶苦茶な魂現だが、それは確かに火神の中で共存していた。小さい頃は、それが理由で虐められていたため魂現を見られることが、トラウマ。

ちなみに、日向に一目惚れしていたが、気が付いていない。


日向

→フェロモンが強い。眼鏡をして居ると、それが薄れる。なんの種類かは、決めてない。

とりあえず、人魚か、接木雑種か、フェロモンが強いだけの中間種にするか。迷いどころ。



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