おいしいご飯屋さんが出来たらしいで。ほな、そこ行こか。
そんな話をしている矢胴丸副隊長と猿柿副隊長を見つけた。あ、と同時に目が合い千綾もどうや?と誘われた。

「あ、いや、でも、…私、邪魔じゃないですか…?」

仮にも二人は副隊長だ。四番隊の隊士が仲良くランチだなんて恐れ多い。なんて考えていたら猿柿副隊長に思いっきり頭を叩かれた。

「あほか!あんたが邪魔やったら最初っから誘わへん」
「ひよ里の言う通りや」
「う…、ありがとう、ございます」
「敬語やめや!」
「今は休憩中や。副隊長なんて関係あらへん。友達やろ?名前で呼びや」
「あ、ありがとう…」

ともだち。なんて少し照れる。


二人との出会いは突然だった。
あのハゲが気に入っとる女を見に来た、と急に言われた。その時私は救護詰所にいてちょうどひと休みしていたところだった。新人の私にとっては、副隊長二人が私に会いに来ることすらおかしなことで緊張しないわけがない。

「ハゲ…?」
「十一番隊と言い合ってたそうやん」
「そんな子には見えんけどな」

ハゲって平子隊長のことだったのか。それにしても平子隊長は思ったより口が軽いのかもしれないと疑ってしまう。十一番隊と言い争った日なんてもういつだったか覚えていない。そっとお茶を出して向かいに座るとじろじろと二人に見られる。これ、本当にどんな状況?

「緊張せんでええで。アンタを見に来ただけやで」
「は、はあ…」
「そんな睨んだら萎縮してしまうでひよ里」
「睨んでへん!」
「真子がアンタのことええ奴やうるさいんや」

矢胴丸副隊長の言葉に私は首をかしげた。私は平子隊長のために何かをした覚えがない。ええ奴と言われる覚えもない。

「アンタ、名前は?」
「す、すいません!高峰千綾です!」

勢いよく頭を下げるとそんなんええからとやめさせられる。

「アンタみたいな子が十一番隊に噛み付くて何があったんや?」

噛み付く、だなんて…。表現がどんどん大きくなっている気がする。訂正するもののどっちでもいいと流された。
仕方なくあの時のことを詳しく伝える。怪我人が脱走したから捕まえにいった。そしたら四番隊を貧弱部隊だと貶されたから言い返しただけです、と。

「影で泣き寝入りしそうな奴やとおもったけどちゃうんやな」
「私の印象悪すぎじゃないですか…!」

まあ確かに四番隊の隊士は気が弱い人も多いけれど。

「自分の隊を侮辱されて怒らない人なんていますか?私は泣き寝入りなんてしません。言われっぱなしは好きじゃないんです」

そう言い切ると二人は顔を見合わせて笑った

「これは真子が気に入るはずや」
「いい性格しとるわ千綾」
「ありがとうございます…?」

先程から平子隊長が私のことをええ奴とか気に入っとるとかの発言がとても気になるが、目の前にいる二人の副隊長の笑みをみたらどうでもよくなった。

「うちらとも仲良くしてや」
「え、でも…」
「なんや、あかんのか?」
「どうせあたしらが副隊長やからとか考えとんのやろ?そんなん気にせんでええよ」

二人の言葉に私は嬉しくなり、大きく頷いた。