朝は戦争


うちの家は、母中心で世界が回っている。


【笠黄未来編】朝は戦争〜笠松家、長男視点〜【女体化】


母は、全世界共通で可愛いと思う。30代後半だけれど、言われなきゃ気がつかないくらい、若い。

それは父にも言えることで、童顔とはよく言ったものだ。学生の頃の写真を見せてもらったけど、その頃よりは少しふけたぐらいで、まだ20代と偽っても通じるぐらい。

父は男前で、良く手も足も飛んで来るけど、理不尽なことはそんなに無い。

まぁ、母は別だ。母は、何故か余計なことを言っては父に蹴られてる。

まぁ、それも二人の愛情表現だ何だっていわれたら仕方が無いのかもしれないけど。

それは、置いておくとして。

朝、起きるとテーブルの上にはラップのかかった料理が人数分、いや母の分を抜かした4人分が置いてあった。

そっと、隅に置いてあった手紙を見ると、『今日はモデルのお仕事頼まれちゃったから行って来ます☆りょーかより』と書かれていた。それを見て、幸太はマジか、と頭を抱えた。

しかも、父の分まで用意しておいてあるって事はまた父を起こさずに母は出かけたということだ。

また、と言うことは前にもあった、と言うことだ。

普段、母はデザイナーの仕事をしており、別段、この時間にいなくなることは無い。が、モデルを止めたとはいえ、完全ではなく、年に数回、まぁ、1回2回有るか無いか位なんだが、断りきれなくてこういった仕事が入る。


「おはよう、幸太」


後ろから、父の声が聞こえてドキッとして振り返る。


「お、おはよ、父さん」


やっベー、この後どうしよう?面倒なことになった、と引きつり笑顔のまま幸太は父を迎えた。

父は、そのままリビング、そしてキッチンに寝ぼけたまま目を向けて首を傾げた。


「・・・涼香は?」


来た!!


と、幸太は顔に青筋を作った。

答えないわけにも行かないから、机の上に置いてあった手紙を父に渡す。

すると、父の時間がピシっ!!と止まったのが解かる。

まるで雷にでも打たれたような感じだ。

数分かかって、ようやく我に返った父は、リビングの椅子に腰を下ろすと、手を組んでそこに顎を乗せて先ほどの手紙を見つめていた。


「幸太」

「ダメ!」


まだ何も言ってない、と言う父の視線だけが幸太に突き刺さるが、それは無言の圧力であるが、屈しるものか、と奮闘する幸太。


「学校行って、ちゃんと教鞭とってきてよ?母さん、帰ってきたらいるから頑張って!ほら、ご飯盛るから早く支度して顔洗ってきて!」


ちゃっちゃか、と椅子から立たせると洗面台の方へ父を追いやる。

ちなみに、まだ弟と妹は起きる時間ではない。

幸太は、バスケ部の朝練があるためにこの時間に起きてる。

しかし、今日は朝練に行けなさそうだ、とため息を吐くと、部長にメールをした。

そのまま、ぼんやりとしたままの父を追いたてようやくご飯を食べ始めたところを見届け、弟を起こしにかかる。


「涼夜!!ほら、起きて!起きないと遅刻するよ!」


布団を剥いでそのまま、ゆっさゆっさと揺り起こす。

耳元で、再び涼夜!!と叫べば、涼夜は寝ぼけた感じで起き上がった。


「おは、よ。こーに、い?」


朝、起こしに来たのが幸太であったことで、涼夜は首を傾げた。


「こうにぃ、母さんは?」


その質問に端的に、仕事、と答えると、ほら起きろ!と布団から追い出した。

うぅ、とまだ眠そうな涼夜を着替えさせ、引きずって一階に下りる。

父と同じようにぼんやりしたままの涼夜の背を、顔洗って来い、と押した。

その間に朝食の準備をしてやる。

まぁ、母がおかずだけ作っていったから盛り付けだけだが。


「父さん、ほら食べ終わったなら歯磨きして早く出ないと遅刻するよ!」


母がいる時はテキパキと動く父が、いない時にはこうも気が抜けてしまう。

幸太は、父をリビングから追い出すように幸太のいる洗面所に追いやる。

そうして、時計を見て、やっべ、と急いで2階の妹の部屋へと向かった。

一応ノックしてから、入るぞ、と入った部屋。そのまま、幸香の寝ているベッドへ近づく。


「幸、起きてるなら早く支度して」

「・・・何だ、またバレタか」


と、言った幸香は、布団を剥ぐ。

その姿に、再び幸太の顔に青筋がかかる。


「いつも言ってるだろ!!皺になるから、制服でベッドの中に入るなって!」

「朝から叫ばないでよ、こーちゃん。あっ、おはよう」


あー、もう、と頭を抱えた幸太は、まぁいいや、と幸香を連れて二階から降りる。

リビングでは、涼夜がもさもさとご飯を食べているところだった。

そして、その足元に黒いカバン・・・。カバン?


「涼、父さんは!?」

「玄関」


簡潔な答えに、そのカバンを持って玄関へ向かえば、行って来ます、と出て行く父の姿。


「待った、父さん!!!」


叫んだ声に、父は振り返ると、幸太の持っていたカバンに、あっ、と声を上げた。


「悪いな、幸太。忘れてた」

「しっかりしてくれ!いってらっしゃい!!」


今度こそ、行って来ます、と笑って父は出て行った。

しかし、まだ朝は終わっちゃいない。


END??


黄瀬がいないとここまで崩壊する笠松家。朝の出来事。



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