カメラマンとモデルでパロディ2


注意!!
笠松と出会った頃のお話なので、黄瀬の口調に“〜ッス”って言うのがありません。
その他、多々捏造がございます、ご了承ください。









そこは、大学の作品展だった。数ある作品の中で、自分の作品の前に佇む一人の黄色い髪の少女。
じっと、その写真を見上げて動かない少女に興味を持った。

「その写真、気に入ったのか?」

ふと、声を掛けてみると、少女はびっくりしたように笠松を見た。

「えっと・・・」

戸惑う少女に、困ったように笑う笠松。

「他に、凄い作品はいっぱいあるだろ?何で、この写真の前に居たんだ?」

極力少女をおびえさせないように、同じ目線にしゃがみ、努めて優しい声で話しかける。

「・・・・・から」
「悪い、聞こえなかった。もう一回、言ってくれないか?」

意を決したように俯いた少女は、そのままボソボソと話す。が、それは、笠松に届かない。

「あったかかったから」

少し、顔を赤くした少女は、今度はまっすぐに笠松を見て答える。

「あの、他の写真もいっぱい見たけど、冷たかったり、あったかかったり、いっぱいあったけど、この写真が一番」

あったかい、そう言った少女に、笠松は目を見開いた。以前、笠松が出展した写真展で、とある評論家から“味気が無い”“個性が薄い”“全くダメだ”などと、酷評を受けた事があり、写真を撮っていても、何を撮りたいのか、どう撮りたいのか、今までどう撮ってきたのか、全くわからなくなってしまっていた。
けれど、少女の言葉で目が覚めたような気がした。

「アタシ、この写真撮った人は、優しい人だと思う。えっと、でも、ちょっと、寂しそうで。えっと、えっと・・・」
「・・・そっか。解かった、ありがとう」

そう言って、少女の頭をなでると、少女は照れたように笑った。その顔をポケットに入れていたデジカメで撮る。

「あー!」
「お前、笑ってる顔が一番可愛いよ」

と、立ち上がった笠松はニッと笑う。その顔に、黄瀬はプンスコと怒り出す。その顔は、今と全く変わらない。

「おーい、笠松ー?」

人ごみの向こうから、笠松を呼ぶ声がして笠松は手を上げてここだ、と答える。

「あぁ、ここにいたのか。教授が呼んでたぞ・・・。それで、そのかわいらしいお嬢さんは?」
「ここで、この写真見てたから声掛けただけだ」

ふーん?と森山は言うと、先ほどの笠松のようにしゃがみこんで、黄瀬と目線を合わせる。

「お嬢さん、お名前は?」
「知らない人に名前教えちゃダメだって、ママ言ってた」
「あー、お兄さんはここの学生で、森山由孝って言うんだ」

そう言うと、森山に少女はにっこり笑って答える。

「アタシは、黄瀬涼華って言うの」
「そっか、黄瀬ちゃんね。黄瀬ちゃんは、この写真撮った人に会ってみたくない?」

えっ!?と黄瀬は驚いて目を見開く。けれども、会って見たい!と、答えは即答していて、なんだか可笑しく思えた。

「じゃあ、この漢字読める?」
「おい、森山!」

笠松が声を上げるも、森山は無視して写真の下にある作品の名前と、出品者の名前の張ってあるところを指す。
が、黄瀬は首を横に振る。そう、この当時、今でも森山並みに残念な黄瀬の頭脳は、もっと残念だったのだ。

「そっか、じゃあお兄さんが特別に読んであげよう」

“笠松幸男って読むんだよ”そうして、紡がれた笠松の名前。知れてしまった名前に、いたたまれなくなってくる。

「かさまつ?」
「そ。そして、このお兄さんにお名前聞いてないだろ?聞いてみ?」

そう、森山に言われた黄瀬は迷うことなく、笠松の傍に来て笠松の服の裾をそっと掴んだ。

「あの・・・」
「・・・なんだ?」

森山によって、急降下しつつあった機嫌もあって間もない黄瀬にぶつける訳にも行かず、笠松は少し引きつりながらも何とか、優しい声音を出せるように努力した。本当なら、返事したくなかった。

「名前、何ていうの?」
「・・・知らない人に名前教えちゃダメなんだろ?」
「アタシは、黄瀬涼華って言うの。お兄ちゃんは?」
「・・・笠松、幸男」

そう言って、ぷいっとそっぽ向く笠松。ちらっと、黄瀬の様子を伺えば、黄瀬はキラキラした目を笠松に向けていた。

「お兄ちゃんが、この写真撮ったの?」
「そうだよ・・・」

わぁ、と更に喜ぶ黄瀬。その姿を見て、ため息をついた笠松は諦めたように笑った。

「アタシ、お兄ちゃんに写真撮ってもらえるように頑張るね!」
「・・・はぁ?」

突然の黄瀬の言葉に、笠松は訳が解からない、と言うように額に皺を寄せた。

「アタシ、キッズモデルやってるの!だから、お兄ちゃんに撮って貰えるように、もっと頑張るね!」

そう言ってニコニコ笑う黄瀬に、笠松は言葉をなくした。まだ、学生である自分の何処がそんなに気に入ったというのだこの少女は・・・、と。

「そっか・・・、じゃあ、俺も黄瀬をもっと可愛く撮れる様に頑張るよ」
「じゃあ、約束!」

小指を立てて出す黄瀬に、笠松はあぁ、約束だ、と迷わず自分の小指を絡めた。









あの日以来、黄瀬は何度かこの大学に足を運ぶようになっていた。学食は、開放されているので一般人でも入ることは出来る。
はじめ、黄瀬はその容姿を自覚しているのかしていないのか、大学の門の所でランドセルをしょったまま待っており、見かけた笠松が声を掛けるまで、何度か声を掛けられたらしい。
それからは、連絡先を交換して、学食の中で待っていてもらうようにした。その方が、万一のときにも人目があるし、安全だと思ったからだ。
それ以来、笠松と黄瀬が会い、そして笠松の友達とも仲良くなっていった黄瀬。そして、黄瀬の頭脳の残念さを知るや否や、笠松は凄い形相で、勉強しろ!と黄瀬をしかりつけた。聞けば、幼い頃からキッズモデルとして働いてきた黄瀬は、学校を休む機会が多かったらしい。それで一人、付いていけずに取り残されたと。それを聞いた笠松たちは、黄瀬に得意分野をそれぞれ教えあった。その頃から、言葉使いも直されたが。変な“〜ッス”と言うのは残ってしまった・・・。まぁ、個性があって良いじゃないか、と小堀は言ったが、教育した側として頭が痛かったのは事実。
今では、ちょっと残念と言うだけで、成績はまあまあだ。学校では、突然成績の上がった黄瀬に、驚いた先生もいたそうだ。
素直に、知り合いのお兄さんに教えて貰ってるっす、と答えたらしいが。

「悪い、遅くなったな」

この日も、待ち合わせしていた場所に行けば、教科書を開いて勉強している黄瀬と、卒論の最終調整を行っている森山と小堀の姿が。

「おっせーよ、またあの教授か?」
「あぁ・・・、疲れた・・・」

座った途端、机に沈む笠松。それを心配した黄瀬は、大丈夫ッスか?と、自分の目の前にある笠松の頭をなでた。

「あぁ・・・、大丈夫だ・・・」

癒される。ひそかに思いつつも、黄瀬の触れてくる感覚におぼれる。

「笠松、お前いい加減に・・・」
「黄瀬の前でその話すんな」

うつぶせたまま、隣に座る森山をキッと睨みつける。
仕方ない、と森山はため息を吐いた。だが、黄瀬に聞かれたくない話しなのは森山も一緒だったので口をつぐむ。
それより、と話をそらす。

「黄瀬、笠松が来たら聞きたいこと有ったんじゃないのか?」
「あっ、そうだったッス!ユキさん、ここ解かんないッス〜」

さっきまで、不安そうだった顔の黄瀬は一転、泣きそうな顔をして笠松にすがってくる。
その姿は、年相応で可愛い。そんな姿に、思わず先ほどまでの鬱憤が吹っ飛び、笑顔がこぼれる。
笠松と黄瀬は、大学以外でも会って出かけたりすることがあって、その時の黄瀬をあまり笠松は好きではなかった。
警戒して、笑顔を絶やさず、それで居て、入ってくるなと牙を向いている様な、獣。それを想像させた。
キッズモデルとして働いてきた傍ら、そうした警戒心が出来上がってしまったのだろう。それは、モデルとしてならば当然のことなのかもしれないが、笠松には悲しく思えた。

「ちょっと!!」

そう、大きな声を出して入ってきた女性。笠松たちは、顔をしかめた。
が、遠くに居たことで、それをなるべく視界に入れないようにすることは出来た。が、

「どういうこと!?そんな子供のために、私の話を切ったって言うの!?」

バンッ、と使っていたテーブルに手をつけ、叩かれてしまえば、無関係の振りも出来なくなる。
はぁ、と誰とも知れずため息が漏れた。

「ちょっと、聞いてるの!?」

何も言わない、静まり返った学食内で、彼女の声だけが響く。それにあわせて、笠松はもちろん、森山も、そして滅多に怒りはしない小堀でさえも、その眉間に皺を作っていた。
しかし、その中で黄瀬だけはニコニコと、寒いくらい笑顔だった。それを見た途端、3人はヒクヒクと口角を引きつらせた。一度、前は森山の件だったが、そうなった黄瀬を見ている分、あーあ、と思っているのが大半だが。

「アンタ、誰?」
「何よ!?ガキは黙ってなさい!!」

これは大人の問題よ!と言う女性の返答に、黄瀬の周りの温度はまた一度下がった気がした。

「へぇ?大人ッスか・・・アンタが?」
「なっ!!」
「ここ、コーキョーの場所ッスよ?そこで、大声出して怒鳴りつけるのが大人ッスか、へぇ?」

ニコニコとした顔でそう、詰め寄られて、羞恥と怒りで真っ赤になる女性を前に、黄瀬はうろたえた様子は無い。

「あ、アタシは大事な用事をアンタに邪魔されたから・・・」
「だからって、今、ここで、怒鳴り込んできて、学生の休息を取り上げてるのは、スジチガイって奴なんじゃないッスか?」

学食、と名づけられてはいるが、そこは学生のコミュニケーションスペースとしても広く使われている場所だ。

「アンタが本当に大人なら、本当に大事な用があるなら、ここからアタシ達を連れ出す手段を考えるべきでは無かったんじゃないの?違うッスか?」

その黄瀬の言葉に、何も言わないでカツカツと顔を真っ赤にして去っていく女性。
まだ、小さい黄瀬だが、その思考は笠松たちと居て育ったものだった。
そこで、ハッとした黄瀬は、しょぼん、とうなだれる。

「ごめんなさい、アタシまた・・・」
「いや、いい、大丈夫だ」

笠松は、黄瀬に笑いかけると、隣の俯いて肩を震わせている森山をどついた。

「笑うなら、笑いなよ・・・ブッ」

そう、小堀が言った途端、森山は、あーはははあははははっ、と大きな声で笑い出した。森山に言っている途中に小堀も噴出して笑っていた。黄瀬は、何故笑われているのかわかってないようで、その頭の上に大きなはてなマークが見えるようだ。
たっく、と当事者であった笠松は言うが、その顔は穏やかなものだ。

「アタシ、何かしたッスかね?」
「いや、お前じゃないから笑われてるの」

そうなの?と、見上げてきた黄瀬に、笠松はそうだ、と頷いた。
なら、いいか。と黄瀬は笠松に、先ほどの続きをねだる。
森山と小堀の笑いは暫く収まらず、何時まで笑ってんだよ!?と、シバかれるまで続いた。










数ヵ月後、黄瀬は中学生になり、笠松たちは同じスタジオ事務所の職員となっていた。

「ねー、森山さーん」

今、この場には黄瀬と森山しか居ない。

「何だ?」
「どうしたら、告白って出来るッスかね」

黄瀬のその台詞に、森山は持っていた資料をバサバサと床に散らばせた。

「ご、ごめん、黄瀬。もう一回言ってくれるか?良く聞こえなかった」

黄瀬と初めて出会った後、一度三人で飲み会をした事がある。その時、笠松の気持ちを告げられていた森山は、黄瀬の言葉に動揺してしまった。今、一番の若手である笠松が、事と次第によっては廃人となってしまうと、危惧していた。
床に散らばる資料をかき集めながら、黄瀬のほうを向いて、何とか笑う。が、それは聞き間違いではなかったことに固まりそうになる。

「告白ってどうしたら出来るかって聞いたッスよ」
「ちなみに、誰が?」

背中に滝のような汗を流しながら、森山は友達であってくれと願った。

「アタシがッス」

が、その願いは脆く崩れ去った。

「ち、ちなみに相手は?」
「うー・・・、隠しても、告白したらバレルから教えてあげるッス!」

顔を真っ赤にさせながら、黄瀬が近づいてきて、森山の傍で小さく告げる。

「ユキさんッス」

えへへ、と笑う黄瀬の姿に、森山は救われた!!と心で鼓舞した。
が、タイミング悪く笠松たちが帰ってくる。
そして、今の状況である。黄瀬の顔は真っ赤。誤解を招く要素は多すぎる。

「「森山?ちょっと、こっち来いよ(おいでよ)?」」
「いや、笠松も小堀も待て、誤解だぁあああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

「「問答無用(だ)!!」

森山の叫び声が、小さなスタジオに響いた。何をされたかは、まぁ、ご想像にお任せしよう。
数分後、ボロッとした森山が黄瀬の前に再び現れ、一仕事終えた感が満載な二人が後から出てくる。

「もっ、森山さん!?」

大丈夫ッスか!?と心配する黄瀬に、大丈夫大丈夫、と苦笑いする森山。
内心、何で俺がこんな目に!?と思っていても黄瀬にぶつけることはしない。

「で?何話してたんだよ?」

四人でテーブルを囲み、一息つくために小堀の入れたお茶をすする。
笠松は、森山をぼこっ・・・・まあ、すっきりしたところで改めて問う。

「ん?黄瀬の好きな奴の話」

にやり、と笑う森山に、その話をされてあわてる黄瀬。

「・・・黄瀬、好きな奴いるの、か?」
「うー、はいッス・・・」

顔を真っ赤にさせ、目を潤ませた黄瀬は、可愛い中にどこか、エロさを感じる。
黄瀬の返答に、笠松の機嫌が急降下していくのがわかる。

「黄瀬の好きになった人って、どんな人なの?」

小堀が尋ねると、黄瀬はもしょもしょと話し出した。

「アタシの世界を変えてくれた人ッス」

それでね、それでね、と話すうちにキラキラしていくもんだから、恋する乙女って怖い。

「優しくて、あったかくて、頭が良くて、でも口はちょっぴり悪いし、いつも眠そうだけど男前で、アタシが世界一カッコいいって思う人ッス!!」

そう言い切った黄瀬。そうか、笠松は黄瀬にそんな風に見えているのか、と森山は一人納得した。

「で、その人に告白するのに、どうしたらいいかって相談されてたわけ」
「こく、はくだ、と?」

すまん、耐えてくれ、と笠松に願う森山。

「どうやって、告白すれば伝わるかって話だったな」

ついでだから、と聞いてしまう。

「笠松、お前ならどう告白されたい?」

笠松、とわざわざ指名し、小堀にアイコンタクトを送る。小堀も、笠松を指名したことで黄瀬の好きな人がわかったのか、小さく頷く。

「はぁ?俺?」
「ユキさん、お願い!」

教えて?とチャンスを無駄にしないためか、黄瀬が動く。出会った当初から、笠松は黄瀬のお願いには弱かった。

「・・・はぁ、俺は、ただ、好きだって伝えられて、両思いだってわかるなら何でも良いな」

チラッと笠松は黄瀬を見てから、俺には関係ない話だろ、とそっぽを向いてしまう。
そこで、小堀と森山が携帯を見て立ち上がる。

「やっべ、ごめん。この話はまた今度!俺、これから用事あるんだった」
「俺も、それ一緒だったんだ。ごめんね、黄瀬」

そう言って、ジャケットを羽織り、慌しくスタジオを出て行く。不自然にならないように。笠松は二人のスケジュールを確認してるわけじゃない。だから、嘘だとバレる心配も無い。
そうして残された二人。沈黙が振り落ちるが、気まずくて黄瀬はおろおろとしてしまう。
そんな黄瀬を見て、笠松はどうにかしたいが、自分の今のテンションじゃ無理だと早々に諦めてしまう。

「すみません、お邪魔します」

と入ってきた若手の女性。黄瀬の顔は警戒に変わる。

「何か?」
「えっと、森山さんに用があったんですけど・・・」
「森山さんならさっき出かけたッスよ?」
「えぇ!?困ったなぁ・・・じゃあ、笠松さん、写真の選定お願いできませんか?」

その台詞に、いや、と答える笠松。前に、女性が苦手だって聞いてたけど本当なんだなぁと、黄瀬は思った。
写真を撮るのは笠松の仕事。それを現像するのは、小堀の仕事。そして、現像した写真の良し悪しを見極めるのは森山の仕事として、役割を分担していた。そのため、彼らは個々に別の仕事に呼ばれることがあるのだ。
そこを何とか!と、頭を下げる女性。一生懸命さをアピールしたいのか、笠松に取り入りたいのか、良くわからなくて、黄瀬はその女性を睨むことしか出来ない。
そんな彼女に、仕方ない、と笠松が立ち上がるそぶりを見せると、女性は顔を輝かせ、笠松に飛びつかんとする勢いで腕を絡めようとしていた。それを見た黄瀬が袖口をぎゅっと掴んだ。

「ダメっ」
「黄瀬?」

小さく、呟かれたその台詞に、笠松は違和感を感じると、黄瀬の傍に寄った。

「悪い、無理だ」

そう、再び告げると、黄瀬の傍から離れようとしなくなった笠松を見て、女性はしげしげと帰っていった。

「黄瀬?」

どうした?と俯いたまま顔を上げない黄瀬を心配する。

「だって・・・」

黄瀬は、想像してしまったのだ。笠松の将来に、隣に自分ではなくほかの誰かが居るところを。そうして、泣きそうになった。
いや、涙はもうこぼれている。

「黄瀬?本当に、どうした?」

その涙を見つけ、おろおろとしだす笠松。

「・・・アタシじゃ、だめッスか?」

漸く顔を上げて笠松を見つめる黄瀬は、涙に濡れていた。

「何を・・・」
「アタシ、アタシは」

笠松幸男さんが好きッス

そう、黄瀬が発した。その言葉に、笠松は耳を疑った。
まだ、年端も行かぬ少女だというのに、10も離れた、黄瀬から見ればおっさんの域だろう自分を、黄瀬は好きだといったのか?と。

「アタシ、ユキさんのためなら、なんでもする、だから」

アタシを好きになって?
そう、すがり付いてきた黄瀬に、固まっていた笠松の思考回路が回復する。
そのまま抱きしめて、涙をぬぐってやる。が、後から後からあふれてきて止まらない涙に、笠松は笑いながらその唇に自らの唇を落とす。

「ふぇっ!?」
「あははっ、間抜けな顔だなぁ」

そう言って、黄瀬の頭を撫でる笠松の顔は優しい。

「ゆ、ゆゆゆ、ユキさん!?」
「おっ、涙止まったか」

と、びっくりして涙の止まった瞳の近くに口付ける。

「お前が、俺の事を好きだ何て思わなかったわ・・・誤算だ、大誤算だははっ」
「でも、お前が俺の事を好きって言ったんだからな。もう、逃がしてやれねぇよ?いいのか?」

今までで一番悪どい笑みを浮かべながら笠松は言う。が、黄瀬はそんな笠松さえもキラキラとした瞳で見つめ返す。

「いいッス。どんなユキさんでも、ユキさんがユキさんなら!」

喜んで笠松に飛びつく黄瀬の、耳元で笠松がささやく。

「好きだ、愛してる」


end

こんな過去があったらおいしいなぁって思います。
もっと、お話を盛り上げられたら良いんですけどね。
アタシの文才なんて、ほら、そこらの屑籠に入ってるティッスと同じようなものですから・・・。

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