外の空気吸いたくない?と先輩に言われ私は何故か書類を胸に抱え八番隊に向かっている。書類配りも仕事のうちだ。例え先輩に良いように扱き使われていたとしても気にしない。それより、今私は大変なことに気がついてしまった。

「ここどこ」

八番隊に向かっているはずなのに、一向に着かない。んんん。見えてきたのは五の文字。あれ、隊舎、引っ越しとかしたのかな。一人で頭を抱えていると声をかけられた。

「どうかしましたか?」

優しそうな顔に安心したのも束の間、彼は副官証を付けていた。他の隊の副隊長に心配されるなんてこれは大事になる。

「お、おつかれさまです。藍染副隊長」
「おつかれさま。五番隊になにか用かな?」

迷ってしまいました、なんて言えるはずもなく苦笑いをした。怪しまれているだろうか。恥ずかしいけどここは素直に言うしかないか。と意を決した。

「あ、あの!」
「なんや藍染がサボっとると思って出てきてみたけど、なんや千綾やんか」
「お言葉ですが隊長、僕がさぼった事なんてありましたか?」
「アホ。ないから珍しい思ったんや」

けらけら笑う平子隊長。しかし私は千綾、と呼ばれたことに驚いた。平子隊長は私のことを覚えてくれていた。少しだけ、嬉しかった。

「隊長…彼女とお知り合いですか?」
「まあな。ほな、行こか」

千綾、とまた呼ばれわからないままあとを追う。藍染副隊長が平子隊長を呼び止める声が聞こえるが「これも仕事や」と言い返して収まった。

「平子隊長…?」

つい後ろをついてきてしまったが、私の目的地は八番隊だ。どうしよう、と悩んでいると平子隊長は私の持っている書類をちらりと覗き見た。

「その書類、八番隊か?」
「は、はい!」
「俺も今から八番隊に行くとこやったんや」
「え!」
「八番隊まで、でぇとしよか」
「でぇと?」

わからない言葉に首を傾げる。しかし八番隊まで連れて行ってくれるみたいだ。これで安心して八番隊に行ける、と私は嬉しくなりはい!と答えた。

「なんや隣歩かへんのか」
「そ、そんな!無礼なことできません」
「無礼って。うちの隊士やないんや。ええやろ」

それとも、と手を強引に引っ張られる。彼は私の反応を楽しんでいるとわかっているのにも関わらず私は焦ってしまう。

「ひ、平子隊長…!」
「ずっとこうしといた方がええか?」
「と、隣を歩かせていただきます…!」
「そおか。俺は手ぇ繋いでてもええんやけどな」

そっと離れた手の温もり。残念がる表情。なんで私も寂しくなってるんだ。よく分からない感情に蓋をして平子隊長の隣より、一歩後ろを歩き出した。