あの人は、あの人のもの
横澤さんと高野さん、桐嶋さんが仲良くしている姿を見るのが好きだ∀゛
桐嶋さんは、きっと大人の包容力で高野さんの事も受け止めるんだろうなぁって思う。
「横澤…?」
高野さんと不本意ながら、一緒に帰ってると、高野さんが目の前を見て、疑問符を浮かべた。
俺も吊られてそこを見ると、確かに横澤さんがいた。しかも、じゃぷん編集長と共にファンシーな乙女ショップに。超絶、似合わなさすぎる。
高野さんが、その姿を目にとめるや否や、ズカズカと歩き出してしまったため、俺もその後を追い掛ける。
「横澤!」
近くによれば、じゃぷん編集長の姿は消えていた。
「あ?高野…と、小野寺?何してる、こんな所で」
「お前こそ何してる?」
「…丁度良い、これとこれ、どっちが良いと思う?」
横澤さんが高野さんに差し出してきたのは、横澤さんには似合わない、赤白の水玉と、オレンジと白の水玉の二つのしゅしゅ。
「…使うのか?」
暗に、お前が?と言う高野さんの顔が、恐ろしい。
友人だからって横澤さんに、何てことを……!
「プレゼントだよ」
気にした風もなく、淡々と答える横澤さんも怖い…。
「誰に」
「ひよ」
「誰だよ」
フハッ、と笑う高野さん。そんな顔、久しぶりに見た。
「10歳の女の子」
「誤解しても良いか?」
「何に?」
「…俺が振ったからって、ロリコンに走るのは」
「違う。知り合いの娘さんだ」
どんな誤解だ、と横澤さんは眉間のシワを深くした。
「で?エメラルド編集長は、どちらがお好みだ?」
「俺ならこっち。おい、お前は?」
「は?いぇ、俺の意見なんて」
「「良いから言えよ」」
ハッキリしねぇ奴だな、と横澤さんと高野さんの言葉がグサッと突き刺さる。
フォロー何て言葉はない。
「俺は、こっちの方が…」
「ふーん?」
「決まったか、横澤」
「あっ、桐嶋さん」
いつの間にか戻ってきたじゃぷん編集長が、横澤さんの後ろに現れて驚く。
「いや、まだだ」
「両方はいらねぇだろうしなぁ、ひよも」
さらに驚くのは、編集長と横澤さんの距離だ。
横澤さんは普通にしてるけど、明らかに近い!
「こんばんは、桐嶋さん」
「おっ、高野か。こんばんは。あれ、後ろは?」
「あぁ、多分、聞いたことはあると思いますが、新人の」
「小野寺律です、よっ、よろしくお願いします」
「俺は、じゃぷん編集長の桐嶋禅。よろしく」
ニッコリ笑った彼は、大人の余裕って言うのかな?色気?取り合えず、高野さんや横澤さんより、頼れて包容力のありそうな人。
「決めた、赤にするわ。桐嶋さん、買ってくるから待っててくれ」
「あぁ、行ってこい」
俺が挨拶してる間に、横澤さんは決めたみたいで、レジに並んでいる。
「…あの、ひよって子、桐嶋さんの知り合いですか?」
「あれ?横澤、言わなかった?ひよは、俺の子だよ」
えぇえ!?
思いの外、でかい声が出て高野さんにたしなめられる。
けど、この人…所帯臭さが全く無いんですが!
「桐嶋日和、可愛いだろ?」
携帯をポチポチして、俺達に見せてくれたのは、そら太を抱えた女の子の姿。
「えっ、そら太?」
「あぁ、元々は高野の猫だっけか?今は大抵家にいるから、会いたくなったら家来いよ」
自然にポンポンっと高野さんの頭を撫でる桐嶋さん。
桐嶋さんって、スゲー。
「桐嶋さん!!あんた、何やってんだ!」
それを叩き落としたのは、高野さんではなく、横澤さんで…
「「お前が何してんだ、横澤」」
その顔は、少し赤くなって二人を睨んでいた。
「うるさい、帰るぞ。じゃあな、助かった」
「ハハッ、バカだなぁ…じゃ、俺達此方だから。お前ら、地下鉄だろう?気を付けてな」
横澤さんに手を引かれ、笑う桐嶋さんの顔は、慈愛に満ちていて、こっちが赤面するほど。
「お前、桐嶋さん好み?」
「は?」
この人は、何を言い出すのか!
「悪いことは言わない、桐嶋さんは止めとけ」
「はい?」
「桐嶋さんは、ある意味良い性格してるし、今は横澤のだ」
……ハァアアアアアア!?
りっ、リアルサファイア!!!(自らの事を忘れているみたいだ)
「はぁ…だから、お前はいつまで経っても新人なんだよ」
高野さんの言葉に心を抉られながら、手を引かれて家路に着いた。
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