「え、わたしですか…?」
山田副隊長に直々に呼ばれた。五番隊が流魂街へ虚討伐任務に行くようでそれについて行くように命ぜられた。四番隊は戦いにおいては後方支援部隊として働くことは聞いていた。しかしこんなに早く行かされるとは思っていなかった。数日前から鬼道や縛道、そして斬術を確認したが良くも悪くも霊術院時代と変わっていなかった。
いつもより丁寧に斬魄刀を帯刀する。不安を抱えながら五番隊と合流した。見知った顔はなく緊張しながらも簡単に挨拶を交わして班の後ろにつく。聞くところ私と同じ新人がいるようで、そんなに難しい任務ではないとのこと。安心したのも束の間、流魂街につくと虚が現れると動けなくなる新人に焦りを感じた。

「う、うわぁあ!」

私もそう叫んで逃げたかった。唇を強く噛んで虚を睨む。頭を働かせろ。足が竦む気持ちもよくわかる。最初の任務なのだ。仕方ない。私だって虚勢を張っていないとどうにかなりそうだ。

「っ破道の四 白雷 !」

ばちばちと音を立てて虚に電流が突き刺さる。やった…、と誰かが安心した。いや、まだだ。私の鬼道では弱すぎる。一向に立ち向かおうとしない隊士に私は叫んだ。

「戦えないなら下がって!下手に死なないで!」

ガタガタの私に言われて屈辱的だろう。しかし、私は怖気付く彼より戦う勇気を持っている。私たち以外の班も他の虚に手こずっている。これをどう対処したら、と普段使わない頭をフル回転させて考える。共に戦えたら勝ち目はある、しかしこの隊士を守りながら戦うのは重荷すぎる。

意を決して刀を抜いた。
それからの記憶はあまり覚えていない。次に目を開いた時はよく知ってる天井が広がった。

「やっと目ぇ覚ましたか」
「…平子隊長…っ!」
「おはようさん」

五番隊の隊長がどうして私の目の前に。それに、やっと、目が覚めた?やっと、?

「えっと…わたしどうして…」
「なんや覚えてへんのか」

確か、刀を抜いて虚に立ち向かったものの自分の弱さを実感するばかりだった。結果ボロボロの状態で死を感じたその時援軍が来てくれた。大丈夫か、と背中越しに声が聞こえた。長い金髪の隙間に見える五の数字。私はそれに安心して気を失った。

「あの!っいた…っ!」
「まだ怪我治ってないんやで安静にしときや」

勢いよく体を起こしたので体の節々が悲鳴をあげて思わずうずくまった。ぽんぽんと体をさすられゆっくりともう一度寝かされた。

「すまんかった」
「な、なにがですか…」
「新隊員のこと聞いたで。なんや虚見て逃げたらしいやん」
「……」
「俺の人選ミスや。怪我させてすまんかった」

たかが平隊員にしかも後方支援部隊として選ばれた私に隊長が謝っている。私は寝かされた体を再び起こして平子隊長を弁護しようとするものの痛みに負けた。

「平子隊長、謝らないで下さい。隊士が逃げた理由もわかります。それに、私も弱かった…っ」

涙がこぼれた。なんで泣いているかわからなかった。虚が怖かった?新人隊士が虚と戦わかなった憤り?生きていることに安心して?よく分からないが涙が止まらない。必死に袖でそれを拭う。他隊の隊長の前で泣くなんて恥ずかしい。

「すいません…っ」
「なんも見てへん、見てへん」

頭を優しく撫でてくれる手に私は安心した。