Story:04 立ちはだかる者(前編)-1-



偶然かそれとも必然だったのか、わたしはセルと会うことが出来た。だが、肝心のドクターゲロの行方がまだわからない。

「そういえば…研究所へ行ったら跡形も無かったの。幸い地下の研究所、つまり幼生のあなたは無事だったけどドクターの身に何が起こったのか、あなたは何か知ってる?」

「さあな…その様子では殺されているかもしれんな」

他人事のようにあっさりと答える。さすがに不愉快。

「…セル!ふざけたこと言わないで」

「ふん、どうせお前も気付き始めているんだろう。潔く認めたほうがいいんじゃないか?」

「冗談じゃない…」

「頑固なやつだ。他人に執着して何になる」

思わぬ言葉に動揺するわたし。考えたくも無かったそのことに触れてしまった。もちろん覚悟はしていたけど…

それにしても、生みの親でもあるドクターゲロにはまるで関心も無いような口ぶり。呆れたわ。

「ところで、17号や18号は既に動き出しているようだな。やつらを探すのにお前も手を貸す、それでいいんだな?」

「…ええ」

「そうと決まれば、早速隣町のほうにでも行ってこい。わたしは生体エキスをいただきつつ、他を探しにいく」

大きな口を…
この人造人間も、注意はしておいたほうがいいわね。何を仕出かすかわからない。ドクターも人造人間の扱いには、ほとほと苦労していたし…

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