カメラマンとモデルでパロディ1


黄瀬涼華には、写真集のみに専属のカメラマンが居る。



【笠黄】カメラマンとモデルパロディ【女体化】



「こんにちわー!」

そう言って、黄瀬が入っていった小さなスタジオ。
スタスタと歩いていったその先に、カメラを手入れしている青年の姿。

「こんにちはッス、ユキさん」
「おう、来たな」

傍に寄って床に座り込んだ黄瀬の頭をなでると、笠松は立ち上がる。
そのまま、レンズを黄瀬に向けながら話す。

「で?今回はどこ行く?」
「前は沖縄行ったッスよねー・・・間逆の北海道とかはどうッスか?」
「北海道か・・・、まっ、良いんじゃね?」

避暑にもなるし、と頷きながらカシャっ、カシャっ、と撮影していく。夏休みと冬休みを利用して行く写真集のための撮影は、いろんな風景を撮るために、何日も掛けて仕上げる。
しかし、連れて行く撮影スタッフは、少なくて1人、多くても4人だ。全く居なかった事だって在る。それは、笠松の“自然体の黄瀬”をテーマとした写真集のためだ。スタッフが多すぎると、黄瀬がモデルの本気を出して仕事してしまうため、それを笠松が良しとしなかったからだ。

「じゃあ、決まりッスね!今度、旅行雑誌持って来るッスよ」
「おう、頼むわ。あと、行きたいところとか、いつもどーり付けといて」
「はーい」

スマフォで色々検索しながらも、ニコニコしながら笠松に返事をする黄瀬。その姿は、余すところ無く彼の持つフィルムに残されていく。

「今回は、誰と行くッスか?」
「まだ未定だな。とりあえず、早川と中村は別件が入ってるから無しだな」
「じゃあ、森山さんと小堀さんが未定ッスね」

そこで、うーんと黄瀬はスマフォの画面を見ながらうなる。
どうした?とカメラを横にずらし、黄瀬を肉眼で見ると、黄瀬も笠松を見た。

「森山さんと一緒なら、ここ行っときたいッス・・・でも、うー」

来なかった場合を考えているのだろう。そんな姿を見て、笠松は笑ってしまう。

「ははっ、解かった。森山には絶対に予定空けて置くように言って置く」
「本当ッスか!?やった!!ユキさん大好き!」

現金な奴、と笑いながら笠松は再びシャッターを切り始める。

「そう言えば、お前部活はじめたんだって?」
「あっ、そうッス。良く知ってるっすね!マネージャーから聞いたっスか?」

それに笠松は、あぁ、と返すと黄瀬はそのまま浮き浮きと部活の事を話し始める。

「アタシ、バスケ部に入ったっス!」

マネージャーッスけどね、と照れたように笑う黄瀬。
その姿に、へぇ?と笠松は笑った。

「バスケか・・・懐かしいな」
「えっ?ユキさん、バスケ部だったスか?」

期待と、それからちょっとのドキドキを載せて、黄瀬は笠松を見る。
そんな黄瀬をも、笠松はシャッターを切って収めて行く。

「あぁ、海常でバスケやってた」
「ポジションは!?」

キラキラした目に、思わず笑ってしまう。が、その顔は、カメラに隠れていて黄瀬には見えない。
PGだった、と答えれば、マジっすか!?と詰め寄られる。そんなドアップ撮っても・・・、とカメラをずらし、黄瀬をようやく椅子に座らせる。そして、その対に腰を掛けると、テーブルにカメラを置いて、漸く笠松も息を吐いた。

「アタシ、オールラウンダー?って奴でどのポジションでも、コピーしちゃえば出来るッス!でも、PGは苦手で・・・」

そう、はにかむ黄瀬の表情を、無意識の内に手に取っていたカメラに収める。
それを見て、黄瀬はもう!ちゃんと聞いてください!とプンスコ怒る。
悪かったという笠松は、顔には出さないが黄瀬のそんな表情さえ好きだった。

「だろうな、向いてない」

きっぱり言い捨てれば、やっぱり、と黄瀬は笑う。

「お前は、SFとか向いてるんじゃないか?PFとか」

そう言えば、えへへっ、と笑う黄瀬。まぁ、マネージャーだからポジション関係ないッスけどね。そう、寂しそうに笑った黄瀬の頭を笠松は何も言わずになでる。ぐしゃぐしゃにされた頭を、黄瀬はもう!と怒るが、笠松はどこ吹く風だ。

「あのな、黄瀬」
「何すか?」
「お前は、確かに女で、同じ部活の奴らとは一緒に試合に出れないかもしれない。けど、お前らマネージャーが居てくれるから、選手は安心してプレイ出来るんだ」

だから、そんな顔すんな、と、それを言われた黄瀬は、目を見開いて、それから泣きそうな顔をして笑った。

「おっ、黄瀬。来てたのか」

よっと、入ってきた森山とその後ろに続いて小堀が入ってきた。

「よう、帰って来たならお茶入れてくれ」
「笠松、頼むからそこの給湯室の使い方ぐらい覚えてよ」

気が向いたらな、と返す笠松に小堀は仕方ない、と給湯室に入っていく。

「んで?黄瀬がこっちに来てるって事は、夏休みの撮影か?」
「そうだ。黄瀬の希望で、お前は絶対参加だから予定空けておけよ」

ん!?と、森山は素早く黄瀬に顔を向けると、黄瀬は待ってました!といわんばかりに、これッス!!と、スマフォを森山の目の前に突き出す。

「ここのパフェ!!あと、それからこっちのスープカレーのお店もおいしそうッス!」

実は、このスタッフの中で一番車の運転が上手いのは、意外や意外、森山なのだ。
笠松も上手いが、滅多な事では運転しない。特に、黄瀬以外の人間を乗せて出歩こうとは絶対にしない。
小堀と中村、早川は免許を持っていない。
森山の運転がスムーズなのは、きっと女の子にモテルためだろうと思うけど。

「まぁ、仕方が無いか・・・北海道で、俺の運命の女の子を見つけてやる!」
「仕事しに行くんだぞ」
「まあまあ、殆ど身内の旅行みたいなものなんだから」

キラキラしだした森山に、笠松がイラッとして突込みを入れるが、小堀になだめられる。
それが、なんだかおかしくて黄瀬が笑う。
それを、すかさず笠松が手にしたカメラで撮る。

「やっぱり、お前は笑ってる顔が一番良いな」

そう、呟いた笠松に、小堀も森山も頷いた。
黄瀬は、その意味を捉えたとたん、ボフッと音がなるくらい顔を真っ赤にさせていた。









今日は、迎えに来る約束をしていたため、携帯に何度か連絡を入れてみるが、黄瀬が気がついた様子は無く、仕方無しに許可を貰ってバスケ部の体育館へ歩く。

「黄瀬」

体育館の扉を開けて、黄瀬を見つけるとそれほど大きくない声で黄瀬を呼ぶ。
が、黄瀬は騒音の中でも笠松の声が届いていたようで、大きく目を見開いたと思ったら、ユキさん!?と叫んで飛びついてきた。その瞬間、練習をしてたはずの体育館の騒音が一瞬で無くなった。

「どうしているッスか?」
「どうしてって、迎えに来るっつったろ?まだかかるのか?」

申し訳なさそうに、もうちょっと、と言う黄瀬に解かった、とその頭をなでて、待っているという笠松。
完全に、周りはのけ者だが、その視線は笠松と黄瀬に集まっていた。
そこへ、空気を切ったような音が通り抜ける。
笠松は、それを見た瞬間、黄瀬を抱きしめて、その正体を掴み取った。

「大ちゃん!!」

笠松によって、受け止められたのは、バスケットボール。
ハッとした桃井が、投げた本人に詰め寄る。

「アンタ、何者だよ?黄瀬の、何?」
「・・・最近のガキは、礼儀ってモノを知らないのか?」

片手で、そのボールを笠松は青峰に投げて返す。
正確に返って来たボールに、青峰はチッと舌打ちをする。

「しかし、大輝が聞いていることは、俺も知りたいですね」

そう言って、赤司が寄ってくると同時にキセキの世代がその後ろに集合していた。

「俺は、赤司征十郎。この、帝光中学バスケットボール部主将です」

あなたは?と、赤司は手を差し出し、笠松に問う。

「・・・はぁ、笠松幸男。黄瀬の専属カメラマンだ」
「兼恋人ッス!!」

それに、笠松の腕の中に居た黄瀬は、口を塞いでいた笠松の腕を外し付け足すように叫んだ。
笠松は余計なことを言うな、と言わんばかりに黄瀬を睨んだが、黄瀬は満足げに微笑むだけだった。
が、笠松はその周りの視線を感じて、面倒なことになったな、と一人ため息を吐いた。

「こい、びと?」
「マジかよ?」

帝光体育館は、その瞬間阿鼻叫喚と化した。

「なあ、黄瀬。そんなおっさんやめて、俺にしとかねぇ?」
「お断りッス!青峰っちはバスケは凄いと思うッスけど、人間性って言うッスかね?ユキさんに適うところなんて一つも無いッスよ?」

その黄瀬の言葉で、青峰は体育館の床に沈んだ。あわてて、桃井が駆け寄るが、ダメージが大きいようだ。
時折、桃井の言葉にもダメージを受けて、お前は俺を慰めたいのか!?貶したいのか!?と言っている声が聞こえる。

「まぁ、ユキさんをおっさんとか言ってる時点でアウトッスけどね」

黄瀬が、にっこり、と笑った。その瞬間、体育館は吹雪が吹き荒れている錯覚を誰もが見た。
その中、笠松だけが、あぁ、面倒なことになったなぁ、とぼんやり考えていた。






何ていうなんちゃってパロディを思いついたんだが。

笠松 幸男
→小さなスタジオのカメラマン。しかし、腕は確か。とある写真家の評価を受けてスランプに陥った。が、とあるコンテストに出展していた作品を黄瀬が見て居た所に出くわし、感想を聞いたら、惚れた。でも、11、2年下の女の子で、まだ小学生だった黄瀬を好きになるのは犯罪だと自分を戒めていたが、ある日、突然黄瀬から告白されて夢かと思った。それ以来、黄瀬以外の人間を撮ってない。風景などは撮ったりもするが、大抵は黄瀬を撮っている。黄瀬の写真集の利益分があるため、別段困ってない。黄瀬以外、どうでもいい。海常のメンバーは、それなりに気に掛けているが、やはり黄瀬が一番大事。
笠松の仕事部屋には、色々な写真が飾られているが、一番目を引くのは特大サイズに現像された黄瀬の笑っている写真である。
森山達いわく、「この黄瀬を超える黄瀬が見れたら、そりゃ奇跡だ」と言わしめるほど。

黄瀬 涼華
→とあるコンテストに出ていた作品を見ていたとき、感想を聞かれて一生懸命素直に答えたら惚れられちゃった。でも、その人に一目ぼれしちゃった子。どうしたら好きになって貰えるかを一生懸命考えて、森山たちにも相談して、漸く告白したら、OK貰えて泣いた。ユキさん大好き!早く大人になって、笠松のお嫁さんになることが夢。スタジオのメンバーは好き。特に、森山とは、残念なイケメンだけど、女子の事に詳しいため、時々女子トークをするほどに仲がいい。
笠松の仕事部屋にある自身の写真のことは知らない。

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