あ、来た。
私の呟き同時に廃墟に黒崎一護が現れた。

「ここに来たゆうことは、俺らン仲間になる気があんねやろ?」

半壊している建物の上に立つみんなは黒崎一護を見下ろしていた。私も影に隠れながらちらりと見た。

「無えよ!」
「あァっ!?」

黒崎一護は仮面の軍勢の仲間にはならないと口にし、仲間にはならないが私たちを利用しに来たと大口を叩いた。自分のことばかりしか頭にない彼に辟易した。それはみんなも同じだったのだろう。彼を睨む目が増えたのがわかった。それを感じ取っていないのか、雰囲気が変わったのを気づいていないのか黒崎一護は死神化し真子に斬魄刀を向けた。誰も手を出すことなく、真子が黒崎一護の剣を受け流しているのを見ていた。各々が黒崎一護を見定めていく。気がつけば一箇所に集まっており私はその輪から数歩離れたところにいた。

「おい千綾はどう思う?」
「え、私?」

拳西に聞かれて考える。みんなの言う通りだ。黒崎一護は内なる虚に怯えている為力が発揮されていないことは見てわかる。けど、怯える、恐怖を感じるのは当たり前だろう。彼らは何十年とそれを知っているが黒崎一護は何もわからない。わからぬままただ呑み込まれて行くだけなのだから。
それよりも、私は思うことがあった。黒崎一護、見れば見るほどあの人に似ている。容姿のせいかつい思い出してしまった。いや、でも、あの人は臆病者ではないか。
私が何も言わないのに嫌気がさしたのか、はたまた真子と黒崎一護の戦いに呆れたのか、ひよ里が大きな溜め息を一つした。そしてハッチに結界を増やすよう頼んだ。彼女も動くのかと少しだけ心配した。

「ハッチ、私も手伝っ……あー」

遅かった。バリーン!ガッシャーン!!ズドーン!!!と音が鳴るほうを向いてみれば案の定結界が破れていて、結果として窓ガラスが割れていたので真子は外に出されてしまった。大丈夫かと思い外に出ようとしたら放っとき!と苛立ちを隠さないひよ里に怒鳴られた。
まあええわ、と黒崎一護と向き合いキツイ言葉を発する。ひよ里の言葉は言い方はあれだが間違ったことは言っていない。先程までの口が達者だった黒崎一護も反論出来ていなかった。

「あんたをホンマに仲間にしたいか どうか それだけや」

その言葉は黒崎一護に言っているはずなのに私の心に刺さった。直に怒りが頂点に達したのかひよ里が虚化をした。オイオイオイオイ…!とラブたちが驚くが、私は久しぶりのその姿を見てそっと両手を胸の前で握ってしまう。結界を余分に張り続けているハッチには悪いが今の私の霊圧は自分でもわかるぐらいガタガタしていて手伝うことも出来ないだろう。

「千綾ちんもだいじょぶ?どっか痛い?顔真っ青じゃん!」
「だ、大丈夫」

白を安心させるため微笑んでみたが、他のみんなに見られたくなかったので顔をさっと背けた。血の気が引いてくのがわかる。しかし、ひよ里からは目を離せなかった。ひよ里が攻撃をする度黒崎一護は内なる虚を制御することが難しくなっていた。ひよ里は甘くない。そして、ついに嫌な霊圧を感じた。ぞくりと寒気がした。白が千綾ちん?と心配してくれるがそれどころではない。

「ひよ里!!!」

私が叫ぶと同時だった。みんなが一斉に虚化した黒崎一護に刀を向けた。私はひよ里の元に行き呼吸を整えるため背中を優しくさすった。いつもなら平気や、と口にする彼女も今回ばかりは何も言えなくなっていた。

「合格や」

真子の言葉が遠くで聞こえた。