あんなもの! もう要らん!! 壊せ、殺してしまえ!
……何? 生きている? 手厚く治療を受けている……?
ふざけるな! 傷跡が残ったんだぞ! ……ハハッ。あの小僧が?
俺に従わない生意気なガキだ。構わん、
ラプラスが目を覚ましたと連絡があったのは、ラプラスをポケモンセンターに運んだ日から丁度一週間たった時だった。いつものように炎李の背に乗り、飛行訓練を繰り返していると、血相を変えて僕らのもとへ近寄ってくる。
「ラプラスが目を覚ました!」
すぐさまラプラスの病室に向かうと、不機嫌そうな表情のラプラスがジトリと此方を見た。
『
「おはよう、ラプラス」
急に知らない場所に連れてきたら暴れるかと思っていたが、そんなこともない。目を覚ましただけで、暴れるだけの体力が残っていないだけかもしれない。
知らない人間が居続けるのも、落ち着かないだろう。その様子を一目見ただけで満足だ。病室から出ると話を聞きつけたあの時の野次馬の人たちが次々と声をかけてきた。
戦うことはまだ無理だが、ひとまず安定はしている。そうジョーイさんに診断されたラプラスは病室からポケモンセンターの外にあったプールに移動した。海で生活しているラプラスは水の中にいるほうが良いとジョーイさんが判断した為だ。
「そうだ、津波。血迷ってあのラプラスと一緒に旅をするとか言い出さない?」
「当初の予定通り、野生に返すつもりです」
「あ〜! 勿体ねぇなぁー! ラプラスと言えば、オレンジリーグに挑戦する者が欲しい一匹だぞ?」
お冷を飲んでるはずなのに、どうして酔っぱらったかのように絡んでくるのだろうか。
「通常は二匹交代で安全と言われる海路を一匹で安全に運びぬく力があるポケモンだ。最近は滅多に人前に姿を現さないから、本当に珍しいんだぞ?
「あ! 犯罪者だ。なんでここにいるんだよ」
「あ? なんだ、小僧」
酔いが冷めたのか急にガラが悪くなる。どうどうと、落ち着くよう手を動かすが、少年は怯んだ様子もなく、不思議そうに首を傾げた。
「犯罪者は犯罪者だろ? 悪い奴だ。
自分に正義があることを疑わない。
「どんな言いがかりだ。初対面の人間に言うことじゃねぇだろ。今すぐ謝罪するなら許してやる」
「おじさんに言ってない。俺が言ってるのはソッチ」
「黒い服のイーブイを連れたトレーナー。牙を持ったラプラスに人を襲うよう指示して、知らん顔できる悪い奴。そんな奴が俺と同じトレーナーとか思いたくないんだよ、おい、俺と勝負しろ」
どんな言いがかりだ。呆気に取られていると、少年はモンスターボールを突き付ける。
「オレンジリーグに挑む前にお前を倒す! 悪い奴は倒さなきゃ」
気に入らない人間を、ポケモンに襲わせるトレーナーが居るらしい。
黒い服を着たイーブイを連れたトレーナー。特徴らしい特徴は無い。
牙を持ったラプラスに襲うよう指示したらしい。
心優しいラプラスにそんな支持を飛ばすトレーナーが善人な訳がない。
そんなトレーナーは、伝統あるオレンジリーグに挑戦すると云う。
許せない、許せない、辞めさせるべきだ! 犯罪者が挑むに相応しくない!
辞めろ、辞めろ、辞めさせろ!
ポケモンとの絆を誤解するお前にこの舞台はふさわしくない……!
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