空と海と陸に属さない生き物


はい、チューイ。

ガン/ダムの、ウォヴィデンス01だったかな?知ってますか?翼の生えたクジラの化石。宇宙で見つかったって設定でしたね、確か。違ったかな?まぁ、それを思い出して、描いてみました。セクピスパロですよ。詳しくは、ウィキ先生に尋ねてみてください。きっと答えてくれますよ。たぶん。












「黄瀬、どうしたんだ?こんな所に呼び出したりして・・・」

屋上に呼び出された笠松は、黄瀬の姿を見つけると問いかける。黄瀬は、校庭を見つめたまま、笠松を見ない。それが、普段の黄瀬らしくもなくて、笠松は眉間に皺を寄せた。

「黄瀬・・・っ!!?」

再び、黄瀬の名を呼んだ瞬間、ブワリ、と黄瀬から湧き上がる階級フェロモンに、笠松は息の仕方を忘れるかと思った。

「ねぇ、先輩・・・」

笠松が膝をつき、漸く黄瀬のフェロモンが消えたところで、黄瀬が振り向く。
その顔は悲しげに歪んでいて、笠松は息を呑んだ。

「さっき、俺の魂現、解かった?」

黄瀬の魂現は、犬の中間種だったはず。それなのに、同じ犬の、しかも半重種である笠松が膝をつくとなるとそれは、黄瀬が犬の中間種ではないことを意味する。
そして、黄瀬は犬ではない。匂いが、全く違ったのだ。

「・・・人魚、か?」

そう、問えば半分正解、と黄瀬は言う。

「ねぇ、羽の生えたクジラって先輩、見たことあります?」
「羽の生えた、クジラ?」
「そう。何時の時代だったかな?化石が発見されたじゃないですか」

そう言われて、笠松は思い出す。テレビで見た、巨大なクジラの化石に羽があったのを。

「あれ、本当は斑類のキメラの魂現の骨だって言ったら、驚きます?」
「天狗と、人魚のキメラだったって言うのか?あれが?」

そう言うと、黄瀬は笑いながら頷く。

「そうッスよ。どちらにも属さず、どちらにもなれず、空で暮らすことも、海で暮らすことも出来ない出来損ないのミイラとおんなじッス」

そう言った黄瀬は、自嘲気味に笑う。

「まさか・・・」
「そう、俺もその、出来損ないの人魚と天狗のキメラっす」

黄瀬の背中に魂現した、大きな翼が見える。が、その羽毛がある部分は全てうろこになっていて、少し不思議なものを見ている気がした。

「そんな俺が、この国を統べなければいけない、何て・・・どんな冗談だと思うッスか?」
「黄瀬?それは、一体・・・」

統べる?と何を言っているのか、黄瀬は。笠松は黄瀬の言葉に頭を傾げた。

「斑類特有の、ヒエラルキーの頂点に立つ俺はその存在自体で先輩たちただの斑類が産んだ利益を運んでる。そして、正しくこの国の斑類に分配することが、俺の意義・・・なんて、笑えてくると思わないッスか?この俺がッスよ?陸にも空にも海に出さえ居場所のないこの俺が!!この世界を、この国を動かして、支えて、生かすも殺すも俺の采配一つなんて・・・なんで・・・」

泣きそうに歪んだ顔。黄瀬の腕を引っ張り、その顔を隠す。誰にも見られないように。

「何か、あったのか?」
「・・・もうすぐ、世代交代があるッス・・・そこで、俺は斑類の長である赤司家の当主と共に国を治める・・・自由が、もうすぐ無くなるッス・・・」

先輩にも、あえなくなる。そう、呟いた黄瀬は瞳から溢れたもので笠松のシャツをジャケットを濡らして行く。

「そうか・・・」

そう言って、笠松は黄瀬の頭を撫でてやる。黄瀬は、でも、と呟いてそのまま笠松を顔を合わせた。

「何が起こって、先輩に迷惑かけるかもしれない。辛い思いをさせるかも知れない。けど、先輩と一緒にいたい」

黄瀬の告白に笠松も真剣な顔で答える。

「だから、俺の伴侶になってください」

そう、言った黄瀬に笠松は頷いた。

「お前に掛けられる迷惑なんて、今に始まったことじゃないだろ。お前だけに、辛い思いをさせるわけにはいかねーよ」

そう笑って、黄瀬の頭を乱暴に撫でる。
黄瀬の顔は驚きに染まり、そして嬉しそうに破顔した。









「・・・せんぱーい」

甘い誘い声を出して、黄瀬は笠松の寝ているベッドへあがってくる。
笠松は、半分眠気眼で、黄瀬の存在を認識する。

「・・・おまえ、か」

覚醒しきらず、眠ろうとする笠松を黄瀬は引き止める。

「待って!先輩!」
「んだよ?」

睡眠の邪魔をされて、不機嫌そうに笠松は怒る。

「子作り、しましょう?」

黄瀬の、その言葉を聞いて理解した瞬間、笠松の意識は覚醒した。

「は・・・は?」
「だから、子作りですってば!」

突然、ナンなんだ、と笠松は額に手を当てた。熱はない。しかし、これは夢でもなさそうだ。

「いきなり、何でそんな思考回路に繋がった?」
「だって・・・ここに越してきて、もう1週間たつのに、先輩と一度もエッチしてない!」
「いや、だからってな・・・」

覚醒したところで、眠さが残る脳内は正常に働いてはくれず、何ていい返せばいいのか、言葉が出てこない。

「準備とか・・・あるだろ?」

そう言った笠松に、黄瀬はそれならしてきたという。その言葉に、完全に笠松は言葉を無くした。そして、驚く。

「おま・・・っ、準備って・・・お前が雌か!?」

思ってもみなかった事態に、笠松は上体を起こす。そして、至近距離で黄瀬と目を見つめ交わす。
そこで、漂っている懐虫をつかった雄の独特な僅かなにおいを感じ取った。

「だって・・・俺の魂現おっきいから、先輩が孕んで・・・壊れたら?もし、命を落としたら?・・・俺、生きていけない」

その点、同じ魂現を俺が孕んでも平気。そう言う黄瀬。てっきり、階級的にも抱かれる、雌にされる側だと思っていた俺が、雄の立場のことに、驚いた。

「あー?と言うことは、だ。俺は、婿養子ってことになってんのか?」
「えっ?あれ?そう言ってませんでしたっけ?」
「聞いてねぇよ。お前、伴侶としか言わなかっただろ」

と、言った笠松に黄瀬はあっ、と思い出したかのように照れた。
そんな黄瀬を見て、今までの葛藤は何だったのかといいたくなった。
が、そんな葛藤もなかったことになってしまえば、自然と肩の力が抜けた。
そうしたら、時間的に眠くなるのが人間の本能と言うものだろう。
笠松は、黄瀬の腕を引っ張るとそのままベッドの中に引きずりこんだ。

「うわっ!」
「あー、もー、準備してあるのは解かったけど・・・明日でも良いだろ・・・懐虫ダメになるわけでも・・・ないし・・・」
「えっ?ちょ、センパイ?せんぱー・・・」

黄瀬の声は、どんどん消えていって、笠松の意識は完全にブラックアウトした。

End

黄瀬が、猫又とか犬神人とかはよく見るけど、人魚って見ないなぁって思って書いてみた。笠松さんを旦那にしたくてしょうがなくてだな。

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