一護の虚化保持訓練を初めて数日。がむしゃらに虚化してはすぐ戻ってしまう。保持時間は片手で数えられるほど短い。斬魄刀を握り締め彼の刀を弾く。元々の力が強いので一瞬でも気を抜くと負けてしまいそうになる。一護の手が顔に覆われ、次第に虚の仮面が現れる。ぞくりと寒気がした。何度見てもこの瞬間はなれない。虚の仮面を出した彼は動きが早くなり、そして斬り掛かる瞬間を私は見逃した。

やばい、と思う前に私は口を動かす。縛道の八十一 断ーーー!しかし私の言葉は最後まで紡ぐことなく、目の前に現れた彼によって一護の刀がいとも簡単に払われた。やばい。いつもと違う汗がひやりと流れた。

「こらボケェ!!!お前ら何やっとるんや!」
「なんだよ平子!!修行に決まってるだろ!」
「こんな朝早くからすんなや!千綾お前もわかっとるやろ!何で止めやんのや」

怒りの矛先が自分に向いたのを感じすっと一護の後ろに隠れるものの手首を掴まれて嫌でも真子の前に立たされる。

「千綾を付き合わせたのは俺だ!だから千綾は悪くねぇ!」
「一護、いいから」

真子が怒っている理由は朝早くに修行をしてしまったから。しかし、それは表向きの理由だ。本当は私が虚化の修行を手伝ったからだ。しかし、私の言い分としては、一護にどうしても早く力をつけたいから付き合ってくれと頼まれたら断るなんて野暮だろう。なんて、理由は通じない。

「一護の虚化保持時間はまだまだ数秒だし、普通の一護だったら私の方が強いからそんなに心配しないで」
「さらっと傷つくこと言うな」
「え?本当でしょ」
「千綾、ちょっとこっち来い」

手首を掴まれて引きずられていく。一護が慌てて私の代わりに謝ろうと叫んでいたが真子は聞く耳を持たない。私は気にしないでとアイコンタクトをとった。

「俺が何で怒っとるかわかるよな」
「…勝手に一護の修行に付き合ったからでしょ」
「俺の気持ちがわかるんやったらすんなや」
「…真子はどうなの?」
「は?」
「私の気持ち、わかってくれてる?」

じっと彼の目を見た。私の視線に耐えかねたのかそっぽを向いてはあと溜め息を吐いた。

「一護に修行付き合って欲しい頼まれて断る理由がなかったんやろ。アイツらと戦うのに自分ももっと力をつけたいからな」
「そんなにわかってくれてるのに、どうしてさせてくれないの?」

私はみんなに守られてばかりは嫌だ。しかし、それは私が弱いから仕方ないことで。どうしたらみんなと戦えるのか、どうしたら大切な仲間を守れるのか。答えは簡単だ。私が強くなればいい。こんな私の気持ちも彼は分かっているのだろう。私の思いと彼の思い、どちらが強いかなんてわからない。

「修行することはええ。けどな、ひとつ約束せぇや」
「約束?」
「俺がおらんとこで一護の虚化の修行手伝うな。ええな」

ビシッと言われ私は何も言うことが出来ず俯きながらわかったと返事をした。

あー、はよ起こされたからまだ眠たいわと頭をかきながら戻っていく姿を見て気づいた。いつもサラサラの髪が後ろ髪の一部分が跳ねていることに。きっと私と一護の虚化の霊圧を感じて飛び起きたのだろう。悪いことをしてしまったなと少しだけ思った。

「千綾、わりぃ俺のせいで」
「うんん。一護のせいじゃないから気にしないで」

説教が終わったあとすぐ駆け寄ってきた一護。私はいつものことだから、と苦笑いをひとつした。

「いつでも修行手伝うから、また声かけてね」