ひとまずわたしは、17号たちを探しに別の場所へとその場を離れた。 その時だった。 近くに何者かの気を感じた。 セルもそれに気付き近づいて行く。現れたのは、ピッコロだ。 「化け物め…貴様は何者だ…?」 「誰かと思えば…ピッコロ大魔王か」 「な!?オレの名を知っているのか!?」 そして、セルが突如放った気に驚きを見せるピッコロ。 「私はお前の兄弟だ」 ピッコロは正体を詳しく話すよう問いただしたが、断るセルに周りの建物ごと大きく気功波を放った。 あのピッコロの気の大きさ…セルより遥かに上だわ。まずいわね…物陰から様子を見ていたわたしは、彼らを追った。 セルはかめはめ波を放ち、ピッコロの左腕から生体エキスを奪う。 その状況に気が緩んだのか、自分自身の正体そして経緯についてピッコロに話し始めた。 が、ピッコロの気は決して減ったとは思えない。話を聞くだけ聞いた後、やはり彼は自ら左腕を再生させた。 「セル…しゃべりすぎよ」 声の方向へすぐ様ピッコロは振り向く。セルは、何食わぬ顔で、 「○○○…まだいたのか。お前は首を突っ込むのが好きなのか」 「気を許してる場合じゃないわ。下手をすればあなたがやられるのよ」 そんなやり取りをよそにピッコロは、次々と現れた謎の敵に再び警戒心を高めていた。 「今度は何者だ…まさかまた人造人間ではないだろうな…」 構えるピッコロにわたしは淡々と答える。 「さすがね…その通りよ。あなたどうやら思ったよりも強いようだけど、これ以上はセルの邪魔をしないで」 「嫌だと言ったら?」 「あなたが困るだけよ」 まさかピッコロがここへ来るとは思わなかったわね。でもセルの話に対するあの反応…彼は何かを知っているのかもしれない。もしかしたら… 「ひとつ聞きたいことがあるわ」 「何だ…?」 「ドクターゲロと人造人間17号、18号の行方を知っている?」 彼は頭が回る。そう簡単に話すとは思えないけど…わたしの問いにしばらく考えた後ピッコロは答えた。 「ドクターゲロは殺された、17号たちによってな。やつらの行方など知るか」 「くく…やはりな」 案の定だというようにセルは含み笑いする。笑い事じゃないわ…わたしは、ドクターに会うためにこの次元へ来たというのに。もともと目の前にいるこのセルのことなど、想定していなかったのだから。 仕方がない…次を考えるしか… 「セル…悪いけどまず先に研究所へ行くわ」 「何だ急に」 「17号たちを探すのはその後よ」 わたしは急ぎ地下研究所へ向かって飛び立った。ピッコロは止めようと叫んだが、構っている場合じゃない。これ以上大切なものを無くしたくない。ドクターの残したもの…それを守れるのはわたしだけ。 「ふん…勝手にしろ…」 遠く飛び立ったわたしに、セルは小さく呟いた。 ページ: ストーリー: 小説TOPページへ サイトトップページへ |