どうしても欲しかった
「なぁ、黄瀬。そんなに、俺の子供がほしかったか?」
「・・・っ!!」
ベッドの上で、黄瀬の体が跳ねる。
「子供が欲しくなるくらい、俺が好きか?」
弱弱しく震える黄瀬の体。
「好きだからって、何でも許されるとか思ってんじゃねーだろうな?」
涙の膜が、瞳を覆う。
「こんなのはルール違反だろ?」
ぶわり、その防波堤が決壊してぼろぼろとあふれ出す。
「でも、でもオレ・・・おれっ!!」
離れたくない、とモデルにあるまじき顔をさらしながら、必死にすがる黄瀬。
「あーあ、ぐっちゃぐちゃだな、お前」
どこぞのモデル様のする顔じゃねーぞ、と笑う。
「そんなに、オレのことが好きか?」
びくっ、と再び黄瀬の体が震えた。でも、小さくこくり、と頷いた。
「だったら、なってやるよ。その子の父親に」
「えっ?」
「俺だってお前が好きだっつーの」
「それは・・・」
どういう意味で?そう、疑問に思った言葉は出てこなかった。
「関係はどうであれ、お前のことがこの世界で今は一番好きだ」
再び、大量の涙がを伝った。
絶対に、手に入ることは無い、そう思っていた人が自分を求めてくれていたんだから。
・・・・・・―――――
その頃、少し病室から離れた場所に四人はいた。
「笠松さんってホント、犬ッスか?」
「あれ?高尾くんは知らなかったっけ?笠松は半分、蛇だよ」
「蛇!?」
黄瀬が使ったという、新商品の懐虫つきコンドーム。しかし、そんな物で子供ができる確立は半重種である笠松と重種である黄瀬の間には0.1%にも満たない。
しかし、黄瀬の体には懐虫が使われた形跡が2つあったと医師は言った。
一つは、黄瀬の使った懐虫の卵つきコンドーム。これは着床していなかった。
もう一つは、着床率の高い生の懐虫。念入りに誰かが意図的に仕込んだとしか思えない代物。きっと、黄瀬は生の懐虫など使用してない。コンドームを使ったのだって、その時限りのはずだ。
だとしたら、誰が?
そんな事は直ぐに解かる。笠松しかいない。笠松しかありえないのだ。
時折、ともに帰り、黄瀬の部屋に泊まる笠松。時折、その体に黄瀬の匂いをかすかに漂わせる。黄瀬の体からも、笠松の匂いがする時がある。それ以前に、黄瀬が海常に来てから、笠松以外の匂いをさせたことが無いのも、決定的な証拠だろう。
それに、笠松の家は犬神人の歴史ある家。いくら笠松が、蛇の目と犬神人のキメラで疎まれていたとしても、生の懐虫を手に入れることぐらい造作も無いことだ。
「あーあ、でも黄瀬君いいなぁ。俺も笠松さんの子供一人ぐらいほしー」
「止めとくのだよ。あの人に捕まると厄介だ」
「わりぃ、ダチだけど否定できねぇーわ」
だってほら、狙われた黄瀬は、もう既に彼の腹の中。
END
はい、という訳で“大将×シマ”の笠黄パロディでした。ありがとうございました!!
↓以下簡易設定
黄瀬 涼太
→犬神人の重種(ニホンオオカミ)。犬神人、最後の日本古来の重種。そのため、子供を残すために、結構ブリーリングとかしまくってたけど、初恋はまだだった。そんで、海常に来たら、笠松さんに一目惚れしたけど、笠松の周りには笠松狙い(笠松さん女の子苦手だから、男ばっかりだったけど)がたくさんいて、自分はカッコいい系だったら誰にも負けないけど、可愛い系も綺麗系もいっぱいいて、望みなし、とか諦めてた。けど、笠松さんにバスケを通じて近づけて、仲良くなれて、もっともっとって欲が出て、最終的に頂かれてしまった。が、その後も不安で不安で仕方が無くて、笠松が卒業したら、自分たちの縁も切れてしまうんじゃないかって今回の事件につながる。
笠松 幸男
→日本の犬神人の古いお家に生まれたキメラ。母親が蛇の目の重種。父親が犬神人の中間種。その二人のキメラ。重種に能力も近いが、父親の中間種な部分もあるため、完全な重種ではなく、半重種。考え方は蛇の目寄り。他に兄弟が何人かいるが、中途半端なキメラと笠松は疎まれていた。が、実際回りはどうでもよく、自分の好き勝手できるから、あまり干渉してこないのも返って都合がよかった。卒業したら家を出るつもりでいる。が、黄瀬と付き合ってることがバレれば煩いのが解かってるから、出て行って完全に独立するまでは内緒にしておくつもり。今でも、それなりの貯蓄はあるため、黄瀬と子供くらいなら養えるかなって、いろいろ計算してる。
森山(犬神人/中間種/ラブラドールレトリーバー)
小堀(犬神人/半重種/オールドイングリッシュシープドッグ)
高尾(天狗/重種/大鷹(奇形あり))
緑間(蛟/重種/イリエワニ)
なんてね。
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