今日は外に出たらあかん。絶対にや。そう言われてしまい大人しく地下にいる。言った本人はどこかに行ってしまい不服を感じずにはいられないが、今日は言いつけを守ろうと思う。

「なんや。珍しいやん」
「最近ずっと怒られてるから」
「自覚あったんやな」

えへへ、と可愛く笑ってみたけどリサに白い目で見られた。

「結構派手な戦いしてるなぁ」

外に出るなと言う言葉の裏には死神と破面の戦いに手を出すなということだ。いや、それ以前に私に死神と破面の霊圧を感じないようにさせるのが第一だったのかもしれない。ハッチの結界によって大抵の霊圧を遮断されているとはいえ、私にはあまり意味がなかった。霊圧感知能力は尸魂界にいたときに嫌という程訓練を受けてきた。いつ、どんなときでもどこに誰がいるかを把握しなければ治療が行えないから。

「苦戦してるみたい」
「どっちがや?」
「死神」

隊長、副隊長は胸に限定刻印を打って来ているはず。限定解除すればなんとか勝てるぐらいだろうか。平隊士がいたら話は違うけど。

「おっ、なんだ今日は大人しくいるのか。珍しいじゃねぇか」
「そうかな」

げらげら笑うラブを見て、そんなに珍しいことかと考えてしまう。真子に言われたとはいえ、今死神に私たちの存在を見つけられてしまうと後々面倒臭い。だから、なんとしても負けないで欲しい。怪我人を見ると元後方支援部隊の血が疼くから。なんてね。

「もう寝るね。おやすみ」
「おやすみ」

こんな時間に寝るなんてお子様だろうか。ベッドに横になって目を閉じた。黒崎一護は破面と戦って、どう思うのだろうか。虚化を抑える方法は仮面の軍勢しか知らない。早く来たらいいのに。そんなことを考えていると破面の霊圧が消えた。倒したのか、それか逃げられたのかどちらかはわからないが死神たちが生きていることはわかる。霊圧が殆ど危ない状態だが、きっと治療できる人がいるであろう。尸魂界から現世に来た死神のことを私は誰一人として知らない。それだけ時間が経ったことを思い知らされる。

「なんや寝たんちゃうんか」
「…真子もどこか行っちゃったし、今出てってもバレない?」

ひょっこり地下に戻ってみるとまだリサはとラブがいて、各々違う雑誌を読んでいた。

「寝れなくて…。もう戦い終わったみたいだし」
「あかん。やめときや」
「そうだぜ千綾。アイツに釘刺されてるんなら余計にな」

いつもならみんなの視線を潜り抜けて脱走を図るのだが、今回ばかりはそうも出来なさそうだ。

「もしかして、二人とも真子に何か言われてる?」

こんな夜に二人して地上に出るための出口が一箇所しかない場所の前で雑誌や漫画を読んでいるなんて怪しすぎる。じっと見ているとぱんっ!と雑誌を閉じたリサが私を睨んだ。

「なんも言われてへん。言われてても聞くわけないやろ」
「じゃあ…」
「外行って何しに行くんや」
「それは…」
「あかん。真子やないけど、止めるしかないやろ」
「リサの言う通りだぜ。今日は諦めな」
「…はーい」

門番に負けて私は一人部屋に戻るしか無かった。


「…千綾ってお前のことよく聞くよな」
「そんなことないで」
「俺が見る限り真子より言うこと聞いてるぜ」
「真子は千綾に嫌われたくないから強く言えへんだけやろ」
「お前は違うのか?」
「アタシは睨んだりようするでな。あの子に嫌われても、あの子が傷つくよりはマシや」

あまり表情を変えないリサが少しだけ優しい顔になったのをラブは見逃さなかった。そして何事も無かったようにリサはまた雑誌を開けた。もう彼女がここに来ることはないだろうが、念には念を、ということなのだろう。ラブもそれがわかっていたためまた漫画を開けた。