Moon Fragrance

12月1日 晴れますように
12月1日 晴れますように



 いつもの、あとは寝るだけという夜の日課。今日のことを話し終えて、目を瞑ってルーに擦り寄ろうとしたときだった。灯りもついていない暗がりの中、彼の指が私の唇をそっとなぞった。なんだろうと少し顔を上げてみるも、さすがに目が暗闇に慣れたとは言ってもルーの表情はよく見えない。

「なあに?」
「まだ、話したいことがあるようだ」

 ああ、唇をなぞったのはまた癖が出てたみたい。なにかを言いたいときに尖る口先。ルーにはよく考えていることがバレるけれど、以前から変わらず私は分かりやすいらしい。

「……あのね、お願いがあるの」
「リクがお願いとは珍しいな。なんだ?」
「今度、ね。流星群が見られる日があるんだけど、一緒に見たいなって。最近はずっと曇ってて、今度こそ晴れると嬉しいんだけど」

 でも夜遅くなっちゃうから無理しなくても、なんてもごもごしていると、ルーがふっと笑った息が前髪へとかかった。暗い部屋に溶けるような優しい声が紡がれる。

「いいぞ」
「ほんと? やった!」

 その静けさを壊すのは私で、大きく腕を回して抱きついた私をククッと笑いながら受け止めてくれた。そして、この日とこの日で2日続けて見られるはずだったなとルーが言ったのに驚いてしまう。

「あれ? 知ってたの?」
「先月も先々月もどことなく気落ちしていたから調べた。確かに朝から曇っていたな」
「そのときは数日前からの予報も雨か曇りだったんだよね……」

 今度はどうかなと心配を始める私の頭を撫でながら、ルーが驚くことを言った。

「久しぶりにヒーリンにでも行くか。あそこなら遮るものもないし、邪魔をするような建物の灯りもない」
「いいの?」
「ああ。別荘もそのままにしてあるから寝るのも不自由しない」
「ありがとう!」

 嬉しくて何度も思い出し笑いのようにふふっと笑いながら、今日はなんとか眠りについた。
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