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※戦争で殉死し転生した主人公
サイパンの戦いの話を元に作られています。
描写が正確でない場合がありますのでご注意ください。
この小説は完全なフィクションですので、
ご理解頂ける方のみご閲覧頂ければ幸いです。
暴力表現注意




悲劇の島。日本人の白骨死体。血肉の色が蘇る。なまえはそう、あの戦いでボロボロになって、飢えやら火砲やらに倒れる仲間達を看取ってきた。コンバットハイで気持ちよくなってもやって来たのは悪夢。そのうち目は潰され肉体も精神も使いものにならなくなって、やっとこの生き地獄から解放される。そんな時にこの世界へ転生した。戦争ない平和な世界。それは本当に存在していたのである。
ここは平和なニッポン。自らの体験、身を投じた戦いが書物になっているなんて、と涙を零す。なまえ以外記憶を持つような人間は見つからなかったが、なまえは今が幸せなら見つかるのは後でもいいと思っていた。
「(きっとこれは神が与えてくれた褒美なんだ。)」
最初から最後まで、大日本帝国の為に生き、大日本帝国の為に死んだなまえへのありがたいもの。彼は愛を知らないから、誰かを愛せたらと思えた。 きっと。

「相変わらずジジ臭いですね」
「いやー俺はやっぱり昭和モダンだ。やっぱり可愛いなこの服の女の子は……一時は軟弱だどうだと言われたけども今のファッションに通ずる所もある……」
「(なんの話をしているんだ)」

降谷零はなんの努力もせず成績上位にくい込むなまえがあまり好きではなかった。寮生活の間勉強する姿を見たことはほとんどない。降谷は死にものぐるいで教科書を暗記し座学に励んだ為、教室では首席という好成績を修めていたものの、なまえがしっかり予習復習に励めばそれを優に越えていくことも想像できていた。また、それをしないなまえに腹が立った。

「何故公安を目指そうと思ったんですか?」
「やっぱり日本が、好きだからかなぁ」

公安警察研修を受け、上へ登り詰めていく降谷。なまえはそれについてきた。何故と問えば「降谷は頭が良いから一緒にいると楽なんだ」と答える。
実際2人はウマが合い、お互い親友と呼べる程度には仲良くなった。晴れた日の夕方だった。


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