02
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ルーの視察も兼ねつつ、食事もアトラクションもイベントもしっかり楽しんだ。やっぱり誰かいてよかった。1人だとなにもできなかっただろう。
楽しむことで発散できたのか、ゴーストスクエアのホテルまで続く道は、ある程度なら怖さが和らいだ。それでもルーの腕には軽く抱きついていたけれど。だけどこれだけはどうにも慣れなかった。
「お帰りなさいませ」
「ひっく……」
フロントのベルを鳴らせば上から落ちてくるって分かっているのに、やっぱり驚いてしまう。まるでしゃっくりのような音が喉から出た。私の隣でルーがまた笑った。
「どうぞ、お部屋の鍵でございます」
「ありがとう、ございます」
差し出された鍵を受け取って、私たちは部屋へと戻った。その最中のエレベーターもやっぱり雰囲気には心細くなるけれど、ルーが隣にいてくれるおかげで随分とマシだった。
部屋へと戻ると、それでも不安な気持ちが押し寄せた。ドアノブやベッドは近付かなければいい。木箱も開けなければいいし、窓のギミックはテーブル付近を通れば作動しない。
それだけ分かっただけでも収穫だけれど、やっぱり壁に飾られた頭骨や絵、その他の家具は恐怖を煽るようなものばかりだった。
ルーがテーブル近くの1人掛けソファーに掛けていた服を手に取った。
「では、また連絡する」
ルーがそう告げて、廊下に出るためのドアを開けた。私が近付くと、廊下に出たルーが振り返り、私の額に唇を寄せて頭をさらりと撫でてくれた。そのままスッと離れたから、思わず私は彼の袖口を摘まんでキュッと引っ張った。
「……もどっちゃう、んですか」
口に出してから気がついた。私、なに言ってるんだろう。でも、部屋はどうしても怖くて……。ルーが目を見開いているなんてことに気付かず、私はまたこの部屋で1人になるのかと後ろを見渡した。眠れるかな。
「でも、ルーも仕事で来てるんですもんね。やっぱり気にしな――」
「部屋が怖いか?」
ルーの問い掛けに、私は素直に頷いた。
「……はい」
「分かった。いてやろう」
「いいんですか?」
ルーが頷くと、顔を少し横へ向けてスッと軽く手を上げた。
「部屋の宿泊状態を変更しておいてくれ」
「え?」
「流石に1人で泊まるはずの部屋に2人いるのはマズイからな」
私が疑問の声を上げると、私に向き直って変更した理由を教えてくれたけれど、気にしているのはそうじゃなくて。誰か、いたの? たぶんタークスの誰かなんだろうけれど、今まで全く気付かなかった。
気になった私は廊下を覗き込もうとするけれど、顔を上げさせられて遮られた。腰に腕が回り、コラと窘めるように呟いて笑いを含んだ唇が重ねられる。後ろへ下がらせるように部屋に入り込むと、パタリとドアが閉まった。
「っ……」
「さて、礼はリクとの一夜か」
ちうっと下唇を吸われたあと、僅かに離れた唇が低い声で囁いた。それだけで体の芯が熱を持ったのに、再び塞がれた唇に、すぐ足の力が抜けていく。
明日もメンテの仕事があるから程々がいいなと思いながらも、私は怖い部屋で1人でいるよりはルーの腕の中という安心を選んだ。
入浴も、純粋に怖がっているところを付け込みたくないと、ドアのすぐ向こうで待機してくれていた。そのあとはお礼の通りなんだけれど、今日はもう怖いという思いもなく、文字通り溶けるように眠りにつけた。
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