三日目にしてもう学校に行かない真子を見て不思議に思った。制服を着ていない彼はどう見ても成人男性だ。とは言ってももう百数十年も生きているのだけど。
昨日はリサから次の当番変わるように言われただけで他はいつもと同じだった。真子も、みんなも何も詮索されなかった。
破面が遂に出てきた、と真子がみんなに言う。破面とは簡単に言うと虚からの死神化のような存在だ。そんなことが出来るのかと思ってしまったが、藍染が手にした崩玉ならいとも簡単に出来てしまうのだろう。瞬き一回、空座町に新たな霊圧を感じ取った。
「むっつ。…尸魂界から死神が来てるみたい」
だから、か。真子が学校を行かなくなったのは。彼らの霊圧は今空座第一高等学校にある。一刻も早く黒崎一護との接触を図っているようだ。それはつまり事態は火急ということなのか。しかし私達は何も動かない。いや、黒崎一護が動いてくれないとどうすることも出来ないのだ。
重い話を切り上げて地べたに座った。
知らない死神の霊圧が気にならないと言えば嘘になる。この時期に派遣される死神たちなのだ。きっと役職についている者もいるだろう。
不意に空を見上げた。虚が近くにいる気配を感じたが何事も無かったかのように無視をした。私が行かなくても他の死神が動く。そのための死神なのだから。
「千綾外、出やんか?」
「どこいくの?」
「でぇとや」
ケラケラ笑う真子に私はしれっと答えた。買い物の手伝いでしょ、と。今日は真子が当番の日であることは把握済みだ。私は仕方ないと重い腰を上げた。
「あ…」
外に出ると虚の居場所がはっきりとわかった。こればかりは自分の霊力感知能力を高めてしまったことを後悔してしまう。ふう、と溜め息が出てしまう。早く倒して欲しい。
「千綾」
「なに?」
「そんな難しい顔しとったらここにシワできるで」
ここに、と眉間を目掛けてデコピンされた。軽い痛みに思わず額を抑える。笑う彼に私は何も言わなかった。
「黒崎一護はどう?」
「なんや、俺とおんのに違う男の話するんか」
「はぐらかさないで」
真子は面倒くさそうにはいはいと流した。どうもこうも虚化を受け入れたくない様子やと話し出した。得体の知らへんもんを抱えるのはキツイやろ。時間が経てばあいつの方からこっちに来るはずや。
「もうええやろ」
はよ、と急かされなぜか手を握られた。それはもう慣れたように。私は突然なことで頭がついていかない。高鳴る鼓動に熱くなる顔。いつも冷たい自分の手が熱い。私は何も言えずひたすら俯いた。
「虚、消えたな」
「あ、うん」
私の頭には虚なんてもう頭になかった。それとは別に、手を握ったままいつもと変わらず話し出す真子に少し気に食わなくなり少し強めに手を握り返してやった。
「な、なんや。なんか変なこと言ったか?」
「べーつーにー」