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任務が入っていない日は全て休み、という訳もなく私は呪術高専の事務員として働いている。ようやく自分の机に詰まれていた書類をきれいさっぱり片付け、背中を伸ばした。長時間机に向かっていただけあってポキポキと音が鳴った。そしてお腹の虫も鳴いてきた。あー、もうお昼か。朝から水しかお腹に入れてなかったのを思い出すと次第にお腹が空いてきた。重い腰を上げて食堂に向かった。

「あれー、お昼休み?」
「美沙さん」

三人仲良くひとつの机を囲んでる様子を見つけて口元が緩んだ。

「誰?このおねーさん」
「なになに。伏黒の彼女とか?」
「ちげーよ!」

恵以外は初めましてだったことを思い出した。私は入学手続きの際写真を何度も見ていたから名前と顔が一致していた。高専の一年生、虎杖悠仁と釘崎野薔薇。まじまじと見られて少し恥ずかしい。

「高専で事務方してます。#秋月#美沙です。よろしくね」
「美沙さん、目の下のクマ出来てますけど…」
「あ、私もちょうどお昼なんだー。隣いい?野薔薇ちゃん」
「ぜひぜひ!」

持っていた定食を机に置いて椅子に座った。不服そうな恵とそれを面白がる虎杖くんと野薔薇ちゃん。私はそれを完全にスルーして手を合わせた。いただきまーす。一年生ズに混じって食べるご飯はとても美味しかった。私の質問が大半だったが他に日常の会話、時折五条先生の話になり笑いが絶えなかった。

「五条先生はみんなの前ではそんな感じなんだね。すごい楽しそう」
「美沙さんの前では過保護マックスですもんね」
「え、五条先生が過保護とかウケる」
「このハンバーグおいしいー」
「あ、本当っすね」
「………」

変なこと言わなくていいから、と目で恵に訴えかけるが残念ながら伝わらなかった。

「恵今まで一人だったから心配してたんだ。みんなと仲良くしてるようでよかった」
「なんかお母さんみたいですね」
「恵には幼稚園児扱いされるけど、ねー?」
「まだ根に持ってんすか」
「冗談冗談」

あははと笑えば明るい声が食堂に響いた。




午後からは任務が入ってたのでその準備をして外に出て補助監督さんの車を待っていると足の長いお兄さんがやってきた。

「あれ、今の時間授業じゃないんですか?五条先生」

時計を見てそう言うと彼は惚けながらそうだっけ?と口にした。みんな待ってますよと言うが彼は私の隣に立つ。私のスーツケースを見て少し表情を曇らせる。

「長旅?」
「んー。二泊三日だから、長くはないと思うけど」
「ひとりなの?」
「呪術師は少ないからね。仕方ないよ」

遠くから黒い車がやってくるのが見えた。伊地知さんかな。そしてもう一度時計を見る。

「遅刻する癖直さなきゃ。夜蛾先生にも言われてるんでしょ」
「早く帰ってきてよ」
「もちろん」
「………」
「?」
「やっぱり僕も行こうかな」
「いやいやいや!大丈夫だから!」
「でも美沙、目を離すと危険な戦い方するし、いっつも怪我して帰ってくるし。自分の呪力を使い果たしたらすぐ寝ちゃうし。僕心配だよ」
「それ遠回しに私が弱いって言ってる?」
「バレた?」

むーかーつーくー!心の中でそう叫び睨んでやった。それでも尚にこにこと笑う五条先生に私は何も言えなかった。確かに、確かに、確かだが。危険な戦い方だって、怪我だってしたくてしてる訳では無い。自分や守りたいもののためにしそうしてるだけだ。その結果呪力を使い果たすだけであって…。ぐるぐる考えた結果、私が弱いという答えが出たのは内緒だ。

「五条先生が遅刻する癖直したら私も諸々直しますよ」
「言ったね」
「もう行きます。五条先生も授業して下さい」

着いた車にスーツケースを入れて私も乗せてもらおうとドアを開ければ急に腕を引かれた。おおおっと!驚く私を他所に、すっぽりと五条先生の胸に収まる。

「何かあったら連絡して。すぐに行くから」
「どこでも?」
「どこでも」
「最強が後ろにいるなら私も最強ですね」

最後の別れみたいなこんな雰囲気は好きじゃない。けど、数日は彼に会えないのだ。少しだけ充電しておこう。ぎゅっと強く抱きしめられてそれに応えようと後ろに腕を回そうとした時、五条先生ー!と可愛い生徒の声が聞こえた。いつになっても教室に現れない彼を探しに来たのだろう。一瞬ではっとし、頑張ってもがき五条先生の腕から抜けた。

「あーあ。もう終わり?」
「終わりです!いってきます!」
「じゃあ、続きは帰ってきたらね。楽しみにしてる」
「いってきます!」

勢いよく車に乗り込み、バックミラーを見たら五条先生が生徒達に捕まりながらも、私にひらひらと手を振り続けていた。みんなに、見られてないよね。ひやりとどこからか汗が流れる。ふう、落ち着け落ち着け美沙。

「任務前にイチャつくのそろそろやめてください。こっちが気まずいです」

あ、運転手をしてくれてる伊地知さんのこと忘れてた。ごめんなさい。