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確認出来たら、先生が配ってくれたお名前シールを教科書・ノートに張り付ける。両手では数えきれないほど、沢山のシールをペタペタと張り付けた。
教科書の確認が終われば、それを寮へ運ぶように言われた。茶色いスクールバックの中に少しずつ教科書を入れる。入れすぎると運べないから、大丈夫な分だけ。
皆がスクールバッグを担いだら、先生が廊下で並ぶように言う。ゾロゾロと、先生の後に続く。
寮についたら、広い場所で名前を呼ばれるのを待った。寮母さんが8人の名前を呼んで部屋まで案内する。呼ばれた人は、自分の部屋に教科書を置いて、教室に残した教科書を取りに行く。運び終えたら、寮の広い場所にいる先生の前に座ること。
何度も往復を繰り返して、教科書を運び終えた。くるくるとお腹が鳴く。ちょっぴり恥ずかしい。
先生が「この場所は寮の食堂だ」と、言う。座席は自由。ボクらはここで、ご飯を食べるのだ。
お休みの日に、久しぶりに外出届を出した。おっきなお友達である、お坊さんに会いに行くのだ。
「お坊さん」
「おやおや、光葉くん。こんにちは。お勉強は難しくありませんか?」
「楽しい」
お坊さんとお喋りしている場所は、〈マダツボミの塔〉の傍に建てられたお家。〈マダツボミの塔〉を管理するお坊さんの仲間が住んでいる場所。ボクの寮とお揃い。
お坊さんに会いに行くけれど、お坊さんはボクのお話を聞いてばかりだ。「お坊さんの話も聞きたい」と、強請ったけれど1回話したら「代り映えがないから」と、もうお話をしてくれない。
「光葉くん、お手伝いを頼めますか?」
「いーよ」
今日は何のお手伝いだろう? 前は、落ちた葉っぱを集めること。その前は、お水が湧いている場所のお掃除。
「近くの山から来た野生のポケモンのお世話を一緒にしましょう」
「へ」
そんなの、習ってない。ボクはまだ、ポケモンを持ってないから……。
「わたしがいるから大丈夫です。さ、行きますよ〜」
どうしてこんな怪我をしているのだろう? 不思議に思って聞く。お坊さんは少し悲しそうに「縄張り争いや小競り合い。あとは、トレーナーによる戦いの跡でしょう」と、答えた。
ポケモントレーナーは、野生のポケモンとバトルをして弱らせてから捕獲をする。ポケモンのレベルをあげるために、野生のポケモンとバトルをすることだってある。どうしてそれが悲しいのか、ボクは不思議でならなかった。
2年目の教科書も読み終わった。ボクはボクが覚えたことがあっているか、先生に聞きに行く。
先生はボクの言葉にとても驚いたようで、首を上下にゆらゆらと揺らしながら、1枚の紙を差し出した。首を傾げながら受け取ったボクを見て、説明が入る。
「試験の申込書だ。お父さんと、お母さんに相談して受けるか決めなさい」
大きく、太い文字を目で追う。
最初の頃に先生は、試験を受けるのは2年後だって言っていたけれど違ったのかな?