27


焼けつくような日差しの下、びしょ濡れの服が肌に貼りつき、体温をじわじわ奪っていった。足を踏み出すたび、靴の中でぬるい水がぐしゅっと音を立てる。その不快さを振り払うように、私はただ地面を蹴る。
――頭にあるのは、あの姿だけ。目を閉じるたび、その横顔が鮮やかに浮かび上がり、胸が締めつけられる。
父の家が視界に入ると同時に、私は門を乱暴に押し開けた。そのまま靴を脱ぎ捨て玄関に上がると、廊下を駆け抜ける。
濡れた靴下が床に音を刻み、水滴が飛び散る。ドアノブに手をかけ、大きく開け放った。

「天沢くん!!!」

咄嗟に声をあげると、作業部屋の奥にいた天沢くんが雑巾を持ったまま驚いたように振り返った。

「りかさん……?」

視線が私の顔から胸元、滴る裾、そして靴先までを素早くなぞる。
びしょ濡れの髪が頬に貼り付き、床に雫がぽたぽたと落ちるのを、彼は信じられないという顔で見つめた。

「ちょ、な、なんですかその格好……!」

驚きと戸惑いが混じった声。
言葉の続きを聞く前に、私は息を荒げながら遮った。

「安室透が……!!」

胸の奥から飛び出した声は、ほとんど叫びだった。濡れた服の冷たさも、足元の不快感も、今はどうでもいい。
伝えなければ。早く、なんとかしなければ。

「あ、安室透…?」

その剣幕に押され、天沢くんは反射的に一歩後ずさる。

「安室透が、水の中に……!」

できるだけはっきりと言葉にしても、天沢くんの表情は固まったままだった。私の服から落ちる雫の音が、やけに大きく耳に届く。

「……は?」
「だから、沈んでたの!私、この目で見たの!」

天沢くんが瞬きを二度、三度。
理解しようと頭の中で何かを組み立てているのがわかるが、その速度があまりにももどかしい。

「ちょ、りかさん落ち着いて…とりあえずタオルを……」
「落ち着いてなんていられない!」

私は一歩踏み込み、濡れた靴下が床を滑り、ぴしゃりと水音が弾けた。
天沢くんの瞳がわずかに揺れる。

「パソコン開いて。すぐに。お願い」
「……わ、わかりました」

私の剣幕に押され、天沢くんはようやく雑巾を机に放り、椅子を引いて机の前に腰を下ろした。手を伸ばしてパソコンの電源を押す指先は、わずかに震えている。

「でも、何度やっても同じですよ。今朝だって試したばかりで――」

そのとき、小さな起動音が室内の空気を震わせる。低く唸るファンの音が静かな部屋に広がった。
天沢くんが「あれ……?」と眉を寄せる。何をやっても白いままだった画面に、淡い光がじわじわと滲み、やがて輪郭を持ち始めた。

「…え。つ、ついた……!つきましたりかさん……!」

呆然と呟く天沢くんの声。
私は固唾を呑み、その画面から目を離せなかった。動くはずのないものが、今まさに目の前で息を吹き返している――そんな光景だった。

「嘘だろ……なんで……」

天沢くんは呆然と画面を見つめたまま、マウスに手を伸ばす。カーソルがゆっくりと動き、デスクトップの隅にある『コナン原稿』のフォルダを開いた。
クリック音が乾いた小さな音を立て、画面に並んだファイル名が現れる。その中で、ひとつだけ日付の異なるアイコンが、ぽつんと浮かび上がった。

日付は、2ヶ月前。私の胸の奥が、ぎゅっと掴まれたように痛む。
…あの日だ。安室透が忽然と姿を消し、私たちが必死に探し回ったあの頃。そして、音信不通だった父が、ふらりと家に戻ってきたあの時期。
背筋を冷たいものが駆け上がっていく。息を吸っても、肺の奥まで空気が届かない。

「開けますか……?」

天沢くんがこちらを見上げる。
私は返事をする代わりに、彼の手元に置かれたマウスを無言で引き寄せた。手のひらがじっとりと汗ばんでいて、マウスの表面がわずかに滑る。
そして、画面のアイコンにカーソルを合わせた。

――カチリ。
クリック音が部屋に響き、ふっと空気が張り詰める。次の瞬間、暗がりから漫画の原稿が静かに浮かび上がった。

「……お父さん……?」

そこには、見慣れたはずの姿が、白と黒の線で切り取られ、まるで別人のように描かれていた。思いもよらなかった光景に、思わず息を呑む。
最初のコマでは、父が自宅のキッチンに立っていた。蛇口からコップに水を注ぎ、喉を鳴らして飲み干す。背後の棚には、いつも置きっぱなしにしているガラス瓶や、磨き跡の曇った急須まで細かく描き込まれている。
そして、次のコマ。玄関のチャイムを知らせる「ピンポーン」という擬音。父がコップを持ったまま、廊下を歩いていく様子が続く。

ページがめくられ、玄関の扉が開かれる。
私は目を見開いた。
そこに描かれていたのは――安室透。

線画であるはずなのに、その空気の温度や匂いまでもが伝わってきそうなほど鮮明で。
まるで運命の歯車が音を立てて回り始める瞬間を、ただ呆然と見つめるしかなかった。




***




原稿の中の安室透が、雨に打たれながら橋の上に立っていた。黒いシャツはずぶ濡れで、肩に張りつき、裾からは滴るように雨水が流れ落ちている。足元のアスファルトは濡れてで光を帯び、街灯の明かりを滲ませていた。
俯いたまま、彼は微動だにしない。その頬を伝う雫は、雨なのか、それとも──。

「……──」

濡れた唇が、かすかに動いた。
だが、その声は激しい雨音にかき消され、何を言ったのかは分からない。誰に向けた言葉だったのかも、知る由もない。

コマが進む。
安室透が、ゆっくりと視線を上げる。瞳に宿る決意は、いつも私が知っている彼のものだった。迷いもためらいもない。ただ、その奥に、深い哀しみが滲んでいることを除けば。

──風が吹いた。
濡れた髪がふわりと揺れる。次の瞬間、彼は踵を返し、シャツを翻しながら橋の向こうへと──その身を投げた。
暗闇の中、しぶきを上げながら落下していく安室透。指先が、虚空を掴もうとするかのようにわずかに伸ばされている。その姿が、水面にぶつかる寸前で──

ページが、終わった。




***




私は息を呑んだ。指先が震え、心臓が早鐘のように打ち鳴らされる。目の前にあるのは、絵に描かれた「物語」のはずなのに、あまりにも生々しい。

――父が描いたのだろうか。
一瞬、そう思った。しかし、それにしては細部があまりにも生々しい。台所の水滴の光、安室透の影が玄関のタイルに落ちる角度――どれも現場を直接見た者にしかわからないような精度。
これは、創作ではない。現実に起こった光景を、そのまま漫画に写し取ったのだ。そう直感した瞬間、背中に冷たいものが走った。

「そんなはず……、ない……」

かすれた声が、震えた唇から漏れた。
椅子をがたんと倒しながら立ち上がり、画面に食らいつくように覗き込む。違う、何かの間違いだ、と思いたかった。けれど、ページに刻まれた事実は、残酷なまでに動かしがたかった。

──安室透が、自ら死を選んだと。

「……なんで、どうして……」

呻くように漏らす。
頭の奥で何度も何度も問いかけた。だが返ってくるのは、冷たい沈黙だけ。

「わかりません。でも、これを見る限り……」

天沢くんが、スクロールする手を止めて呟く。

「……先生は、安室透に会っていたんですね」

その言葉に、胸がぎゅっと縮まった。
画面には、紛れもなく父と、安室透が向かい合っている姿が描かれている。
原稿の中で、安室透は問いかけていた。「なぜ僕を殺す必要があったのか」と。その目に宿るのは、怒りでも哀しみでもない。ただ、深い絶望。父は答えられず、額に手を当てたまま、黙り込んでいた。

そして──

"…あなたが"描けない"のなら——僕が、終わらせます。僕が"僕自身"を終わらせる"

絞り出すようなその一言を残して、彼は去った。
──そして、あの橋へと向かったのだ。

ページをまたぐごとに、空気が重たく、冷たくなっていく。雨に打たれながら、ただ一人、橋を歩く安室透の姿。誰にも頼らず、どこにも戻らず、壊れた世界を背負いながら。
──自分は誰かの創作によって生まれた存在。
それを知ったとき、彼の世界は崩壊したのだ。信じていた正義も、仲間たちとの絆も、すべてが「設定」でしかなかった。どこまでが自分の意志で、どこからが誰かに作られたものなのか、それすら分からない。

けれど、それでも。
彼は「自分だけは壊れないように」と最後まで自分を律し続けたのだと思う。崩れかけた物語を守るために。そして、彼が知ってしまった“真実”を、誰にも伝えないために。

"自分が死ねば、世界は守られる"

きっと、彼はそう信じた。
そう、信じるしかなかった。それは絶望ではなかった。それは──最後の、彼なりの“正義”だった。

「……あの橋に立って……自ら……」

呆然とつぶやきながら、私は部屋の窓を見た。外に広がる川面。脳裏に、さっきのコマが鮮明に蘇る。雨に打たれながら、それでも顔を上げ、毅然と立っていた安室透の姿。

「……いやだ」

震える声が、部屋に滲んだ。
これを「ただの物語」だなんて受け入れられるはずがない。生きて、笑って、触れたあの人を、ただの絵の中の存在にするなんて。
どうして。どうして、そんな選択をしてしまったの。

「なんで……」

胸の奥で、答えのない問いが何度も反響する。
けれど本当は、わかっていた。あの日、私があ 彼らの世界に足を踏み入れ、余計なことをしてしまったから。
あの人の感情を揺さぶり、未来を変えてしまった。その全てが、今この状況に繋がっている。
――私のせいだ。その事実が、鉛のように重く沈んで胸を押し潰す。もし私が何も話していなければ、彼はこんな水の中に閉じ込められることもなかった。
だから、もう逃げられない。取り返せる可能性があるのなら、私がやらなきゃいけない。
私以外には、できない。

「……私が、助ける」

自分でも驚くほどはっきりとした声が、静まり返った部屋に落ちた。
深く息を吸い、天沢くんの方を振り返る。彼は驚いたように目を見開き、戸惑いと疑念を隠せない表情でこちらを見ていた。

「このままじゃだめ。私が、安室透を助ける」

宣言するようにそう口にすると、胸の奥で何かがはっきりと形を成した。
たとえどんなに無謀だと言われても、たとえもう取り返しがつかないと言われても──私は、あの人をこのままにはできない。

「……助けるって、どうやって」

天沢くんの低く震える声が、張り詰めた空気を震わせた。

「……方法はともかく、今は救うことが先決なの」

胸の奥に渦巻く焦燥が、言葉よりも先に体を突き動かしていた。脳裏に浮かぶのは、水の中に沈んだまま動かない安室さんの姿。ただそれだけが、私を駆り立てた。

「これは絶対に"救え"というお告げなんだよ」

天沢くんの顔に驚きの色が広がり、すぐに険しい影へと変わる。けれど、私はもう止まれなかった。

「私が水の中に引き込まれたのも、きっと意味があったんだよ。安室透が自ら、生き返ることができないなら──それを教えるためだと思う。だったら、私たちが助けなきゃ」

必死に訴える声が震える。
非現実的だと自分でも分かっていた。けれど、ただ見過ごすなんて絶対にできない。

「最後のシーンで止まっただけだから、まだどうにでもなる。たとえば……そう、警察のボートがタイミングよく橋の下を通りかかる設定にして、潜水士も入れて描き加えるのはどう?今ならまだ、飛び込んだだけで生死は不明だから、死んでないことにすれば……」

言葉は止まることなく流れ出す。
彼を救うためなら、どんなことだってするつもりだった。

「ま、待ってください。もしかしてそれを僕に描けと……?」

天沢くんが目を見開いた。
その反応は分かっていた。だけど、今、絵を描けるのは彼しかいない。父が戻るのを待っている余裕なんて、もうない。

「天沢くんしかいないの、お願い……!」

縋るように叫んだ。けれど天沢くんは、苦しそうに視線を逸らす。

「だ、だめですよ…!僕では無理です…!先生の絵に似せることはできても、同じには描けません!違いが出てしまいます。なので先生が戻ったら──」
「お父さんは、絶対に描いてくれないの!!」

思わず言葉を遮って、声を張り上げていた。
机を両手で叩くと、手のひらにじんとした痛みが走る。天沢くんは驚いたように私を見つめた。

「また、私があの世界に……引き込まれるかもしれないから……ぜったいに描いてくれない……」

搾り出すように言った。
その言葉に、天沢くんの顔色が変わる。

「そ、そうですよ……今だって、川に入ってきたんでしょう?りかさん、向こうでは脱獄犯だからもしまた……」
「もう、どうでもいいの…!」

叫び声に、天沢くんがびくりと肩を震わせた。私の目の奥に、熱いものが滲むのを感じながら、天沢くんの腕をぎゅっと掴む。

「お願い天沢くん……。彼を救うこと以外、もうどうでもいいの……」

喉が詰まって、呼吸が苦しい。
それでも、言葉を紡ぐ。

「たしかにまた、あの世界に引き込まれるのは怖い。でも……安室透は、2ヶ月もひとりで水中にいるんだよ……?私……つらいの……。お願い、天沢くん……。彼を、救い出して……」

それは懇願だった。
心の奥から絞り出す、必死の願い。
2ヶ月間、彼の行方を探し続けた。まさかその間、ずっと水中にいたなんて。胸が締め付けられる。それに気づかなかった自分にも、嫌気がさした。
机の前で、天沢くんは沈黙した。細い指が机をかすかに叩く音だけが、重たい沈黙の中に響く。無理を言っているのは承知だ。
だけど、それでも──

「……まったく」

小さく、天沢くんが息を吐いた。
ゆっくりと顔を上げると、そこには観念したような苦笑が浮かんでいる。

「…分かりましたよ。とりあえず、やってみます。やればいいんでしょう」
「ほ、ほんとう……?」

ぽつりと言って、天沢くんはペンに手を伸ばす。
タブレットを握る指先には、まだ僅かな迷いが残っていたが、それでも描くと言ってくれた。私はほっと安堵の息をもらす。

「でも……僕が描いた絵でうまくいく保証なんて、どこにもありませんよ」
「7年もお父さんのアシスタントだったんだから、大丈夫だよ」

必死に言った。天沢くんは眉をひそめ、しばらく考え込んで──そして、短く頷く。

「……わかりました。やります」

電源が入り、画面が光を帯びる。タブレットを握る天沢くんの手に、もう迷いはなかった。
──まだ終わらせない。絶対に、絶対に、私たちの手で物語を変えてみせる。そう、強く胸に刻みながら、私は固く拳を握りしめた。











天沢くんが絵を描きはじめてから、2時間以上が経過していた。警察のボートや潜水士はすでに描き終えている。しかし、パソコンの画面をじっと見つめても、何の変化も起きない。次のシーンが現れるわけでも、あの世界に引き込まれる気配が訪れるわけでもない。
私はその場に固まったまま、ただ黙って天沢くんの背中を見つめ続けた。心の奥では焦りが渦巻いているのに、手を出すことも、声をかけることすらできない。
天沢くんのペンが、ふと止まる。そして、小さくため息をつくと、肩を落としながら言った。

「……やっぱり、僕の絵じゃだめな気がします。僕のでよかったら、ファンの同人誌でも生き返りますよ……」

皮肉めいた言葉が、静かな部屋に落ちた。その言葉に、私はなにも返せなかった。ただ、ぼんやりと天沢くんを見つめるしかできない。

「先生が戻ったら、頼みましょう」

天沢くんが静かに告げた。
私はがっくりと肩を落とし、机にもたれかかるように座り込んだ。腕を膝に抱え、頭を抱える。胸の奥に広がるのは、どうしようもない無力感。上手くいくはずだと、信じていたのに。今にも心が折れそうだった。

「お父さんは……絶対、描いてくれない」

自分でわかっているからこそ、その言葉は痛みになって胸に刺さる。私たちの希望は、最初から薄氷の上に立っていたのだ。

「りかさん。先生が描くしか、方法はないんですよ。帰ってきたら一緒にお願いしましょう」

天沢くんは疲れきった顔で、それでも励まそうとしてくれた。しかし、私は俯いたまま何も言えない。

「……精根尽き果てました。何か食べましょう。りかさんも、ラーメンでいいですか?……りかさん?」

優しい呼びかけにも、応えることができない。食事なんて、今は考えられなかった。安室透の命がかかっているというのに、どうしてこんなに現実的なことに目を向けなければならないのかと、自分に苛立ちを覚えた。

「まったく、人をこき使っておいて返事もしないんですか。……先生も、何でこんなときに海外に……」

ぼやくような声が耳に届いた瞬間、天沢くんの言葉がふっと止まった。そして何かを思いついたように、ゆっくりと口を開く。

「…ねえ、りかさん。りかさんが描いたらどうですか?」

唐突な提案に、言葉が詰まる。
思わず顔を上げて、自分を指差してしまう。

「……わ、わたし?」
「はい。先生と血の繋がってるりかさんなら、上手くいくんじゃないかって」

冗談みたいな話なのに、天沢くんの顔は真剣だった。けれど、その真剣さが余計に胸をざわつかせる。

「……む、無理だよ……!私、絵なんて全然下手だもん!」

思わず声が大きくなる。
下手どころか、まともに人を描いた記憶なんて学生時代に遡るくらいだ。頭の中で、ぐしゃぐしゃの線だけが広がっていく様子が浮かび、顔が熱くなる。

「でも、昔は漫画家になりたいって言ってたこともあるって、先生から聞きましたよ」
「……それは、子どもの頃の話で……」
「あの時の夢だって、ゼロじゃなかったんですよね?なら、やってみる価値はあると思います」

天沢くんの声は、意外なほど柔らかかった。冗談半分に流すこともできたのに、今はそうしなかった。その目が、本気でこちらを信じようとしていることが伝わってくる。

「僕が横で教えます。道具も揃ってますし、時間は……多くはないですけど、やれるだけやってみましょう」
「……私が……」
「そうです。りかさんが、やらなきゃいけないんです」

天沢くんの言葉が、ゆっくりと胸の奥に沈んでいく。
無理だと突っぱねたはずなのに、ほんのわずかに、心の中で何かが動くのを感じた。
私にできるわけがない。そう思う一方で、もし本当に、これが唯一の方法なら――。何もせずに見送る方が、ずっと後悔する。その後悔は、きっと一生消えない。
震える指先を膝の上でぎゅっと握りしめた。怖い。でも、それ以上に、失うのは嫌だ。

「……わかった。やってみる」

口にした瞬間、胸の奥で小さく決壊する音がした。自分に言い聞かせるように、もう一度繰り返す。

「私が……描く」

天沢くんが静かに頷いた。





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