Story:03 思わぬ出会い-2-



「良かったわ、あなたが理解ある人造人間で。今までの人造人間とはなかなか話が合わなくて困っていたの。ドクターが殺されたのもそれが一因だったし…」

安堵の気持ちで、思わずわたしはこぼした。すると、意外な言葉が返ってきた。

「ふん、同じ技術で造られた者として一つ忠告してやる。お前は私を信用しすぎだ。それが仇となるかも知れんぞ」

「ええ、分かっているわ」

それでも終始態度を変えず物柔らかに話すわたしに、睨んでいるつもりなのか、彼はしばらくわたしを見つめていたが、何かを思惟するように話し始めた。

「さっきお前は名を名乗ったな」

「ええ、○○○よ」

「何故テストタイプにわざわざ名前があるんだ」

「何故って…そんなことを聞いてどうするの」

「ドクターゲロが付けたのか」

「…わたしはそう信じてるわ」

探るような話ぶり。何を考えているのかしら…



「私の名は誰が決めた。お前か?」

その言葉に少し虚をつかれた。

が、それはわずかにわたしへ歩み寄る言葉にも感じた。わたしも彼を造った人物の一人。お互いを知るのも悪くはない。

「そう、あなたはセル。わたしが付けた名よ」

「ほう…そうか」

「満足したかしら」

「まあな」

素っ気ないが、どこか上機嫌な様子。彼の素顔が垣間見えた。

「あなたって面白いわね」

「どういう意味だ」

「ますます興味深くなったということよ」

「わからん女だ」



他愛も無い会話…何だか嬉しかった。こんな気分は久しぶり。

きっとドクターの思いを果たすことが出来るわ。
そしてこの人造人間がいか程のものなのか、必ず最後まで見届けてみせる。

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