やっぱり貴方が嫌いです


「私、やっぱりお前が嫌いだわ」


高野に振られ、桐嶋に拾われ、色々あったが落ち着いたある日、横澤は唐突に小野寺に告げた。


「!!?」


じゃ、それだけ。と去っていこうとする横澤の腕を引き留める。


「やっ、やっぱりって何ですか!?」

「そのままの意味だよ!」


チッ、と面倒くさそうに舌打ちした横澤は、小野寺の腕を引き剥がす。


「意味解んないです!ちゃんと説明してください!」

「何で私がお前に説明せにゃならんのだ!」


が、今度は腰にまとわり付いてきた小野寺を引き剥がせずにいた。

あっ、腰細い。何て、小野寺が思ったのは余談だ。

見た目から着太りして見える横澤は中身結構スレンダーな体型だったりする。それを見たこと有るのは、高野と桐嶋以外にはいない。

実際、胸は大きいし、腰は細い。が、着太りして見えるせいで、それに気が付かない人が殆どだ。


「嫌です!理由も知らずに嫌われたままなんて!」

「だぁ!もう!理由なら前に話したことあんだろうが!目線が変わっても同じだばか野郎!」


ようやく、小野寺を引き剥がした横澤は肩で息をする。無理やり引き剥がした為に、スーツはヨレヨレだ。

それを見て、チッ、と横澤は舌打ちをしながら、直す。その姿が、どれ程の男性の目を引いたか知れない。


「おー、横澤。眼福だった、ごちそうさま」

「……高野、お前殴るぞ」


後ろから現れた高野に、横澤は青筋を深くする。

高野の言葉に合わせて、同意を示した者は横澤に向かって合掌していた。思わず、ワナワナと震え出す。


「最近、スカート多いよな。足丸見えでエロいぞ」

「……俺の趣味じゃねーよ!」


前はパンツスタイルが多かった横澤は、今はスカートのスーツを多く着ている。

横澤の趣味ではないとすれば、いったい誰の?

と思った所で、高野の前から横澤が消える。消えてった方を見ると、ジャプン編集長の桐嶋がいた。

腕を引いたせいで体制を崩した横澤を支えながら。


「横澤、探したぞ」


何でもないように、横澤に書類を渡す桐嶋。個々がどうのこうの、とその場で話し合いをし出した二人に、高野は、あぁ、成る程。と頷いた。それを聞いた桐嶋が何が?と首をかしげた。


「いや、横澤のスーツがパンツからスタートに変わったのって貴方の影響でしたか、桐嶋さん」

「は?俺?」

「ばっ、高野!」


首を再び訳が解らないと傾げた桐嶋と、顔を真っ赤にして高野の口を塞ごうとする横澤。

小野寺は、えっ!?と食い入るように二人を見つめていた。


「いや、もういいだろその話は!俺……じゃなかった、私はもう行くからな!」


仕事中は、俺と言う一人称は使わない横澤。それが出るほど慌てていたと言うことか。バタバタと去っていく横澤を唖然とした表情で見送ると、桐嶋が独り言をブツブツと呟いて、じゃ、と去っていった。高野には、その独り言が届いていたのか、ブッハハハハッ、と笑っていたが。その顔は、とても満足気だった。



END



『確かにスーツは1着買ってやったけど…あいつそれで?可愛い奴』












あとがき?

きっと、そのスーツは横澤さんの宝物。

大事なときとかに着るよ!普段は大切に仕舞ってあるよ!



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