何時間も、何日も見つめ合っている感覚がする。本当は一分も経っていないのに。逸らされない青い瞳。そこに映るのは紛れもない自分自身。銃声や雄叫びが聞こえているのに、脳まで届かない。そうさせたのは紛れもないマルコで。捕まれた腕が熱く感じた。
「っ、わた…し、もっ「おい!マルコ!!」」
連れて行って。素直にそう言おうとした。この息苦しい場所から、居心地のいい貴方の元へ。マルコが望むなら、なにも怖くない。と。だが私の言葉は彼の仲間によって掻き消される。
「ちっ!んだよ、サッチ!」
「モビーの上見ろ!」
サッチと呼ばれた男を一瞥し、マルコは彼らの船へと目を向ける。
「ん?スクアードあんな所に……」
白ひげに並んだ男。不思議そうに眉を上げたマルコ。次の瞬間、この場に居る全員が目を見開く事となる。
「なっ!!!」
貫かれたその巨体。一瞬の時が止まった。
「オヤジィーーー!!!」
ぐっと捕まれた腕に込められた力。痛みに顔を歪め、彼を見上げる。今にでも飛び立とうとするその背中。また行ってしまう。私を振り返ること無く。だって白ひげは彼にとって唯一無二の存在だから。
ああ、羨ましい。そう思わずには居られない。仕方が無いと分かっていても、何故か心がツキン。と痛む。でもそれがマルコなのだ。
だから、想像もしていなかった。
「っ!」
白ひげを見つめていた瞳が私に向けられるなんて…。
「セツ…おれ、は「行って!」」
ドクン、と心臓が鳴る。苦しげに歪んだマルコの顔。言葉を遮るように強く、強く言い放つ。それに目を丸くした彼は一瞬の間をあけて、掴んだ腕を解放すると不死鳥へと変化し私の元から勢いよく飛び立った。
掴まれていた腕を引き寄せ、反対の手でギュッと握る。思いもしなかった。まさか彼が私を振り返り、気にするなんて……。
嬉しかった。たったそれだけの事なのに。今ならなんでも出来る気さえした。
白ひげが刺された事により、ざわつく戦場。その犯人である仲間を取り押さえるマルコへと目を向ける。どうやら白ひげを刺した男は騙されたようだ。
ちらりと高台へと目を向ける。
「……卑怯な男」
徹底的な正義の為ならば姑息な手段を選ばない。それはある意味清々しい程の信念を感じる。私は彼のそおゆうやり方が昔から嫌いだった。だが、今となってはそれもどうでもいい事。
白ひげが傷を負ったことにより、白ひげ海賊団に動揺が走る。それは面白い程に…。それを好機と退いていた海軍が前へと攻めでる。押され始めた白ひげ海賊団。それを一喝したのは、やはりと言うべきか四皇、エドワード·ニューゲートだった。
「───それでも愛そう……」
自分を刺した男を懐に抱き込んだ白ひげを見て、私は目を見開いた。殴るでもなく、殺すでもない。そんな人間が居るのだろうか。ギュッと握った腕にぶわっと鳥肌がたつ。ゾクゾクとした。エドワード·ニューゲートという男の懐の大きさ、器の大きさに。
白ひげ海賊団の勢力が、今も尚止まらず拡大し続けている理由を垣間見た気がした。
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