血の匂いの主様
何番煎じかって言う十二国記パロ。笠黄で、黄瀬が笠松に冷たい(ツンツンツンヤン?デレみたいな)感じの話が書きたいなって思って書いてたんだけど、これじゃあ黄笠路線まっしぐらですね!!
どうしよう?どうしようもないww
前王は都合上、ゲンゲンかなぁ・・・と。でも、ゲンゲン出したいから、前の王は前の王、ゲンゲンはゲンゲン。別物として考えてください。
誤字脱字は、こぉっそり教えてくださるとありがたいです。すみません。
戒麒に笠松と言う名をくれた初老の前王は、300年を超えた辺りから、自らの狂いを感じ、笑って、笠松を残し、退位した。
『お前は300年、俺を持たせた麒麟だ笠松。次も頼む』
その言葉に答えるために、王の喪失と言う涙も乾ききる前に王を探し始めた。
そうして半年後、笠松は少しばかり西にある模州で、麒麟と見間違うばかりの黄色の髪を持った青年に、出会った。
「……アンタ、危ないッスよ?」
笠松の前でコチョウの首を切り落とした青年はにこり、と綺麗すぎるくらいキレイに笑った。
それが笠松と青年との初めての出会いで、笠松が血の汚れに気絶する数秒前の最後の記憶だった。
「ぅぅ……」
「あ?目が覚めッスか?」
少し血の臭いがする程度の部屋で笠松は目が覚めた。
声のする方へ視線を滑らせ、目を見開く。近くでお茶をすすりながら、こちらを見ていたのは、気絶する前に見た青年だったから。
「あぁ、まだ起きない方が良いッスわ。血の臭い、酷いだろうし」
「あぁ……、って、なん、で?」
「見れば解るっしょ?戒台輔」
今は、戒麒ッスか?と笑う彼に釘付けになる。
何故、自分が戒麒だと青年に解ったのか、それが解らない。
黒麒麟である笠松には、コレと言った特徴はなく、民と同じ格好をしてしまえば、知らぬ者は本当に民か麒麟か判別出来ない。
コチョウの頭を切り落とし、血が飛び散った光景を見て、気を失う人間などザラにいるだろう。しかし、青年は明確に『血の臭い』と言った。この世で、麒麟だけが血臭に酔う。つまりは、初めから、この青年は自分が戒麒だと知っていた事になる。
「じゃ、俺は行くッス。アンタはもう少し休んでからここを離れた方が良いッスよ」
忠告ともとれる発言をして、彼は去っていった。
それから、彼に会ったのは2日後の事だった。
血の汚れに混じり、見えたり消えたりする王気をたどりながら、街角でぶつかった相手、それが彼だった。
「わっ、と、すんませんってあぁ!アンタ、まだこの街に居たんスか?」
「………お前、か。ちょっと来い!」
「えっ?はっ?ちょっ、待って!待てってば!!」
おい!とごちゃごちゃ言っている彼を無視し、偶々見つけた宿屋へ入る。
部屋をとり、半ば無理やり連れ込む。
「何なんスかいったい」
「お前、名前は?」
「は?」
美形は、どんな顔をしていても、美形なんだと今黄瀬の呆けた面を見て笠松は初めて思った。
「だから、名前教えろ。それと、俺の事は笠松って呼べ」
「はいはい、笠松さんね。俺の名前ねぇ?何でそんなの知りたいの?」
「……この間のお礼、まだしてねーだろ?」
「別にそんなのいいっス」
「俺が良くねーの!良いから黙って名前ぐらい教えやがれ!」
ギッとそう言って睨む笠松に、声を立てて彼は笑った。
「ははっ!解った、良いッスよ、教えてあげる。俺は氏を黄瀬、名を涼太。字を麗太って言うんス。ご覧の通りの容姿だから」
それを聞いて、笠松は目を見開いて驚いた。黄瀬と言えば、この模州の豪族の一つだったからだ。
「黄瀬?」
「はいっス」
「お前が?」
「他にもいるけど、俺も、ッスね」
「じゃ、何で…?」
「こんな事してるって?」
その問いに、素直に頷く。
豪族である黄瀬が剛氏や朱氏紛いの事をしている理由が見当たらない。
豪族や大商人何かは、窓に格子を嵌め、丈榛を雇い、家の中で生活しているものだとばかり思っていた。
「特に理由はないッス」
「はぁ?」
「けど、自分に守れるだけの力があるのに、ただ、無惨に妖魔に殺されていく様を見てるだけなんて、俺には出来なかった」
ただ、それだけ。そう笑う黄瀬に、何故だか視線が釘付けになる。
どこか、寂しそうに笑う彼に一体何があったかなんてわからない。けど、そんな顔はして欲しくない、そう、思った。
「……黄瀬、」
「なんスか?」
「お前は、良き王って、何だと思う?」
良き王、前王は良き王であったはずなのに、譲禅を選んで死んでしまった。
では、良き王ではなかったのか?そうではない、そうではないと笠松は信じていた。
良き王を、と皆は言う。けれど、良き王とは一体何か。
良き王でも死んでしまうなら、悪しき王とて同じではないか。
良き王、それは何だ?長きに渡り治世を続ければ、よい王なのか。
民を省みずとも、長き治世を続ければ、良き王なのか。
笠松には、良き王というものがわからなくなっていた。
「唐突ッスねー。ま、次代の王様じゃないって事は確かなんじゃない?」
「なっ、何でだ?」
下唇を無意識にかみ締めていた笠松が、うつむいた顔を上げた。
そんな答えが返ってくるとは思わなかったからだ。
自分は、良き王を探しているというのに、次代の王は良き王ではないという黄瀬の言葉に、耳を疑いたくなった。
「先代が300年もの長寿で国を率いた。けど、麒麟も臣下も残して行った。次代に納まる王ってのは、その麒麟……アンタにも臣下にも先王と比べられるわけだ。嫌がおうにも。そんなん、狂うの速そうだって思わないッスか?」
「そんなの、解らないだろ!」
ダンッ、と机に拳をぶつけて笠松は立ち上がって黄瀬をにらむ。
「解りきったようなもんッスわ」
「俺も、冢宰も皆、王を支える!」
「無理だね。今の朝は前王に依存しきってる。それは、国の安寧処か国の崩壊へ繋がる」
解らない?と、黄瀬は首を傾げ、冷たく笑う。
その視線に、笠松はぞくり、として泣きたくなった。
「あのね、先代に依存してるってことは、新しい王に馴染むことが出来ない、つまり、新しい風潮を受け入れることが出来ないってこと。そんな面倒な所に、ずっと居座れって言われるッスよ?決して自分を認める訳じゃないのに。そんなの、気が滅入るっしょ」
そう言って、笑う黄瀬に笠松は絶句した。
「……じゃあ、どうすればいい?どうすれば王になってくれる?」
「アンタ、まるで俺が王みたいに話すッスね」
あり得ないだろうけど。そう、苦笑する黄瀬。だが、笠松はパッ、と目の前の霧が晴れたように、思考がクリアになって、ストン、と“黄瀬が王だ”という事が心に落ちてきた。
「どうすればって、知らないッスよ。だいたい、王に選ばれたら断ることなんて出来ないでしょ?」
「じゃあ、お前が王になれば、良き王になるのか?」
「はぁ?何言って・・・」
立ち上がったままの笠松は、机をはさんだ反対側の黄瀬に近づく。
「黄瀬」
「ちょっと、止めてくださいよ、冗談じゃねぇって!」
がたんっ、と椅子を引いた黄瀬。逃がさないように、退路を塞いで膝を折った。
「俺の、王になってくれ」
そう言って逃げそうになる黄瀬の足を掴むと、笠松は叩頭した。
「天命を持って、主上にお迎えする。これより後、御前を離れず、詔命に背かず、忠誠を誓うと誓約する」
「本気かよ・・・」
掴まれた足、そして叩頭した自国の麒麟の姿を見て、黄瀬は目を掌で覆って空を見上げた。
「お願いだ、許す、と言ってくれ」
「アンタも、天帝も馬鹿だ」
何で俺?そう、天に問いかけるも答えなんて返ってくるはずもなく。
ため息が一つ落ちた。
「ねぇ、アンタさ」
「・・・」
「俺は、国を壊すよ。それでもいいの?」
「それでも、今お前しかこの国を救えるものはいない」
だから、と言った笠松に、黄瀬は最後に本当に小さくため息を吐いて、言った。
「許す」
と。
源緑300年1月、上、蓬山に赴き許されて位を退く。上、蓬山にて崩じ、泉陵に葬る。戒王たること、300年。おくりなして源王という。
6月某日、海主戒王涼太立つ。戒王涼太、姓は黄瀬、字は麗太、模州豪族黄瀬家の生まれなり。
翌、7月。蓬山に天勅を承く。神籍に入りて戒王を号す。首都、常永に源王を祭り、六官諸侯を新たに任じて政を正し、元を松黄とあらため、麗王朝を開けり。
END
最後のページのは、原作小説を参考にしてます。いや、ほぼそのまま書き換えたって感じなんです。すみません。
こっから、捏造フィーバーwwそして、ネタバレあり↓(粗方の設定です、すみません)
黄瀬 涼太
戒王。模州の豪族の家に生まれた。容姿から、麗太と字が付いた。豪族だけど、街をかげながら守ってきた。
黄色い髪をしてるため、時々叩頭されることもしばしば。(麒麟に間違われて)
小さいころに、姉を目の前で亡くしている。
笠松 幸男
戒麒。前王が300年続いた賢君。でも、死んでしまった。から、次の王を探してたら黄瀬に会った。
一目じゃわからなかったけど、王だった。何だかんだ言って、黄瀬が大好きになっていく・・・予定。
笠松は前王にもらった字。300年くらいたったら、幸男って字を黄瀬からもらえるよ、きっと!!
- 57 -
[*前] | [次#]
ページ:
戻る
main