カメラマンとモデルでパロディ3
この、大学の全生徒は数千人にも上る。その中で、際立って有名な3人組が居る。
まず、この大学内で彼にナンパされなかった可愛い子はいないって言う、ある意味超有名人なのが、森山って奴。黙ってれば美形なのに、損な性格してると思う。マジで。裏で、森山のことは“残念”で通ってるぐらい、残念な奴だ。
二人目は、小堀。目立たない、一見地味な奴って思いがちだけど、この小堀に助けられた生徒は数知れず。良心の塊なんじゃないかって言われてるぐらい、なんだか優しい。が、小堀は大きい。大学でも、男性の平均身長を超えている彼は、ある意味かなり目立つ。とりあえず、突っ走る森山のストッパー役でもあるな。
で、最後は、笠松って奴。マジ、授業中とかも眠そうな顔して、本当に聞いてるのかコイツって思ったことは数知れない。まぁ、俺の成績に関わってくるわけじゃないけど。でも、成績優秀で何事も卒無くこなしてて、本当にコイツ笠松か?と思ったことも数多くある。笠松は、寡黙で地味に女子に人気が高い。顔立ちは美形って訳でもないが、童顔っぽいけど男前よりだろう。
そんな三人組だぞ?女子が騒がないわけが無いし、何より一部そっち系の男子にも人気があったりする。何で知ってるか?知り合いにそっち系が居るんだ、察しろ。
そんな三人組に、新たに美少女が加わったのは最近のことだ。
「・・・あれ?何で小学生がうちの学食に居るわけ?」
「あぁ、お前学食来るの久しぶりだっけ?」
まぁ、見てろ?って言いつつ食券を買って出来上がるのを待つ。
その間に、少女は学食のおばさんと言葉を二、三個と交わすと、いつもの4人がけの指定席へと座る。
この時間になると、わざわざその席を開けようと、この学食を使っている誰もが、暗黙の了解としている。
その席に座り、少女はランドセルから教科書といくつかのプリント、ノートを取り出してそのプリントとにらめっこしている。
「あれ?黄瀬、早いね」
暫くして、一人目。小堀がやってくる。黄瀬の隣の窓側の席に腰を下ろすと、黄瀬の頭を撫でてから、いくつかのプリントを出す。
「小堀さん!こんちわッス!」
「はい、こんにちは。今日は俺が一番みたいだね」
うん、と頷く少女に、小堀はにっこり微笑む。癒しだ・・・、と学食にいた誰もが思った。目の前に居る友人は、何あれ何あれ!?と興奮気味に、目をカッ開いて食い入るように見てる。そして、興奮冷めないうちに俺の事を揺さぶるもんだから、俺の胃の中シャッフル状態で気持ちが悪いぜ・・・。
その内にも、小堀に黄瀬はココが解からない、などと教えを乞うている。
その間に、キャーッと小さな黄色い悲鳴が上がる。
「おっ、小堀。今日は早いな。俺は二番目か」
よっ、と手を上げて居る森山。いっくら性格が残念でも、顔は美形。腐っても美形なので、廊下を歩いていたりすると、黄色い悲鳴が小さいながらもあがる。チクショウ、美形滅びろ。と思わなくも無い。
「森山さん、こんちわっす!」
「おう、勉強頑張ってるか?」
そう、言って森山も黄瀬の頭を撫でると、小堀の前に座る。黄瀬の目の前の席は、いつも開けられているから。
森山も、椅子に腰を掛けるとカバンから資料らしきプリントを取り出してにらめっこしだした。
彼らがやっているのは、きっと卒論だろう。もう、最終学年で就職先も決まっているらしいから。
「森山さん、ココって何でこうなるッスか?」
「あー、それは・・・なるからなるっつっても、わかんねーよなぁ・・・。笠松の方が詳しく説明できるだろ、待っとけ」
黄瀬に聞かれた森山は、答えはわかるがどうしてとなると言葉に詰まったようで、笠松に丸投げする。実際、説明だけなら笠松の方が上手くできる。そう言う場面を俺は良く見てきた。森山や小堀が説明しても首を捻る少女に一発で首を立てに振らせた笠松は凄いってあの時は感じた。普段、死んだ魚のように滞留してる笠松の雰囲気が少女が居れば、輝き、動き出すものだから面白い。
笠松が来る間に少しでも進めようとしているのか、再び少女はプリントとにらめっこを始める。
時折、少女が解からないところを尋ね、それに二人が答える以外はシンッと静かなものだ。がやがやしているはずの学食内で、本のページを捲る音すら大きく聞こえてくるほどに。
「悪い、遅くなった」
そう言って、いつもより大分遅い時間に笠松が慌てたように現れた。心なしか、疲れている感じがにじみ出ている。
少女は、じっと笠松を見ている。森山が、またあの教授か?と聞いている辺り、最近赴任してきた女性教授の事を言っているのだろう。笠松みたいなのがタイプらしくて、よく笠松は声を掛けられているという。その度に、上手くかわしていたが、今日は運悪くつかまったらしいな。
大丈夫ッスか?と少女は声を掛けながら、笠松の頭を心配そうに撫でている。大丈夫、そう返す笠松の顔は本当に緩んでいて、心底少女に癒されていることが解かる。
が、森山が話を蒸し返そうとすると、笠松の雰囲気は一気に刺々しいものに変わる。よっぽど少女に聞かせたくないのだろう。森山もその辺は同じなのか、
あっさりため息を吐いて先ほどの問題の事を黄瀬に思い出させている。
「ちょ、何あれヤバイ!!なんっ、笠松君笑ってない?超笑顔、貴重すぎて動悸が止まらないんだけど、お前どう責任取るつもりだこら!!」
「いや、知らんし」
正気に返って来た友人が、再び俺の体を揺さぶる。おいおい、そんなことしたら、さっき飲んだコーヒーがな、ちゃぷちゃぷお腹の中でな、撹拌されてるんだぞ。うえっぷ。
そんな、眼福な時間は学食も混雑するわけで、まぁ、大抵知っている奴は癒しを求めに来ているだけだが。
幸せな時間も、今日は嵐がやってきて大変なことになることを、俺はまだ知らない。知りたくも無かったよ!!
この後からは撮影旅行でキセキに会っちゃった。って感じですかね。
笠松腹黒正義!!
↓御話
「あれ?何で皆、ここにいるッスか?」
予定通りに夏休み、北海道に来ていた黄瀬と笠松たちは、街中でありえない集団に遭遇する。
手に、アイスを持ちながら驚いた黄瀬。笠松は、うわぁ、と露骨に嫌な顔をして、森山と小堀はどうした?と首を傾げていた。
「やぁ、涼華。君こそ、何で北海道に?撮影なんじゃなかったのかい?」
そう言った赤司の目はカッと見開いていて若干怖い。いや、怖すぎる。
「そうだよ、お前俺たちの誘い断るとき、撮影があるっつってただろ?」
青峰も赤司に便乗するようにのっかかって来る。
が、黄瀬は二人の言い分に首を傾げた。
「はい、そうッス。撮影中ッス」
首を傾げたままの黄瀬の言葉に、キセキの面々は、頭の上にハテナマークをたくさん浮かべ首を傾げるしかなかった。
その様子を、森山が激写する。
「ぶっは、何だこいつらおもしれー」
「森山、そんな無粋に・・・失礼だよ」
ごめんね、と突然の撮影の侘びを入れる小堀に、キセキはハッとわれに帰る。
「いえ・・・えっと、あなた方は?」
「あぁ、ごめんね。自己紹介がまだだったね。俺は、小堀。こっちで笑ってるのが森山。俺も森山も、笠松のアシスタントやってる」
君たちは?と小堀がニッコリ問いかけると、キセキはピリピリした空気を霧散させた。そして、小堀の求めに応じ、自己紹介を始めた。赤い髪の赤司、緑の緑間、灰色っつか銀髪の灰崎。俺様ガングロな青峰、もはや巨人としか言えない紫原。ピンクの髪をして、中学生でもナイスバディの桃井。影が薄くて、自己紹介で漸く解かった存在、黒子。
なんとも個性的だろう。
「で?お前らなんで北海道まで来てんの?」
「練習試合の申し込みがありまして」
旅行ついでに一軍で北海道に、と言う黒子にマジでか!と森山は驚く。
が、笠松は既に興味をなくしていて、全く反応を示さない。黄瀬の周りには注意深く気を配っているがそれ以外は全く関係ない、とでも言うように右から左へスルー。
笠松の状態に気がついた森山は、何とか引きつりそうになるのを堪えた。
「ま、それで観光してるなら、しっかり楽しめよ。そろそろ、笠松寝そうだし、俺たちは行くな?」
そう言って、黄瀬に笠松を連れてくるように森山は言い、その場から抜け出そうとする。
が、あの、と言う声にそれは阻まれた。らしくも無く、舌打ちしそうになるが、何とか笑って振り返る。
何?と問えば、黒子が、何を考えてるか全くわからない瞳で見上げてきた。
「せっかくですし、僕たちは明日帰ります。ですから、黄瀬さんを少しの間お借りできませんか?」
「えっとね、黒子君だっけ?俺たち、仕事できてるわけ。そんな勝手出来ないんだよねぇ」
と、切り捨てる。本当を言えば、一日ぐらい平気だが、問題はその後のアフターケアだ。もちろん、笠松と黄瀬の。
二人が思いあってることは見てれば解かるが、何しろ、笠松は独占欲が強い。男だらけの部活にさえだしたくないと思っているほど。まぁ、黄瀬の経験になるなら、と口出しすることはしていない。しかし、今は部活の時間でも日でもない。撮影、つまりは笠松と黄瀬の日だ。それを邪魔される事は、笠松が許さないだろう。だが、
「いいぜ?黄瀬、お前の好きにしろよ」
そう言うもんだから、森山も小堀も、そして黄瀬でさえ驚いた。
「えっ?いや、だって・・・」
そして、オロオロしだすのは黄瀬だった。笠松の瞳を見つめ返したときに、何か感じ取ったのだろう。
その瞳は、心なしか潤んでいるようにも見える。
「ん?どうするんだ、黄瀬?」
再び問われた台詞に、黄瀬は目を見開いて笠松を見つめた。
そして、その瞳から溢れ、零れ落ちる涙。周りが、オロオロしたり殺気を笠松に向ける中、笠松と黄瀬だけはお互いの瞳を見つめあったまま、動かない。
「・・・」
小さく、小さく黄瀬が零した。それは、耳を澄ましていなければ取りこぼしてしまうような声音。
「・・・だ、やだ、やだよぉ」
黄瀬の声がはっきりとしてくると、それに合わせた様に溢れた涙の量も増えた。
「何が?」
「捨てないで、ユキさん・・・やだぁ!」
そう言って、笠松にすがり付く黄瀬。そうか、そう言った笠松の顔は悪どく歪んでいて、見なきゃ良かったと森山も小堀でさえもため息をはいた。
「俺は捨てるなんて一言も言ってないぞ?ただ、どうするんだって、お前に聞いただけだ」
「アタシ、アダジ、ユギざんどいっじょにいるぅっすぅうううう!!」
そう、泣きながら零す黄瀬に、笠松はそうか、と笑う。そして、その涙を拭い去っていく。
「だ、そうだ」
そう、一瞬、笠松の視線はキセキのほうへ向く。警戒心、敵対心をむき出しにしていたキセキの視線を何でもない様に受け流し、告げると、笠松の視線は再び黄瀬へ戻る。
「まぁ、これじゃ撮影も買い物もあったもんじゃねーな・・・、森山」
「はいはい、撮影は中止。ホテルに帰って黄瀬の体調整えるんだろ?」
全く、と手配しだす森山。小堀もそれに付き合う。本当に腹黒いって言うか、なんていうか・・・。と、森山も小堀も内心思いながら。
黄瀬に向けられた笠松の視線は、やわらかい。先ほどとは、大違いだ。そう、黄瀬は感じている。
黄瀬は知らず知らずの内に、危ない橋を渡っているのかもしれない。けれど、その橋の上から降りようとも、ましてや違う橋に移ろうとも思えなかった。ただ、失いたくなかったから・・・。
End
最近、暖かくなってきたからと言って、鼻水は止まらないぜ★
グダグダとまた、どこかで。
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