貴方を一番好きと言える日に


※あてんそん?


笠松→大1

黄瀬→高2


黄瀬くんにょたか


前に上げた家族設定を使ってます。

いや、使ってるけど使ってない?

設定落ち。

タイトル落ち


まぁ、気にしない。



では、OK?



れっつらごー↓↓







卒業と同時に、笠松は黄瀬と離れる決意をした。

キセキの仲が戻った今、黄瀬が海常に来たときのように不安定になることはないだろう。心配ない、そう思ったから。


しかし、現実は余りにもあっさりその決意を覆してくれるもので



【貴方を一番好きと言える日に】



大学は、東京にあり、独り暮らしを始めることも、黄瀬を忘れる手立てになると考えていた。

考えていたが、引っ越しした数日で自分からバラすような形になるとは思わなかった。


「黄瀬」


ほら、とソファーに座る黄瀬に手渡すのはホットミルク。

生憎と、黄瀬の好みそうな飲み物、特にミネラルウォーターなんかは置いてない。幾ら暖かくなってきたからと言って、まだ寒いこの時期に冷たい飲み物は如何なものかと思い、残された選択肢は一つしかなかった。


「……ぁったかい」

「あぁー、もう泣くんじゃねぇ。それ冷めない内に早く飲め」


暖かさに何かの琴線が触れたのか、泣き出しそうになる黄瀬の背を軽く撫でながら笠松は宥める。

実は、笠松の家に来てから、玄関に入ってすぐ、笠松に抱きついて、わんわんと訳の解らない事を叫びながら大泣きしていたのだ。

そのため、目が少し赤い。


「だって…」


ぐずぐずと、鼻水を啜りながら、それでも言葉を紡ぐ。


「本気で好きだったッス」

「こっち向いて欲しかった」

「だからバスケも頑張った、昔みたいに戻って欲しくて」

「どうして私じゃなかったの?」

「私じゃダメなの?」

「誰よりも側にいた彼女だったら諦めも付くのに」

「どうして彼女なの?」


どうして、どうして、どうして、と叫ぶ黄瀬を変わらず笠松は宥める。

そこに言葉は、ない。

ただ、黙って黄瀬が話したいことを話し終わるまで聞いていた。

ぽたり、と流れ落ちた大粒の涙で黄瀬は大人しくなった。


「初恋、だったッス」


ポツリ、と呟かれた最後の言葉にようやく笠松は、「そうか」とだけ相づちをうった。

再び、今度は静かに泣き出した黄瀬を笠松は抱き寄せて頭を撫で続けた。しばらくし、泣き疲れた黄瀬がそのまま寝入ると、仕方ないなっと言うように優しく笑い、そのバスケプレイヤーとしては軽すぎる体を抱き上げ、自らのベッドへ寝かせた。

そして、泣き腫らし赤くなったその目元にキスをする。早く赤みが引くように。

言いはしないが、自分以外の事を想い、泣き腫らした顔は気に入らない。

けれど、こんな無防備で壊れやすそうな姿を、他の誰にも見せるつもりも無かった。


「……お前から落ちてきたんだからな」


もう、逃がさねぇ。そう呟いた笠松の言葉は誰にも聞こえるハズ無く、消えていった。


立ち上がり、携帯を操作し親友である森山にメールを一つ送り、これからの事を考えてニヤリと笑うと、夕飯の準備に取りかかった。




from 森山

subject RE:

―――――――――――

逃がした黄色い獲物が自ら落ちてきた

もう、逃がさねぇ




――――end―――――
















『センパイ、助けて』


機械を通して伝わる黄瀬の声音に、冷や汗を流した。


「お前今どこにいる!?」



明日は、土曜で予定もなくのんびりと出来るため、ベッドの上で雑誌を捲りながら、黄瀬をどうやって落とすか考えていた。

そんな中、掛かってきた電話。

誰だよ、こんな時間に・・・と、思いながら、携帯の画面を見ると、そこに写し出されていたのは、【黄瀬 涼香】の文字。

見た瞬間に、パッと通話ボタンを押していた。


「もしもし」


出たはいいが、返答がない。それを不信に思って、耳を澄ますがなにも聞こえない。


「どうした?」


声を掛けるも、返答はない。

少し焦ったように、黄瀬?と、声を再び掛けると、ようやく黄瀬がポツリ、と言葉を溢し、冒頭に戻る。



『ここっス』


黄瀬が言葉を発すると同時に、コンコンッとドアが鳴った。

ハッとして、慌てて扉を開けると、そこには、泣きそうな顔で突っ立っていた黄瀬と出くわした。


『「センパイ、」』


左耳に当てたままの携帯と、右耳から聞こえる肉声とが、少しの時差で聞こえ、唖然とする。


「き、せ?」


プチっと、携帯を切ると自然な流れで黄瀬の頬に手を添え、その体温で、あぁ、現実なんだ。と、理解したと同時に、無防備な黄瀬に怒りも沸いてくる。

無言で手を引き、部屋に引きずり込むと、そのまま頭をひっぱたいた。


「こんな夜中に、変装もしねぇで何ふらふら人ん家来てんだこのバカ!自分が仮にもモデルって事解ってんかのか、シバくぞ!」


いつもなら、もうシバいてるっス!と、返してくるものの、今日は電話口のテンションから言ってそれはない。ただ、すみません。と、小さな呟きが返ってくるだけだ。

そんな黄瀬を、前と同じようにソファーに座らせると、ホットミルクを作り、手渡す。

その間、黄瀬は何も一言も、言葉を発することはなかった。


「で、どうした。今度は、何があった」


隣に座り、ゆっくりと頭を撫でてやる。

黄瀬はややあって、話し出した。


「・・・、眠れないんス」

「は?」


だが、その内容は想像できたものとはかなり違っていて、間抜けな声が出た。


「寝ようとしたら、思い出すんス。眼を閉じれば、中学の仲間がいて、でも、突然消えて、トートツに思ったッス、自分が一人だって、独りぼっちに思って、寂しくて」


嗚咽を漏らしながら、黄瀬はマグカップを握り締めた。


「どうしようもなくて、初めの内は我慢出来たッス。けど、段々眠れない時間が増えて、どうしよう、て思って、居ても立ってもいられなくて、着替えてそのまま、センパイの家に来てました・・・すみません」


そんな黄瀬に、俺は内心笑みを浮かべながら、その頭をなで続ける。


「独りぼっちねぇ、お前は俺らや早川、中村の事まで忘れたと。海常は仲間じゃねーの?」


その言葉に、黄瀬は首を降る。


「大切な、私を受け入れてくれた仲間ッス」


黄瀬の言葉に、にやりと笑うと撫でていた頭を少々ド突く。


「今の、小堀に言っても怒ると思うぞ」


笑顔で、と言えば、絶対に言わないでくださいと、漸く顔を上げ、今日ここに来て初めて俺の顔を見た。


「で、俺の家来てどーすんだ?一緒に寝るか?」

「考えてなかったッス」


どうしよう、と今更に慌てる黄瀬は何だかおかしくて笑ってしまう。


「かか、帰るッス!」

「言っとくが、もう電車無いぞ」


時計を指差せば、ホントだ、と呟く黄瀬。


「タクシー・・・」

「で、帰れる金あるのか?」

「うー、あー、すんまっせん、泊めてください」


色んな可能性を考え、最終的にペコッと頭を下げた黄瀬に更に笑ってしまう。


「待ってろ、今寝巻きになりそうなの取ってくるから」


流石にそのままでは眠れないだろうと、立ち上がり、クローゼットの中を確める。

これでいいかと、取り出した衣服を黄瀬に手渡し、風呂場を指す。


「ほら、そっちで着替えてこい」


ハイッス、と来た時とは比べ物にならない位元気な声で返事をし、着替えるために向かっていった。


まぁ、お決まりなのか、ウエストが合わないとか言って、彼シャツ状態の黄瀬をぶん殴ったけどな。




それから、翌朝。

黄瀬に当然ベッドを譲り、ソファーで寝ていた俺は、寝苦しさに目を覚ました。

なんと言うか、一度寝たら大抵起きない俺だが、これはないって思った。


「・・・きせ」


仰向けの状態で、掛け布団を捲ると、人を肉布団にしてスヤスヤと寝ている黄色い頭を見て、脱力した。

なんだこれ、俺がベッド譲った意味ないだろ。

それに、これは拷問の一種か?

体に挟まれたそれが諸に当たるんだが。

何か、そう考えると腹立ってきた。

黄瀬の癖に。


俺は、朝一の怒声と拳を自分の上で寝てる黄瀬に降り下ろした。


まぁ、何だかんだって黄瀬が眠れないと泊まりに来ることは続き、もう習慣染みてしまったけれどな。


最近の嬉しい悩みは、黄瀬の私物が俺の家に増えていくことだったりする。














「センパイ、どうしよう……」


黄瀬が仕事帰りや週末、笠松の部屋へ泊まりに来ることは、もう恒例となっていた。


あれから、黄瀬はキセキのメンバーにメールで、青峰と彼女……火神の関係を知っているかと訪ねた。

帰ってきた答えは、要約すれば全て同じ、【知っている】と言う文面。

それを見て、再び黄瀬は涙を流した。

『自分はキセキの一員、仲間じゃなかった』

そう、泣き付いてきたのは記憶に新しい。全く、涙脆い。

しかし、それほどまでに傷付きやすく、脆い心。

その心を絹綿で包む環境は整っているにも関わらず、黄瀬はあえてキセキを、始めの関わりを大切にしてしまう。

黄瀬は、何より自分の世界を変えてくれたキセキを愛していた。けれど、それ故に中学の頃、キセキの皆と別れた事は黄瀬の心を深く傷付けた。

そして、今回の事も、ようやく癒えかけた黄瀬の心を再び傷つけ、再び傷付く事を無意識に避けるようになっていた。

クッションを抱え、ソファーの上で呆然とメールを見つめ、笠松に答えを求めているのが、良い例だ。

普段の黄瀬であれば、自分の事は自分で決めるし、何よりもキセキの会合に欠席するなど、有り得ないからだ。


「お前はどうしたい?」

「……私、は」


認めたく無いのだろう。

無意識の内に、キセキに会いたくないと思ってることを。

言葉にしてしまえば、それを認めることになってしまう。逃げ道を、見失うことが怖いのだろう。


しばらく、あー、だの、うー、だの呟いていた黄瀬に、笠松は仕方がないな、と言うようにため息を吐いた。全く、笠松は黄瀬に甘い。

森山にそう言わしめる所以、黄瀬に対しては他に対してより数十倍優し過ぎるのだ。


「その日、森山たち誘って、集まって遊ぶか?」


つっても、明日だけど。

そう呟いた笠松の言葉は届いたのか定かではないが、途端、黄瀬の顔がパアッと輝いた。


「行くッス!」


即答に近い早さで返答してきた黄瀬に苦笑しながら、笠松は元海常メンバーへとメールを作成した。



from 森山 [4件]

subject 明日暇か?

―――――――――――

暇なやつ、集合


―――――end―――――



適当に黄瀬と待ち合わせ場所を考えて追加して送った。










次の日、集まったのはメールを送った全員。

笠松と黄瀬の共通で仲が良かったメンバーだ。


「すまん、遅くなった」

「ごめんなさいッス」


二人が同じタイミングで、それも笠松が少し遅れて現れたことに、メンバーは森山以外驚き、森山は顔を仄かにひきつらせた。


「お、はよう、笠松に黄瀬」


始めに回復したのは良心であり、癒し系の小堀だった。

昔、ゴタゴタはあったものの、今は立派な森山の彼女だ。


「おはようございます、笠松先輩!そぇと黄瀬!」

「私、ついでッスか?!」

「そんなことないぞ!な、真也!」


二番目は、早川で。

元気が有り余ってる女子だ。中村の彼女だったりする。

未だに、彼氏がいないと思ってる友人もいるらしい。


「そうだね。それにしても、遅かったですね二人とも」


眼鏡をかけ直し、落ち着いた素振りを見せたのは中村。

早川の彼氏、だがしかし、学校では幼馴染みとして浸透していたので、どれだけ接触しようと彼氏に見られた事がない。


「あぁ、コイツのせいでな」

「ヒドッ!確かに否定はできないけど、フォローしてくれたっていいじゃないッスか!」

「うるせぇバカ!テメェが出先でゴタ付いて、地下鉄1本乗り過ごしたからだろうが!置いていかれなかっただけマシと思え!シバくぞ!」

「いたぁー!もうシバいてるッスぅ*!」


そのやり取りを見て、森山はふと思う。


「ちょっと待て、黄瀬お前、笠松の家に泊まったのか!?」

「へっ?そうッスけど……」


何か問題でも?とでも言いたげに、黄瀬の首は傾げられた。

素早く笠松に視線を移すと、笠松はニヤリ、と黄瀬には見せないように笑った。

そして、素早く口パクで『余計なこと言うなよ』と伝えられる。


「いや、何でもない…」


ある意味青ざめた森山は、小堀の側に寄り、ボソボソと呟く。


「なぁ、知ってるか、浩」

「うん、知ってる」

「だよなー」


何であの二人付き合ってないんだよ!?

このやり取りは、高3の時から変わらない。

森山の言いたいことは、大体小堀も把握済みだった。


「森山も小堀も何してんだ?置いてくぞ?」

「まって!今行く……由孝、行こう?」

「あぁ…」


今も森山と小堀の前で、ナチュラルにはぐれると困るから、と言う理由で手を繋ぐ二人を遠く見つめて、その背中を追いかけた。




















「あれぇー?黄瀬ちん?」

「ん、どうした?」

「んーん、何でもなぁい」


首を振ると、そのままマイペースに歩き、メールをし始め、隣の男性が苦笑した。



from 赤ちん

subject RE:

―――――――――――

黄瀬ちんはっけーん


今日って集まりじゃなかったっけ?


―――――end―――――














SIDEキセキ


「涼香が、誘いを断るなんて」


某日某時、キセキ-2+aがマジバにて顔を付き合わせていた。その雰囲気は暗い。



「紫原さんは?」

「こちらにいる恋人とデートらしい」


その言葉に、黒子と火神は、あぁ、と頷いた。

あの、紫原の彼氏がまさか、同じ高校の先輩である木吉だとは思わなかったから。知った時は、ものすごーく驚いた。


「それよりも、涼香だ」


手を組、そこに額を当てたまま、赤司が言う。


「今日は仕事がないことも調査済みで解ってる。急な仕事が入らないようにこちらで手配してあったから、その心配もない。なのに、何で涼香は私達の誘いを断った?」


解らない、そう言った顔の赤司はますます暗く落ち込んでいく。


「そう言えば、最近黄瀬さんからねメール来ないですね」

「前は煩いくらいだったから、調度いいのだよ」

「うわっ、あんだけ携帯見て心配してたのに、真ちゃんツンデレ」


ゲラゲラ笑う高尾を、うるさいのだよ!と緑間は一睨みした。


「別に気にすることじゃねーだろ」


キセキの繋がりは、恋人が出来た所で変わらない。切れないものだと迷信しているからこその、青峰の言葉。


「煩いですよ、ガングロ。貴方は、黄瀬さんが心配じゃないんですか?」

「だから、何を心配すんだっつー話だよ!」

「黄瀬さんが僕らから離れてしまってもいいんですか!」


はぁ?と青峰は、訳がわからないと顔をする。


「だぁから、気にしすぎだっつってんだよ。黄瀬が俺らから離れられるはずないだろ」

「青峰くん、君はどうしようもないバカですね」

「おい、そりゃどういう意味だ!?」

「そのまんまですよ」


はぁ、と黒子はため息をついた。

青峰はまだぎゃんぎゃん言っているが、無視を決め込んでいるうちに、諦めたらしい。


「あっ、涼ちゃんのくろったー更新されてる」


静か、とは言いがたいマジバの中だが、仲間内が静かになったところで、高尾の声が響く。

なにっ!?と、慌ててくろったーを開く赤司、黒子、緑間。

その更新を見て、三者三様に悶えた。



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キセリョ@kaijoryoka618


皆、゚+.(ノ*・ω・)ノ*.オハヨオォォ☆゚・:*☆

今、センパイたちとデートしてるッス(*>v<)ゞ*゜+

センパイに、サーワンアイス奢ってもらったッス。+。:.゚ヽ(*´∀`)ノ゚:.。+゚



【写真(アイスにかじりつきながら、上目遣い)】

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(かっ、可愛い!)


赤司と緑間は顔を綻ばせ、黒子は表情こそ変わってないが、花が飛んでるようだ。

更に、KLを監視する。



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***@*/*/*/*/*/*


@kaijoryoka618 あっ、その現場見た!その後、撮ってくれてた人に、アイス食べられてたよねwww彼氏?


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キセリョ@kaijoryoka618


@*/*/*/*/*/* ち、ちちち違うッスよ!(゚ω゚;A)アイス奢ってくれた先輩ッス!(人´∀`).☆.。.:*・°

でも、食べた後、やっぱあめーわ、って顔しかめたんっすよ!?じゃあ何で取ったんすか!ヽ(`Д´メ)ノ プンスカ!


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***@*/*/*/*/*/*


@kaijoryoka618 知らんがなwww


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こんな会話が見ず知らずの誰かと黄瀬の間で行われており、その会話にほほえましくなった、と同時にその先輩とやらに殺意がわいてきていた。


「私の涼香にそんなことするなんて・・・フフフ」

「落ち着くのだよ、赤司」


マジ天使っと、悶えたり、殺意を露にしたり、大変だ。


しかし、この日に限らずキセキの面々が黄瀬に会える日は、どんどんと減っていった。


・・・そうな。


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