運命なんていらない
この作品は、オメガバースっていう海外の設定を使ってます。
解釈が自由な部分もあるようなので、オリジナルで設定も入れさせていただいております。
OKですか?
運命だと思った人が、自分を好きじゃなかった場合、これって何て言うんだろう?
「・・・せ、おい、聞いてんのか?」
青峰の声によって、パッと現実の空間が黄瀬の目に飛び込んでくる。
そこで、ハッとした。
今、元帝光中のメンバーで集まっているんだということを思い出して、苦笑い。ごめん、聞いてなかった、と謝りながら、皆の恋愛話を聞いていく。どうやら、黄瀬は同意を求められていたらしい。
黄瀬たちは、皆オメガ性をもって生まれてきた、ある意味突然変異だ。それが、集まったのが帝光中学だった。当然、オメガと言うことで舐められたが、それも一年間だけの話だ。黄瀬たちが普通のオメガに無い能力を持っていることが、その年のバスケで明らかになった。
それからは、オメガだからと言って舐められることも無くなった。
世間は、これを期にオメガの社会的地位の向上を、と言っているが黄瀬たちにはどうでもいい話だった。何せ、バスケをして勝てればそれでよかったんだから。
「・・・黄瀬、お前はどうなんだ?」
突然、赤司から話を振られ戸惑う黄瀬。えっ?と聞き返せば、解かりやすくため息を吐いて再度説明してくれる。
その話によれば、皆パートナー・・・、メイトが出来たらしい。赤司にも出来ていて、それが意外な人物だったことに驚きを隠せない。けれど、その首筋にはしっかりとbiteの跡がついていて、それが嘘ではないことが解かる。そんな、姿を黄瀬はうらやましく思う。
「俺は・・・、俺の運命は無いッスねぇ」
少し、悲しげに黄瀬は目を伏せた。その姿に、騒がしい筈のマジバの店内がシンッ、と音の無い世界になった気がした。
「まぁ、俺のことより、皆が幸せそうでよかったッス」
そう言って、笑う黄瀬に、キセキは何もいえなかった。無理に笑っているのが解かるのに、笑うなとも言えない。言ってしまえば、黄瀬の中の何かを、必死で守っている何かを壊してしまいそうだと、直感したから。
そこから、話はバスケや学校の事にいろいろとスライドしていく。そんな中、黄瀬はふと外を見た。
「黄瀬君?」
どうかしましたか?そう、尋ねてくる黒子に返す言葉も無く、目を見開いた黄瀬。目の前を横切っていったのは、部活の先輩である笠松と森山。黄瀬はブワリ、と沸きあがりそうになるフェロモンを押さえるために、一時的にフェロモンを抑制するタブレットをポケットから取り出して慌てて噛んだ。
そんな、黄瀬の様子を心配そうに見つめるが、黄瀬は息を整えると、ガタッと席を立った。
「・・・ごめん、用事できたッス」
そういい、誰の声にも耳を貸さず、急ぎ足でその場を去っていく黄瀬。
タクシーを拾い、家の近くまで急ぐ。
誰にも見られていないことを確認しながら、急ぎ足でエレベーターに乗り込む。
「・・・ちくしょ・・・っ、くそっ、くそ!!」
誰もいないエレベーターの中で悪態を付く。ちんっ、と音が鳴り、扉が開いたと同時に駆け出す。
幸いなことに、フロアに誰もいなかった。
鍵を開けると、そのまま体を滑り込ませ扉を閉める。オートロックのため、ガチャンとしまったと同時に鍵のかかる音がする。そのまま、チェーンを震える手でかけると、ふらふらとベッドへ壁にもたれながら歩いていく。
携帯は、さっきから震えっぱなしだ。たぶん、キセキからだろう。
それに返信する余裕は、今の黄瀬には無く、かろうじて自分の理性を保てるうちに、マネージャーと武内にメールを送った。“ヒートになって、動けない”と。
そこからの記憶は黄瀬には無い。何度か、玄関の外にアルファが来ていた気がするが、チェーンも外れていないし、何よりアルファの気配がこの部屋には無い。
何より、中から精液が溢れてくることもない。それで、ようやく黄瀬は安心した。
無事に、ヒートを乗り切ったのだと。
明日から学校に行く旨をメールでマネージャーと武内に報告する。
「・・・俺は、認めない。絶対に。オメガだって事も、運命も・・・そんなもの、いらない」
そう言って、黄瀬は涙を流した。
黄瀬は、中学の頃、こんな思考はしていなかった。オメガである自分を認め、受け入れ、運命を、番を心待ちにしていた。
けれど、そうなったのは運命が、運命ではなかったとき。
高校で、自己紹介するとき、一目見て解かった。この人が、“俺の運命だ”、“俺の、アルファだ”って。その時は一目見て解かって、テンパって何を言ったのか、黄瀬は覚えてない。けど、初めて運命の人に触れられた事だけは覚えている。
けれど、その次の瞬間に絶望を知ることになる。
「・・・そうだ、一年のアルファに告げとく。森山は俺の番だ」
手を出した奴は殺す。
そう、責任感の強い眼差しが、睨みを利かせていたことを知っている。
そんなことを言わなくても、番ならば手を出したり出来ないのに。
よく見れば、森山の首元にはbiteの跡がついていた。
叫びだしたかった、番は一生のものだから。
番となれるのは、運命のパートナーだけだって思ってたから。
俺は一体何なの?って、俺はどうしたらいいの?って、叫びたかった。でも、そんなこと出来なかった。
だから、運命を嫌った。オメガである事を否定した。
いつか、何て曖昧な未来を夢見ることを止めた。
すべて黄瀬が、“自分が自分でいられるように”と張った予防線。
黄瀬は、週一で発情抑制剤の点滴を受けている。病気ではないため、自費になるが自分が発情して誰彼かまわずアルファを引っ掛けるよりマシだと思っているからだ。しかし、運命の相手となるとその点滴の作用だけでは発情を抑えることが出来ない。だからこそ、黄瀬は運命を否定しだしたときから、笠松に会う前は発情抑制剤のタブレットを飲むのだ。
決して、自分が彼のオメガと言うことに気がつかれないように。
けれど、どれだけ予防していても、否定していても、それでも予期せず出会ってしまえば発情は避けられない。
そんな自分が、大っ嫌いだった。
という笠黄が書きたかったんだが・・・これって、どうやっても黄瀬バッドエンドしか浮かばない。どうしよう?ってことで、打ち切り・・・にしたい。また、違う今度は幸せな二人の設定で書きたい。
笠松
→アルファの雄。両親はベータで、恋愛婚。そのため、運命を信じず、自分の好きになった人と結婚したいと思っている。2年の時のパスミスで、色々あったが森山が支えてくれたため、吊橋効果かもしれないが、それでも森山が好き。黄瀬のことは、入ってきたときから気になっているが、運命だとは思わなかった。
黄瀬
→オメガの雄。周りには公言している。中学の時は運命にあこがれていたが、高校で出会った運命に、自分自身がオメガであることを否定しだした。運命も嫌い。けれど、その元凶である二人は先輩として尊敬していて嫌いになれない。高校のとき、ある雑誌のインタビューにて、望まない妊娠をしたら自殺するとはっきり答えている。
森山
→オメガの雄。笠松の番。番だけれども、安定の森山。ナンパも結構頻繁にする。女の子大好き。けれど、オメガだからと諦めている。笠松が運命の番ではないことはわかっているが、番になってしまった人。
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