やはり三大将というだけある。ボルサリーノ大将から醸し出される佇まいや雰囲気に少しばかり気後れしてしまう。ちらりと辺りに目を向ければ中将クラスがゴロゴロといる。分が悪いのは断然こちらで…。
それでも、マルコを残して引く訳にはいかない。
傷口は塞いだ。輸血もした。だが成人男性が必要とする量の輸血は出来ていない。現にマルコの顔色は悪いまま。だが今それだけの量を輸血してしまうと私も命取りになってしまう。
誰かから血を貰わないと…。
一番近い海兵へと目を向けた。その一瞬の隙。ボルサリーノ大将へと目を戻せばいつの間にか私へと向けられた指に目を細める。光が集まり放たれるまでコンマ数秒。
「セツっ!」
マルコの慌てた声と同時に放たれた閃光。指先が狙うのは腹部。何処を狙うかのか……見えていればそれを避ける事は容易い。だが問題はタイミング。
直感で身を翻せば、チリっとコートの端に穴が開く。ああ、やっぱり早い……。
「そりゃあー避けるよねェー…ならこれならどうかな?」
ゆっくりとボルサリーノ大将の両腕が上がる。それを見てはっと息を飲んだ。
そんなまさか……ここでその技を?
親指と人差し指で円を作るその姿に私だけではなく、周りの海兵達も息を飲む。それもそのはず。その技は敵味方関係無く撃ち込んでしまうのだから……。
「黄猿さん!その技は…!」
「おれ達まで殺す気ですか!?」
ボルサリーノ大将の行動を止めようとする中将達。慌て始めた彼らをマルコは怪訝な顔で見遣った。
「なんだ?」
「んー…駄目かァい……?」
困ったようにボルサリーノ大将は作った輪を解く。それにほっとした一同。彼らが気を抜いたその瞬間、私は足に力を入れその場から飛び出した。向かうのは一番近くにいる中将。
「なっ!!」
突然目前に迫った私に目を見張る。名前も知らない彼に向け素早く両手を首へと回し、ぐっと引き寄せた。
「
吸血姫」
「っ!!」
引き寄せたその太い首筋に唇を寄せる。思いがけない光景に皆が皆意味がわからず固まり、息を飲む。他者からすればただの口付け。だが、されている側はそうでは無い。
「……ぐっ!!ぁぁあ!!」
「!?」
突然声を荒らげ始めた中将。周りはその形相に目を見張る。あまりの痛みに、首にしがみついた私を引き剥がそうと男の腕が動いたが、私に触れるよりも早く男の身体は限界を迎えた。
「うっ……」
首筋から離れれば、ガクンと膝から崩れ落ちた男。そのまま流れるように地面へと落ちていくのを見ながら、手の甲で唇を拭う。
「ご馳走様」
「怖いねェー…エキエキの実は。殺したのかい?」
振り返ればボルサリーノ大将は興味深そうに、他の海兵は倒れた男の異常な痛がり方を見て驚きと恐怖に顔を歪めている。
ただ何故かマルコだけは驚くでもなく、ただ不快そうに眉を寄せ私を見つめていた。
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