他人の神経を逆なでするのか、良く喧嘩をしていた。
トラブルメーカー。ワシが心の中でそう呼んではいたが……。
彼女は自覚してはいないだろう。やっぱり君らはよく似ている親子じゃよ。
ラプラスを割り込んで捕獲した事に関しては、男が噛まれたことで意識を飛ばしており、それ所ではなかったので咎められるようなことはなかった。
ラプラスの入ったボールを持って、ポケモンセンターへと急ぐ。野次馬になっていた人達も一緒になって走っていたが彼らがポケモンセンターに着いたのはラプラスをジョーイさんに渡し、ラッキーに丸投げされた手続きを僕が終えた頃だった。
「大丈夫ですか……?」
肩で大きく息をする彼らは、絶対に大丈夫ではない。けれど、それ以外にかける言葉が見つからなかったのだ。
「……ラプ、……ラ、スは?」
「僕が必死に走っている最中に連絡してくれた方が居たみたいで、受け入れがスムーズでした。僕のほうの手続きも今終わったので、後はラプラスが無事なことを願うばかりです」
とりあえず、落ち着くまで待とう。本当に辛そうだ。
「……。すまん、待たせた」
「いえ、本当に大丈夫ですか……?」
「まだ痛いが、ラプラスはもっと痛い」
「…………」
「お前のアドレスを教えてくれ。転送する」
「あ、さっきのデータですね」
「怖いなら捨てのアドレスでもいい。過去の分も必要ならそれなりに数は多くなるが」
「手間でなければ全て送ってください」
権力には権力をぶつけてやる。あんな男、さっさといなくなってしまったほうがいいのだ。
集中治療室前のベンチに沢山の人が座る。皆、ラプラスを心配しているのだろう。僕らはただ、ラプラスの無事を祈ることしかできない。
「お前はいいのか?」
データを送ってくれた人が、彼方を示す。
「はい。それよりも、やっておきたいことがあるので」
送られてきたメールにウイルスなどが入っていないのか、念のため確認し、オーキド博士へと転送する。今回のラプラスで起こる減点については、僕にポケモン取り扱い免許を授けたオーキド博士にも通達が行くことだろう。どうしてそうなったのかを知っていれば、色々と手を回してもらえるはずだ。
ラプラスをポケモンセンターに運んで、既に四日が経過した。野次馬として事を見守っていた人たちが度々お見舞いに訪れ、一応トレーナーである僕に罪悪感からか、様々なことを教えてくれる。
炎李との訓練の様子を見られた時は、同じように空路でリーグに挑戦していた人が、トレーナーが気を付けるべきことや体制。炎李のほうでも、彼が出したピジョットと話をしていた。運ぶ側で何かしらのアドバイスでも貰っているのだろうか……?
「君はあのラプラスをどうするつもりなんだ?」
「モンスターボールの機能を使いたくて使ったので、野生に戻すつもりです。あの男の人がまだ島にいるらしいので、少なくとも居なくなるまでは僕のポケモンですかね」
そういうと、アドバイスをくれた人は少し残念そうに肩を落とした。
「そっかぁ〜。そーだよなぁ、君ならそういうよなぁ……」
「?」
まるで僕がラプラスを連れて旅をするのを推奨しているかのよう。何故だろう。
「船を使わない子は、最低でも二匹は海を渡れるポケモンか、人を乗せて空を飛べるポケモンを持っているんだよ。君が持っているのはイーブイと、あのリザードンなんだろ? あと一匹、海か空を渡れる子が居れば安心なんだけど」
なるほど、そういう意味ではラプラスはうってつけの存在だろう。乗り物ポケモンと分類されることだけあって、人を乗せて移動するという性質は他のポケモンの追随を許さないはずだ。
「理想は、ラプラスとリザードンを交互に乗り継ぐような形で移動するんだ。そうすると、ポケモンたちの負担も分散されるし、素早く島々を移動できる」
「でも、覚えておいて損はないよね。他のやつに声をかけておくから、練習してみない?」
「是非」
魅力的な提案に、間髪を入れずに返事をした。
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